町田 康「湖畔の愛」
橋本 治「草薙の剣 昭和篇」
新潮 2017年9月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2017/08/07 |
---|---|
JANコード | 4910049010976 |
定価 | 特別定価998円(税込) |
◆湖畔の愛/町田 康[二〇〇枚]
ようこそ九界湖ホテルへ――。投宿する大学演劇研究会のエース二人は、愛を賭けて演芸対決の舞台に立つ。芸と笑いのニルバーナ!
◆草薙の剣――昭和篇/橋本 治[三五〇枚]
この小説に、
■■ 掌篇三作 ■■
◆はぐれうた/かたしろ往来/身がわり書き 黒田夏子
祭ばやしを遠くに聞き、うたあそびする幼児。失われた時の甘やかな記憶が立ち上がる。
◆とうもろこし畑の七面鳥/柴崎友香
ここは、どれくらい遠いのだろう――大統領選の裏で小説家が見た、米国中西部の素顔。
◆天書/円城 塔
元始、文字は神と共に生まれ、宙空に輝いた。天を記した謎の呪符を書聖・王羲之が追う。
◆第50回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】 ●大澤信亮 ●川上未映子 ●鴻巣友季子 ●田中慎弥 ●中村文則
□□ 対談 □□
◆終末世界のその先へ
島田雅彦/宮内悠介
原発事故、伝染病、
■小林秀雄[第四十七回]/大澤信亮
■地上に星座をつくる/石川直樹
第五十五回・北極圏の短い夏
■見えない音、聴こえない絵[第一五五回]/大竹伸朗
階級と湿気
■本
・谷崎由依『囚われの島』/江南亜美子
・ばるぼら+さやわか『僕たちのインターネット史』/鴻池留衣
・上田岳弘『塔と重力』/佐々木 敦
・服部文祥『息子と狩猟に』/前田英樹
・フィリップ・フォレスト『シュレーディンガーの猫を追って』/芳川泰久
■新潮
・中村紘子さんは甦った――最後の本『ピアニストだって冒険する』を読んで/亀山郁夫
・夕暮れにて/山中千尋
・終わらない三月――伊格言『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』を翻訳して/倉本知明
・古典に遊ぶという事/木ノ下裕一
・パープルームについて/梅津庸一
■■ 連載小説 ■■
■ペインレス(二十五)【連載完結】/天童荒太
■格闘(七)/高樹のぶ子
■エリザベスの友達(九)/村田喜代子
■TIMELESS(十七)/朝吹真理子
■荒れ野にて(二十八)/重松 清
この号の誌面
立ち読み
編集長から
運命――文芸の核心
◎運命――人の意志にかかわりなく巡ってくる吉凶禍福。私たちは「運命」という概念に取り憑かれている。だから人は虚構を通じ、運命を物語り続けてきた。運命は文芸という営みの核心にある◎大作『ホサナ』(講談社刊)で〈災禍と流浪〉を神学的な水準で描いた町田康氏が最新作「湖畔の愛」(二〇〇枚)を発表する。湖畔のホテルで大学の演劇研究会が芸の決闘を行う――それだけの物語が、しかし、いかにアナーキーなまでの笑いに充ち、さらには、笑いに呪縛された演芸人の運命を鮮やかに描いていることか!◎今年、デビュー四〇周年を迎えた橋本治氏が決定的な作品を生み出した。長篇「草薙の剣」(全五六〇枚)。唯一無二の小説家、古典文学の達人、日本と日本人を論ずる智者。三人の「橋本治」が一体となって、六組の
新潮編集長 矢野 優
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。