東 浩紀+桜坂 洋「キャラクターズ」(200枚)
新潮 2007年10月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2007/09/07 |
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JANコード | 4910049011072 |
定価 | 特別定価996円(税込) |
純文学の転換期に投入された爆弾としての〈批評のキャラクター小説化〉。
臈(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ/大江健三郎
終章 月照るなべ/臈たしアナベル・リイ夢路に入り、
星ひかるなべ/臈たしアナベル・リイが明眸俤にたつ
・写真の中の人/リー・テンポ
・どしゃぶり麻玲/高樹のぶ子
「私」と格闘し続ける二作家が徹底的に討議する小説の困難と可能性。
ガブリエル・ガルシア=マルケス ――いいアイデアの詰まった戸棚
/R・クレマーデス+A・エステーバン 木村榮一訳
・薄血/金原ひとみ
・シブヤネコ/長塚圭史
・日本語ラップ……その現在と未来への可能性/ダースレイダー
・松浦寿輝『川の光』/安藤礼二
・吉川日出男『ハル、ハル、ハル』/鹿島田真希
・J・バンヴィル『海に帰る日』/柴田元幸
・川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』/豊崎由美
・大澤真幸『ナショナリズムの由来』/中島一夫
・椹木野衣『なんにもないところから芸術がはじまる』/茂木健一郎
・決壊(十二)[一挙100枚]/平野啓一郎
・太陽を曳く馬(十三)/高村 薫
・明治の表象空間(十八)/松浦寿輝
・神器―浪漫的な航海の記録―(二十二)/奥泉 光
・城砦(二十七)/加賀乙彦
編集長から
◎異色の作品を掲載する。ポストモダン世代を代表する批評家、東浩紀氏とライトノベル作家、桜坂洋氏の合作による小説『キャラクターズ』(200枚)。近代文学の基盤をなす三角形=私・性・死への〈脱構築〉が前代未聞の形で決行された。支持であれ批判であれ、読者の幅広い反応を期待する◎佐伯一麦氏と柳美里氏に〈小説と私〉をめぐり初めて語り合っていただいた。今年最良の作品の一つ『ノルゲ』の筆者、佐伯氏はともかく、柳氏を私小説作家とは呼べないかもしれない。しかしデビュー作から最新作『黒』『山手線内回り』にいたるまで、柳氏は〈私〉に呪縛され、〈私〉と格闘し続けた。二人の真摯な対話は独自の虚構論から自殺観にまで及んだ◎大江健三郎氏のレイトワーク『臈(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』がついに完結。音楽と映画に祝福されたハッピーエンドに心震えた。死は生と手を携え、世界への賛歌を歌う。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。