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又吉直樹「劇場」(長篇300枚)

新潮 2017年4月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/03/07

発売日 2017/03/07
JANコード 4910049010471
定価 特別定価998円(税込)

劇場[長篇三〇〇枚]/又吉直樹

 上京して演劇を志す永田と恋人の沙希。未来が見えないまま、嘘のない心で結ばれた二人の生を圧倒的な純度で描くデビュー第二作!

やよいの空に[中篇一〇〇枚]/芳川泰久

 あの三月――放射能を逃れ、西へ向かう年老いた男を〈ありえたかもしれない自分〉が追う。

◆B組会始末/大城立裕

 沖縄戦を体験した中学の仲間が集うB組会。七〇年を経て、共有された記憶が鮮烈に蘇る。

◆格闘[連載第二回]/高樹のぶ子

■■ 連載小説 ■■

■野の春(七)/宮本 輝

■ミライミライ(十一)/古川日出男

■TIMELESS(十二)/朝吹真理子

■光の犬(二十)/松家仁之

■ペインレス(二十一)/天童荒太

■荒れ野にて(二十三)/重松 清

第49回《新潮新人賞》応募規定

□□ 対談 □□

◆『岩場の上から』から見えたもの/黒川 創×加藤典洋

 三〇年後の日本はどこへ向かうのか? 戦後と災後を問い続ける小説家と批評家の対話。

◆「震災後文学の憑在論(hauntology)」/木村朗子

 デリダの「憑在論オントロジー」と能が現前させる死者。交差する二つの視点で震災後の文学を問う。

◆書評・村上春樹『騎士団長殺し』[緊急寄稿]/いしいしんじ

◆芸術家小説の現在
――松浦寿輝『名誉と恍惚』を読む/三浦雅士

◆深い森――梯久美子『狂うひと』私的感想文/角田光代

■批評の魂[第十五回]/前田英樹

■小林秀雄[第四十二回]/大澤信亮

■地上に星座をつくる/石川直樹
第五十回・奥能登あるくみるきく

■見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一五〇回・刷りもんの轟音

■新潮
・本の価値、人の自由、そして夢の木坂/青山拓央
・あの日言わなかったさよならのかわりに/天野裕氏
・不可解な父への愛着/金川晋吾
・Titleのある町/辻山良雄
・日本独特の「型」/外山健太郎
・押すと、生まれて、消える/岸 政彦

■本
・田中慎弥『美しい国への旅』/上田岳弘
・金原ひとみ『クラウドガール』/倉本さおり
・綿矢りさ『私をくいとめて』/滝口悠生
・小川洋子『不時着する流星たち』/日和聡子

この号の誌面

立ち読み

編集長から

陽のあたらない場所で
又吉直樹「劇場」

又吉直樹氏の長篇小説「劇場」(三〇〇枚)を掲載する。話題を呼んだデビュー作「火花」以来、二年ぶりの第二作だ。又吉氏が小誌に初登場したのは二〇〇八年、随筆「お笑い芸人が古井由吉を好きな理由」の筆者としてだった。「TVに出演し有名になり世間を騒がす存在になる気配は無い」若手芸人が、古井文学との運命的な出会い、そして芸人として受けた影響を、自らの精神と対話するように濃密に記したものだった。今、久しぶりに読み直し、「自分は陽のあたらない場所でもがき続けようと思う」という一節に目がとまった。書き手は常に孤独に書き、読者は常に孤独に読む。そう、文学が営まれるのは常に暗く静かな「陽のあたらない場所」においてなのだ。「劇場」もまた、そのような場で生まれた◎東日本大震災から六年。木村朗子氏の「震災後文学の憑在論(hauntology)」を掲載する。また、仏文学者の芳川泰久氏の小説「やよいの空に」(一〇〇枚)は震災直後を舞台とする。

新潮編集長 矢野 優

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞