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切れた鎖(100枚)/田中慎弥

新潮 2007年12月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/11/07

発売日 2007/11/07
JANコード 4910049011270
定価 特別定価996円(税込)

◆切れた鎖(100枚)/田中慎弥
海峡の町の旧家に暮らす母、娘、孫娘。
その濃密な血と風土と歴史で紡がれたわずか二十四時間の大きなドラマ。

◆しろとりどり(100枚)/栗田有起
豆腐。白衣。漂白剤。骨。白だらけの私は30歳。
でも、それはかなしいことでも、むなしいことでもない。

◆火星巡暦/森内俊雄

◆ここ/福永 信

◆ネバーランド(8)/藤野千夜

■連載小説
・カデナ(七)/池澤夏樹
・決壊(十四)/平野啓一郎
・太陽を曳く馬(十五)/高村 薫
・神器―浪漫的な航海の記録―(二十四)/奥泉 光
・城砦(二十九) 『雲の都』第三部完結/加賀乙彦

■新潮
・ダレル雑考/高松雄一
・駄能力デイズ/平山夢明
・阪急六甲駅 午後九時四十五分/前川 梓

◆第40回《新潮新人賞》応募規定

【大型新企画】
日本小説技術史 第一回 140枚/渡部直己
 日本小説が生み出した豊穣な「技術」の性質、
 消長・推移・変化を追う超大スケール評論!

■ 対談 ■ 吠えるコンピュータ/佐藤良明+古川日出男
 獣のように。そして、サイボーグのように。
 異種横断的な文学の未来を探る挑発的対話。

■病み上がり『パリ感覚』(前編)/渡邊守章

■ブロードウェイ日記2006/小林恭二

■翻訳と魔物/木村榮一

■関係の化学としての文学(十二)/斎藤 環

■見えない音、聴こえない絵(46) 雑色ミラーボール/大竹伸朗

■連載評論
・マキノ雅弘(五)/山根貞男
・明治の表象空間(二十)/松浦寿輝
・〈記憶〉の中の源氏物語(完)/三田村雅子

■本
・小林信彦『日本橋バビロン』/菅野昭正
・よしもとばなな『まぼろしハワイ』/栗田有起
・前田司郎『グレート生活アドベンチャー』/仲俣暁生
・亀山郁夫『「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する』/沼野充義
・大庭みな子『風紋』/藤原新也

編集長から

真物並びに或物

 小説とは何か? 古風な恋愛小説でも前衛的小説でもいい。なぜ、虚構の産物が私たちの心を激しく揺さぶるのか? 必要なのは、まずリアリティ。そしてリアリティを超える何か……。だが、そんなことは遥か昔に徹底的に思考されていたと語る文芸評論家の渡部直己氏は、不意に一二二年前、坪内逍遙が「真物並びに或物」(『小説神髄』)と書き付けた瞬間へと時間旅行する。そして、さらにひと跳び、馬琴『八犬伝』が書かれた江戸の時空へと。「そもそも、小説が現世の「写真」たりうるという近代的な幻想は(略)どこから、どんなふうに生ずるのか? 日本小説における技術的なもののさまざまな性質、およびそれらの消長・推移・変化などを中心とした稿を、いまから可能なかぎり根気よく重ねてゆかんとする試み」である渡部氏の「日本小説技術史」(第1回140枚)は、今ここで書かれゆく現在文学と深くかかわる画期的な論考になるだろう。(編集長・矢野 優)

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞