特集【Wonderful Life!――鮮やかな歳の重ねかた】清水義範/白河三兎/中澤日菜子/戌井昭人/深沢 潮/秋吉敦貴/日野俊太郎/冴崎 伸/椎名 誠
小説新潮 2015年12月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2015/11/21 |
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JANコード | 4910047011258 |
定価 | 947円(税込) |
特集【Wonderful Life!――鮮やかな歳の重ねかた】
◆清水義範/やっとかめ探偵団と団塊の世代
――近所のご主人がナイフで刺された! 七十四歳の名探偵・まつ尾は久々の事件に張り切るが
◆白河三兎/子供の皮
――僕、年を取らないんです。子供悩み相談にかかってきた電話は、いたずら、それとも?
◆中澤日菜子/Team 383
――タクシー運転手一筋五十年も、息子に説得され運転免許を自主返納。次は……ママチャリ!?
◆戌井昭人/ブルーベリー
――八五歳と六四歳の加茂親子。妻は逃げ、息子に恋人も友もいない。寂れた集落で二人暮らし
◆深沢 潮/ミ・キュイ
――美魔女と呼ばれる私。綺麗でいられてちやほやされて、このままでいいと思っていたけれど
◆秋吉敦貴/春に放つ
――長年会っていない同級生から突然の電話。彼女の母親の様子を見に行ってと頼まれるが
◆日野俊太郎/瀬戸内GGオールスターズ
――トップ生徒だけを集めた伝説の夏合宿。講師はなぜか、いかがわしい老人ばかりで――
◆冴崎 伸/かつてヒロイン
――ヒーローたちも隠居した平和な世界。最強と呼ばれた人物は日々さみしさを募らせていた
◆椎名 誠/いくつかの絶望と黄金の時間
――気付けば、希望死亡年齢を遥かに超過したシーナさん。来し方を振り返りみえたものとは
【新連載スタート】
◆西條奈加/八人のゴメス
――舞台は二十一世紀のお江戸。あの「金春屋ゴメス」が帰ってきた!
【好評読切】
◆住野よる/か/く\し=ご*と
――文化祭に盛り上がるクラス。クレイジーな友達が妙な行動を見せて
◆森 美樹/花びらがそよぐところ
――恵まれない過去を恨むでもなく、「いい子」で生きてきた鈴美に
【連載第二回】
◆黒田龍之助/物語を忘れた外国語
――何のために学ぶのか? 試験、資格? それだけじゃあつまらない
【連載コラム】
◆本の森
――新刊文芸書から、選りすぐりのお薦めを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助/〈医療・介護〉東えりか/〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
【好評連載小説】
赤川次郎/7番街の殺人
飯嶋和一/翼人のかたみ 最終回
伊吹有喜/カンパニー
近藤史恵/スティグマータ
今野 敏/去就 隠蔽捜査6
谷村志穂/アンクランプ
西村京太郎/神戸より愛をこめて 神戸電鉄殺人事件 最終回
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
増田俊也/北海タイムス物語
三羽省吾/ヘダップ!
山本一力/カズサビーチ ようそろ
柚木麻子/BUTTER
飯嶋和一/翼人のかたみ 最終回
伊吹有喜/カンパニー
近藤史恵/スティグマータ
今野 敏/去就 隠蔽捜査6
谷村志穂/アンクランプ
西村京太郎/神戸より愛をこめて 神戸電鉄殺人事件 最終回
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
増田俊也/北海タイムス物語
三羽省吾/ヘダップ!
山本一力/カズサビーチ ようそろ
柚木麻子/BUTTER
【連載エッセイ・ノンフィクション】
角幡唯介/ある鮪漁師の漂流
柴門ふみ/大人恋愛塾 最終回
酒井順子/源氏姉妹(しすたあず)
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
第五回「日本医療小説大賞」のお知らせ
第三回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記
柴門ふみ/大人恋愛塾 最終回
酒井順子/源氏姉妹(しすたあず)
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
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第三回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記
編集長から
これから行く道
子供の頃、嫌いだった言葉の一つが「大人になれば分かる」だった。そんなことを言われて納得できるはずもなく、大人はズルいと思い、大人になんかなりたくないと思っていた。
だが、あれから数十年が経ち、否応なく「大人」になって思うのは、「そういうことは確かにある」ということだ。経験しなければ実感できないことは、残念ながら数多い。
かつて来た道を振り返るのは容易いが、これから行く道を想い遣るのは難しい。だから、無理解や誤解が生じるし、根拠のない嫌悪を抱いたりもする。しかしそこは、誰もが直面する未来であり、避けて通れない場所でもある。
歳を経ないと分からないことを実感するのは、その時が来るまで無理だけれども、擬似的に体験することはできる。
それが、「小説」というものだ。
今月は、そんな「これから行く道」を描いた、諸処の風景を特集した。
だが、あれから数十年が経ち、否応なく「大人」になって思うのは、「そういうことは確かにある」ということだ。経験しなければ実感できないことは、残念ながら数多い。
かつて来た道を振り返るのは容易いが、これから行く道を想い遣るのは難しい。だから、無理解や誤解が生じるし、根拠のない嫌悪を抱いたりもする。しかしそこは、誰もが直面する未来であり、避けて通れない場所でもある。
歳を経ないと分からないことを実感するのは、その時が来るまで無理だけれども、擬似的に体験することはできる。
それが、「小説」というものだ。
今月は、そんな「これから行く道」を描いた、諸処の風景を特集した。
小説新潮編集長 新井久幸
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。