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[『サーカスの夜に』刊行記念インタビュー]小川 糸/サーカスに魅せられて

波 2015年2月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/01/27

発売日 2015/01/27
JANコード 4910068230256
定価 102円(税込)

[『サーカスの夜に』刊行記念インタビュー]
小川 糸/サーカスに魅せられて

カルミネ・アバーテ『風の丘』(新潮クレスト・ブックス)
小山田浩子/強くあるための方法

高橋弘希『指の骨』
陣野俊史/時代に選ばれた戦争小説

[湊かなえ『絶唱』刊行記念 書店員座談会]
勝間 準×河井洋平×高橋美里/それでも、人生は続く

吉田篤弘『ソラシド』
吉田篤弘/本当のこと

野田秀樹『エッグ/MIWA―21世紀から20世紀を覗く戯曲集―』
豊崎由美/コミットメントする野田秀樹

[荻原 浩『冷蔵庫を抱きしめて』刊行記念特集]
【インタビュー】荻原 浩/僕らはみんな病んでいる
香山リカ/もし診察室にやってきたら

彩藤アザミ『サナキの森』
宇田川拓也/異なる文体と色調を操る新鋭のデビュー作

波多野聖『メガバンク絶滅戦争』
大多和伴彦/正真正銘の「銀行小説」の誕生

[城戸久枝『祖国の選択―あの戦争の果て、日本と中国の狭間で―』刊行記念特集]
【インタビュー】城戸久枝/世代を超えて
杉山 春/なぜ、戦争体験を風化させてはならないのか

アリカ『京都で働く―アウェイな場所での挑戦―』
佐伯順子/“よそもの”がもたらす京都の活力

竹宮ゆゆこ『知らない映画のサントラを聴く』(新潮文庫nex)
坂上秋成/「キャラクター小説」の奇妙な技法

トム・クランシー&マーク・グリーニー『米露開戦(全4巻)』(新潮文庫)
田村源二/危ないのは中国よりもロシアだ!

竹内康浩『謎とき「ハックルベリー・フィンの冒険」―ある未解決殺人事件の深層―』(新潮選書)
阿部公彦/アメリカ文学「名作」の書かれなかった謎を抉る

小林朋道『ヒトの脳にはクセがある―動物行動学的人間論―』(新潮選書)
小林朋道/大学のコウモリとさほど変わらないこと

辻中俊樹 櫻井光行『マーケティングの嘘―団塊シニアと子育てママの真実―』(新潮新書)
櫻井光行/マーケティングは文化人類学である

コラム
考える人―家族は荷物か喜びか
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
木皿 泉/カゲロボ日記 第10回
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/ダイナ
ドリアン助川/ニューヨーク・サン・ソウル 第3回
石原千秋/漱石と日本の近代 第20回
津村記久子/やりなおし世界文学 第9回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第18回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 最終回
森 まゆみ/子規の音 第13回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第59回
久間十義/デス・エンジェル 第19回
末盛千枝子/父と母の娘 第11回
津村節子/時のなごり 第41回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は小川糸さんです。新刊『サーカスの夜に』は、難病の治療に使った薬が原因で体の発育が止まってしまった13歳の少年の物語です。こんなチビでも仕事をして、自分の力で生きていきたい。少年のそんな切なる願いがかなえられる場所、それがサーカスでした。独力でサーカス小屋に飛び込み、炊事や便所掃除などの雑用をこなしながら個性的な団員たちと交流していく少年。やがてボール・ジャグリングの技に挑み始め、本来の夢に近づいていきます。到底できそうもないと思えた綱渡りにも踏み出した少年に、団長がかけた「サーカスは、詩だよ。人間が体で表現する詩そのものだよ」という言葉が胸に響きます。観客に束の間の夢見心地をもたらすサーカスに小川さんご自身が魅せられた経緯はインタビューで語っていただいていますが、表紙の写真も世界各地で撮影されたコレクションの中からご提供いただいた、ベルギーのサーカスの幻想的な情景です。
◇宮尾登美子さんがご逝去されました。新潮文庫で刊行している『』『春燈』『朱夏』『仁淀川』は高知の複雑な事情の家庭に生まれ、戦時中は満州に渡って苦難の日々をおくった宮尾さんの自伝的シリーズですが、刊行の折に小誌で小説と人生への思いを率直な言葉で語られています。「自分の家がそうだったから、よけいに生涯の信条として、男に媚を売る仕事だけは飢え死にしてもしたくないと思っていました」(一九八八年一月号、『春燈』をめぐる加賀乙彦氏との対談)「……自分の経てきた人生というのは、全部絵巻物のように私の頭の中にあって、努力しないでも、それをたぐり寄せることはできる」(二〇〇一年一月号、『仁淀川』をめぐる檀ふみ氏との対談)。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
◇年始から悲しいお報せが相次ぎました。新潮クレスト・ブックスで『巡礼者たち』『キス』など数々の名品を訳された翻訳家の岩本正恵さんが亡くなられました。弊社刊行予定で進行中の作品だけでも何作もあり、五〇歳というあまりにも早すぎる死が惜しまれてなりません。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。