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【特集】大正のマルチアーティスト
愛され夢二の一生

芸術新潮 2024年7月号

(毎月25日発売)

1,500円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2024/06/25

発売日 2024/06/25
JANコード 4910033050742
定価 1,500円(税込)
●目 次

【特集】大正のマルチアーティスト
愛され夢二の一生

巻頭グラフ

愛の吟遊詩人と3人の女

よろめき! 愛と欲望の夢二すごろく

|略年譜|
抒情と共に49年

|再録|
私が歩いて来た道
――及び、その頃の仲間――
文 竹久夢二


売れっ子夢二の生活と芸術
解説 岡部昌幸

“絵による詩”で出版文化の大波に乗る

コマ絵画家の逆襲!
文展とガチンコ勝負の初個展

その抒情、伝染うつるんです
ショップ&ギャラリー「港屋」

夢二式美人を追え!

関東大震災と少年山荘

色男ざんげ――私小説『出帆』

旅する画家の遅すぎた洋行

夢二内外転々マップ


COLUMN
1 表紙は唄う セノオ楽譜
2 メルヘン童画もお手の物


ブックデザイナー夢二
細やかな情趣と大胆な造本術と

文 臼田捷治


|対談|
意外!? 夢二は女性を搾取していない
――画家とモデルと大正時代
藤原えりみ×蔵屋美香


展覧会案内

夢二コレクション・ガイド


◆ 第2特集 ◆

夢と詩情の旅人
フォロンをさがして

◆ Art News exhibition ◆

三島喜美代
ゴミ・情報・陶をつらぬくもの

◆ Art News interview ◆

『君たちはどう生きるか』レイアウト展
宮崎吾朗インタビュー
「これぞ手描きアニメの粋!」

◆ Art News exhibition ◆

コレクションでたどるカルティエ日本を結ぶ物語
文 本間恵子

◆ Art News report ◆

美と技の粋が集う、時計の祭典 in ジュネーブ
Watches & Wonders Geneve 2024
文 本間恵子

特別対談
九段理江×永山祐子
建てること、書くこと
未来を創り出すこと

◆ Review ◆

  • シアスター・ゲイツ
  • セルジュ・ムアング
  • 齊藤拓未
  • 久保寛子

◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

Goods & Shop

時と光の美術館〈87〉
カルティエ

絵育のススメ〈11〉
横浜トリエンナーレ組織委員会&Minds1020Lab

とんぼの手帖〈7〉
夏の京都の異国情緒

◇ 連載 ◇

定形外郵便〈120〉
文 堀江敏幸

千住博の知となり肉となり〈12〉
日本の美を探して

山下裕二の
新・今月の隠し球〈30〉
唐仁原希(下)

福井江太郎の
駝鳥がゆく!!〈16〉
寺田宜弘さん

幻々夢譚〈19〉
絵・文 と金

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈113〉

◇ PICK UP ◇

movie 佐々木敦
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈48〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

時と光の美術館SPECIAL
パテック フィリップ
卓越した技術と無限の創造性を兼ね備えた“芸術品”

千住博の画業を多視点で俯瞰する傑作選

辻仁成が描く、パリの息づかい

日本画家、村上裕二が揮毫する古刹、當麻寺中之坊の障壁画。
全長12メートルの巨大龍図を、あべのハルカスで特別公開!!

始めよう! NFTアートカレッジ〈4〉
Adam by GMO

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈61〉
室生寺《十一面観音菩薩立像》

ART CAFÉ
GALLERY'S PLAZA

最新号PICK UP

愛される理由

芸術新潮
東京都庭園美術館で開催中の「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」(8月25日まで)会場風景。
撮影:筒口直弘(本誌)

明治末から昭和初期にかけて、雑誌の挿絵や表紙絵など出版物を通じて乙女の心を鷲掴みにした夢二。なよなよとした柳腰に哀愁を帯びた眼をもつ美人画は、たちまち世の少女たちの憧れとなり、その独特のスタイルは没後90年を迎えたいまも、広く一般の人々に知られています。

そんな夢二ですが、弊誌で特集を組むのはじつは今回がはじめて。担当の女性編集者2人も折にふれ作品には親しんできたものの、夢二本人についてはほとんど知らない……というわけで、まず最初に読んだのが、夢二と交遊関係にあった人々の回想が収録された『竹久夢二―愛と詩の旅人』、そして自伝的小説『出帆』でした。読み終えたあと、特集タイトルは「嫌われ夢二の一生」だ!と編集長と3人、鼻息荒く盛り上がったのはここだけの話です。

そう、夢二はかなりの女好きでした。現代だったら不適切と糾弾されること間違いなしのエピソードが満載で、実際、この女癖の悪さが昭和以降人気を落とす一因にもなりました。浮名を流した相手は数知れず。が、芸術家・竹久夢二を知るには、とりあえず、妻の岸たまき(すぐに離婚してまたくっつく)、夭折の恋人・笠井彦乃、プロのモデルの佐々木カ子ヨ(愛称お葉)の3人のミューズを押さえておけば大丈夫。
*とんでもエピソードについては本誌描き下ろしの「よろめき! 愛の夢二すごろく」(by伊野孝行)で遊びがてらご確認ください。

しかし、その後さまざまな資料を読むうちにわかったのは、夢二は女性たちだけでなく、男性たちにもモテモテだったということ。恋人の女性たちも案外たくましく、夢二に負けていなかったのではないか、ということ。
その真相を探るべく、日本近代美術史の専門家にして夢二研究者でもある岡部昌幸先生にメインの解説を、お父様が夢二ファンだったという美術ジャーナリストの藤原えりみさん&近代美術史を専門とする蔵屋美香さんに対談をお願いしたというわけです。もちろん、特集タイトルは「愛され夢二の一生」に。どうぞお楽しみください。

この号の誌面

編集長から

夢二式美人は死なない
色あせぬ魅力の理由は?

 竹久夢二展を開催中の東京都庭園美術館の本館は、夢二が49歳で没する前年の1933年に、朝香宮の邸宅として誕生したアール・デコ建築だ。明治天皇の娘婿だった宮と、ずぶの庶民で社会主義シンパの夢二では社会的な立ち位置こそ真逆だが、展示空間としてはジャストフィット。なぜか。「夢二式美人」とは、浮世絵など伝統的な美人画を、アール・ヌーヴォーからアール・デコに到る、夢見られた西欧の力を借りてモダナイズしたものだからだ。特集は「大正のマルチアーティスト 愛され夢二の一生」。近年、日本の近代絵画(特に洋画)に対する一般の関心の低下が著しいが、夢二は例外だ。生前はもとより、没後100年になんなんとする今なお人気に翳りはない。その愛される理由に迫った。
 第2特集では30年ぶりの大回顧展が近いフォロンの故郷ベルギーを訪ねた。『東京都同情塔』の九段理江氏と、歌舞伎町タワーの外装を手がけた建築家・永山祐子氏の特別対談もお楽しみに!

芸術新潮編集長 高山れおな

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