青山七恵「繭」(新連載)
新潮 2014年3月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2014/02/07 |
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JANコード | 4910049010341 |
定価 | 特別定価996円(税込) |
・父の足あと【エッセイ】/エトガル・ケレット 秋元孝文/訳
中途半端に猛り狂う狂気について/阿部和重×千葉雅也
第一一六回・無と有の間に降る言葉
・わが内なる「外国語」――パリのシンポジウムでの発表の報告/諏訪哲史
・嘘か真か/末井 昭
・カネ、カネ、カネの世の中で/想田和弘
・青山七恵『めぐり糸』/池内 紀
・西村賢太『一私小説書きの日乗 憤怒の章』/木村友祐
・佐藤友哉『ベッドサイド・マーダーケース』/斎藤 環
・高樹のぶ子『香夜』/蜂飼 耳
・津村記久子『ポースケ』/福永 信
編集長から
◎青山七恵氏の長篇連載「繭」を開始する。初回で多くを語ることは控えよう。だが、自立した社会人であるはずの女性主人公が、その精神に制御できない暴力性を抱え、それを最も身近な男性に行使してしまう姿に、ある「仮説」を考えざるをえなかった。ながらく文学の系譜をなしてきた父―息子のオイディプス的葛藤の熱量は、今や女性の孤独な精神に、しかも親子関係さえ蒸発した形で転移しつつあるのではないか……。息を呑む緊張感とともに始まる氏の挑戦に、読者とともに注目していきたい◎東浩紀「福島第一原発『観光』記」をなぜ読者に問いたいのか? 原発事故をめぐる氏の活動は既に多様に展開されているが、あえて遊歩者(フラヌール)(ベンヤミン)として原発内部を「観光」する氏は〈死の土地〉といったイメージに縛られた「想像力の限界」を体感する。リスク承知で「ひとは、軽薄で無責任なときにこそ自分の限界を超える」と言い、福島の未来を想像する本稿は、文学の仕事だと思うのだ。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。