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【大特集】尾崎豊NOTES 僕が僕であるために─肉筆版─

小説新潮 2012年4月号

(毎月22日発売)

特別定価1,047円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/03/22

発売日 2012/03/22
JANコード 4910047010428
定価 特別定価1,047円(税込)

【大特集】
尾崎豊NOTES 僕が僕であるために
─肉筆版─

 机に向かい、ノートを広げ、筆を走らせる。
不特定多数の読者を想定しないその行為は、
とても個人的なものだ。
考えを整理する、情熱を滾らせる、悩みを書き留める──。
 文字による独白(モノローグ)はだが、
そこに自分自身という読者を生む。
「書き、読み、考える」というサイクルが、
さながら自分との対話(ダイアローグ)の如き
呼応とリズムで繰り返される。

 尾崎豊のノートを見たとき、まず感じたのがそれだった。
そこには、ひたすら自己と向き合い、
内面に切り込んでいく孤独な探究者の姿があった。
日記様の日付けが記されていても、
日々の営みの記録はなく、
その時々の思考が綿綿と綴られていた。
 そのとき、これはこのまま世に問いたいと強く思った。
 活字化された文章から、思想や思考を読み解くことは出来る。
だが、感情の微妙な揺れまで知ることはできない。
筆跡からうかがえる意志の強さや繊細さ、
筆致の乱れが表す喜怒哀楽、
そして執拗な推敲が物語る、最善の表現への飽くなき執着。
十数年に及ぶノートの対話は、
ただひたすら、自己を見つめる眼差しを
研ぎ澄ませていく過程ではなかったか。
 それを真に伝えられるとすれば、肉筆しかないと考えた。

 今回、ほんの一部ではあるが、
直筆ノートを紹介できる幸運を得た。
 文字の向こうから聞こえてくる声に耳を傾けて欲しい。
 ここには、夭折のアーティストが残した内省と苦悩、
創作者としての葛藤があり、
そして何より、一人の青年としての、
ありのままの尾崎豊が刻み込まれている。

「僕が僕であるために」から「僕を知らない僕」まで
須藤 晃

I.デビュー前夜(1981―83.3)

II.1st Album「十七歳の地図」(83.4―12)

III.2nd Album「回帰線」(84.1―85.8)

IV.3rd Album「壊れた扉から」(85.9―12)

V.ニューヨーク滞在日記(86―87)

VI.東京拘置所にて(87.12)

VII.4th Album「街路樹」(88)

VIII.5th Album「誕生」(89―90)

IX.6th Album「放熱への証」(91―92)

落書き、サインの練習、推敲の跡――活字では伝えきれない喜怒哀楽をはっきりと感じさせる筆致。肉筆でしかわからない微妙なニュアンスまで、あますところなくお届けする

※特集のノンブルは後ろから数えたページ番号になっています。横書きノートの雰囲気を忠実に再現するため、後ろから開いて下さい。


【新連載スタート】
◆京極夏彦/ヒトでなし
──別れた妻に浴びせられた罵倒。それは、俺という人間の本質を突いていた

◆野中 柊/波止場にて
──涼風の横浜を舞台に、二人の女の長い長い物語が始まる。新境地の長編!

◆向田邦子 原作 烏兎沼佳代 構成/続・寺内貫太郎一家
──後半を書かずに、著者は逝った。遺された脚本から紡ぐ、名長編のその後

【連載第二回】
◆今野 敏/宰領 隠蔽捜査5
──衆院議員が突然の失踪。その足取りを追う竜崎の元へ死体発見の知らせが

◆新城カズマ/島津戦記
──異国の船で賑わう鹿児島の湊。島津宗家に秘かに伝わる元服の儀式とは!?

◆ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
──面白くてためになる、とすでにして大評判の連載二回目は、名奉行対決!

【連載ノンフィクション】
大崎善生/赦しの鬼 団鬼六の生涯
高橋秀実/僕たちのセオリー 実録・開成高校硬式野球部 最終回

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
浅田次郎/赤猫異聞
飯嶋和一/星夜航行
井上荒野/ほろびぬ姫
熊谷達也/海峡の絆
近藤史恵/キアズマ
佐々木 譲/獅子の城塞
柴田よしき/貯められない小銭VII 名前のない古道具屋の夜
白川 道/神様が降りてくる
田口ランディ/サンカーラ――この世の断片をたぐり寄せて
葉室 麟/春風伝――高杉晋作・萩花の詩
坂東眞砂子/Hidden times
藤田宜永/風屋敷の告白 還暦探偵
本多孝好/魔術師の視線
真山 仁/沈黙の代償
山本一力/べんけい飛脚
米澤穂信/リカーシブル

【好評読み切り連作】
◆宇江佐真理/雪まろげ 古手屋喜十 為事覚え
──仙人と一緒に幽界へ行ったという男。満更作り話にも思えぬ喜十だったが

◆千早 茜/ゆびわ
──良き妻、良き母。今の生活は絶対変えられない。でもこの心をどうすれば

◆畠中 恵/さくらがり しゃばけ
──花見に出かけた若だんな。そこにいわくありげな河童の秘薬が届いて……

【連載エッセイ】
阿刀田 高/源氏物語を知っていますか
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人の恋力
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
嶽本野ばら/地嶽八景亡者戯
山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ

第二十四回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

人生の襟を正される
 なぜ尾崎豊を聴くのかと聞かれたら、それは「人生の襟を正してくれるからだ」と答えるだろう。楽曲が「お前、ちゃんと生きてるか? 自分に負けてないか?」と厳しい目を向けてくるというだけではなく、もう一つ厳しい眼差しが刺さってくる。
 それは、尾崎豊をリアルタイムで聴いていた十代の自分の眼差しである。あの頃の自分に、「(十代の)自分を失望させるなよ」、「まさか、自分がなりたくなかった『大人』になんてなっていないだろうな」と、問い質されている気持ちになるのだ。
 もちろん、理想通りに歩いて来られたわけではないし、当時は分からなかったその理由も、今は分かっている。けれど、無邪気に自分を信じていられた気持ちは裏切りたくないし、何よりその痛い眼差しを楽しめているうちは、自分は腐ってはいないんだと思える。
 この特集で、そんな「あの頃」の気持ちを呼び覚ましてくれる人がいてくれたら、とそう願って、沢山の人の手に届くのを待っている。


小説新潮編集長 新井久幸

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 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
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