ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2013年6月号

松家仁之「沈むフランシス」(250枚)

新潮 2013年6月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/05/07

発売日 2013/05/07
JANコード 4910049010631
定価 特別定価996円(税込)

沈むフランシス/松家仁之
[デビュー第二作・250枚]
森をつらぬく川は、どこから来てどこへ向かうのか。偶然に運ばれ、北海道の村でひとり生活を始めた女のロマンスと再生のドラマ。

いりくちでくち[共同創作]/飴屋法水+朝吹真理子
九州の半島に滞在した演出家と作家の体験とヴィジョン。土地に遺された記憶、人々の声。言葉による未知の「ツアー」に読者を誘う。

プリミラ/ポーリーンとレイモンド “IT CHOOSES YOU”より 2
ミランダ・ジュライ  岸本佐知子/訳

死小説[第九章]/荒木経惟

■連載小説
・満月の道(十六)/宮本 輝

■新潮
・こわい街/松田青子
・環境のせいではなく/新庄 耕
・分析されざるものたち/岸 政彦
・風と一〇〇〇年の樹/淺野卓夫

■第39回〈第二期第十四回〉川端康成文学賞発表
・給水塔と亀/津村記久子
【選評】辻原 登/津島佑子/堀江敏幸/村田喜代子

谷崎潤一郎――映画と性器表象/四方田犬彦
[長篇評論200枚]
日本近代文学最初の映画青年、谷崎潤一郎。その恐るべき映像的想像力を同時代文化・精神分析・神話学の諸次元で解明し、祝福する。

新発見 辻邦生の高校生日記/中条省平
いま、「松高時代の辻邦生」像は一変した! 癒しがたく深いメランコリーに充ちた青春。

■■■ 対談 ■■■
死者たちと小説の運命/池澤夏樹+高橋源一郎

荒廃した世界を生きていくうえで、小説にできること/よしもとばなな+綿矢りさ

歴史と記憶、現実と預言/安藤礼二
 ――村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』について

吉田健一[第七回]/長谷川郁夫

地上に星座をつくる 第十二回・ヒマラヤ生活/石川直樹

世界同時文学を読む/都甲幸治
 第二十二回・復讐の連鎖を断ち切る――シャーマン・アレクシー『飛行』

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一〇八回・段差・イン・ザ・ダーク

■本
・山城むつみ『連続する問題』/大澤信亮
・小山田浩子『工場』/内藤千珠子
・西村賢太『一私小説書きの日乗』藤野可織

第46回《新潮新人賞》応募規定

第26回《三島由紀夫賞》候補作品発表

編集長から

松家仁之「沈むフランシス」
新人のさらなる飛躍
 昨年、松家仁之(まさし)氏は大作「火山のふもとで」で、文芸誌として異例の長篇デビューをはたした(新人としてやはり異例の読売文学賞を受賞)。鮮烈な登場から約一年、第二作「沈むフランシス」(250枚)の主人公は東京での経歴も恋人も捨て、北海道に移住した三十五歳の女性。非正規雇用の郵便局員として、静かで小さな町のすみずみに郵便物を届ける彼女の日々は、しかし、心落ち着くだけのものではなかった。そう、自然が崇高な美を見せるだけでなく、時には無慈悲に人命を奪うように、人間の世界にも善きものと悪しきものがある。いや、善と悪の決定不可性こそが世界の姿であり、主人公もその一員だ。デビュー作が示した人間への洞察、自然への畏敬、そして大スケールの時間感覚はそのままに、異例の新人の筆は「人間的、あまりに人間的」な領域にまで及ぶ。それにしても「フランシス」とは? この謎が明かされるときの悦ばしい驚きを読者と共有したい。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞