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特集[平野啓一郎『決壊』刊行記念インタビュー]

波 2008年7月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/06/27

発売日 2008/06/27
JANコード 4910068230782
定価 105円(税込)

特集[平野啓一郎『決壊』刊行記念インタビュー]
平野啓一郎/無差別殺人に挑戦した新たな代表作誕生!
大澤真幸/〈神〉が創った世界に残るのは〈悪魔〉だけなのか

特集[吉田修一『さよなら渓谷』刊行記念インタビュー]
吉田修一/ありえない愛だからこそ、美しい

曽野綾子『二月三十日』
富岡幸一郎/「どこにもない日」のリアリティ

西 加奈子『窓の魚』
松田哲夫/漆黒の闇に輝く仕掛け花火のように

安住洋子『日無坂』
池上冬樹/父に見てもらいたかった

本谷有希子『グ、ア、ム』
斎藤美奈子/女三人、曇天の道中記

吉行和子『老嬢は今日も上機嫌』
ねじめ正一/あの感じを、よくもまあ

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ『チェーホフ・ユモレスカIII』
松下 裕/『チェーホフ・ユモレスカ』全三巻完結!

湯本香樹実『春のオルガン』(新潮文庫)
金原瑞人/『夏の庭』を越えた青春小説

中嶋 聡『「心の傷」は言ったもん勝ち』(新潮新書)
中嶋 聡/過剰な「心の傷」はもうたくさん?

特集[『赤毛のアン』誕生100年記念対談]
梨木香歩×茂木健一郎/100歳のアンに惹かれます

アンケ・ベルナウ『処女の文化史』(新潮選書)
夏目幸子/最初の「処女」研究書

樋泉克夫『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)
富坂 聰/「あの世」から中国を分析する比較文化ルポ

川西 蘭『坊主のぼやき』
北上次郎/なんと僧侶になっていた

コラム
豊崎由美/新潮クレスト・ブックス創刊10周年によせて
「考える人」-自伝、評伝、日記を読もう
三橋曉の海外エンタ三つ巴
とんぼの本編集部通信

連載
東 直子/薬屋のタバサ 第11回
西村 淳/身近な物で生き残れ! 第11回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第19回
鹿島 茂/パリの日本人 第5回
日高敏隆/猫の目草-思いだした「修学旅行」
秋山 駿/忠臣蔵 第10回
桶谷秀昭/素人の読む『資本論』 第6回
保阪正康/即位と崩御 第19回
佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(11)
宮城谷昌光/古城の風景 第61回 深沢城
松久 淳+田中 渉/あの夏を泳ぐ 天国の本屋 最終回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、「週刊新潮」に連載されて話題をよんだ長篇小説『さよなら渓谷』が、この六月に刊行された吉田修一氏。「探し出しますよ。どんなことをしても、彼女を見つけ出します」という一文は、作中で語られる主人公の言葉です。
◇新潮文庫に収録されている野坂昭如氏の『アメリカひじき・火垂るの墓』は、百三十万部を超えるベストセラー。スタジオジブリ制作・高畑勲監督によるアニメーション映画、松嶋菜々子らの出演によるテレビドラマでも数多くの人々の感動の涙を誘いましたが、この夏、実写による映画が公開されます。この名作を監督するのは、日向寺太郎監督。兄・清太を演じるのは、注目の若手俳優・吉武怜朗。妹・節子を演じるのは六歳・畠山彩奈。そして、松坂慶子、松田聖子をはじめ、長門裕之、原田芳雄、池脇千鶴、江藤潤らの豪華キャストが出演しています。映画は、七月五日(土)より東京・岩波ホールで先行ロードショー。以降、八月二日(土)より、大阪、京都、神戸などで順次公開されます。
 このほか、六月二十一日(土)より、梨木香歩氏原作の「西の魔女が死んだ」が、七月には、重松清氏原作の「きみの友だち」の公開がそれぞれ予定されています。
◇今月号で松久淳氏と田中渉氏の「あの夏を泳ぐ 天国の本屋」の連載は終了いたします。単行本は七月中旬に刊行されます。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。