【怪談特集】ずっと こわい はなし
小説新潮 2021年8月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2021/07/20 |
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JANコード | 4910047010817 |
定価 | 1,000円(税込) |
【怪談特集】ずっと こわい はなし
なにげなく過ぎる毎日、
そのすぐ横に潜む闇ーー
日常が浸潤されていく、
8つの異界へようこそ
◆澤村伊智/うらみせんせい
ーー西日で真っ赤に染まった中学校。そこからどうしても、出られない
◆矢樹 純/魂疫
ーー義理の妹の夢枕に、私の夫が立つという。心の中にはある確信がーー
◆花房観音/妬湯
ーー不倫の末、愛する夫を手に入れた礼子。新婚生活が始まった矢先に
◆大塚已愛/ひとでなし
ーー冬なのに肥えた蚕。高僧をも恐れさせるそれはただの虫などではなく……
◆彩藤アザミ/峠の一家
ーー道に迷った老婆を助けた二人の大学生。誘われるままに家を訪うと
◆芦花公園/おくるひと
ーー義母や娘との生活にストレスを抱える美咲のもとに美しい男が現れて
◆飴村 行/冷たい光
ーー日本軍の平瀬一等兵。軍医から「アオボタル」の捕獲を言い渡され
【エッセイ】
◆宮田珠己/超絶で静謐で懐かしい「あっちの世界」
ーーアイルランド人はお化け屋敷が怖くない!?︎ 果たしてその理由とは
【新連載エッセイ】
◆加納愛子(Aマッソ)/行儀は悪いが天気は良い
ーー切れ味鋭い言葉のセンスで注目を浴びる書き手が、芸人になるまでの好い加減な毎日
【特選読み切り】
◆東山彰良/わたしはわたしで 前編
ーーコロナ禍で失業した朱里。新しくアルバイトを始めるが
◆みうらじゅん/話題にもならなかった映画
ーーかつてヒットを飛ばした歌手が寺でのライブに招かれて
◆帚木蓬生/パンデミック 後編
ーー感染拡大の中、最前線で奮闘する医療従事者が見たのは
【特別読み物】
◆こんな時代の読書日記
井上荒野/横尾忠則/小西康陽/芦沢 央/燃え殻/柳亭小痴楽
ーーあの人は、何を読んでいるのだろうーーひとりで完結できる愉しみ、そっと見せます
【好評連載第二回】
◆西村京太郎/土佐くろしお鉄道殺人事件
ーー車内に残った謎のカード。そして東京では第二の事件が
◆篠田節子/ドゥルガーの島
ーー海中で仏塔を見つけた一正。これは世紀の大発見では!
◆原田マハ/晴れの日の木馬たち
ーー寄宿舎も学校もある倉敷紡績で働ける。すてらは幸せだ
◆乾 緑郎/おどろかし 戯場國の怪人
ーー志道軒の計らいで源内らは菊之丞に会えることになったが
【大好評シリーズ】
◆乃南アサ/家裁調査官・庵原かのん 第九話 待ちわびて
ーー夫の失踪宣言を申立てる妻。かのんは何だか気になって
【バラエティコラム】
〈うれしい買い物〉リリー(見取り図)
〈わたしの相棒〉橋本幸士
〈あのとき聴いた音楽〉SYO
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
◆佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆スズキナオ/家族が一番わからない
◆高橋秀実/おやじはニーチェ
◆田中卓志/ちょっと不運なほうが生活は楽しい
◆中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
◆平松洋子/プロレスは何を食べる
◆益田ミリ/ツユクサナツコの一生
◆群ようこ/四十年、こんな感じで書いてます
◆山本さほ/てつおとよしえ
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈ノンフィクション〉東えりか
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
【好評連載小説】
◆伊吹有喜/
◆木内 昇/雪草紙 雲の脚
◆窪 美澄/夏日狂想
◆今野 敏/探花 隠蔽捜査9
◆千早 茜/しろがねの葉
◆馳 星周/眠らぬ王 極夜・第二部
◆原田ひ香/財布は踊る 最終回
◆宮城谷昌光/公孫龍
◆宮部みゆき/Ghost Story
◆山本一力/ひむろ飛脚
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
第八回「新潮ミステリー大賞」最終候補作発表
第九回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告
この号の誌面
編集長から
「新しい日常」から物語が生まれる
この一年半、少しずつ「新しい日常」に慣らされてきた感がありますが、この異常事態を正面から捉えた作品が次々と生まれることには喜びしかありません。東山彰良さんの短編「わたしはわたしで」では仕事と恋を失った女性が再起を賭けて奮闘し、帚木蓬生さんの「パンデミック」では最前線で戦う病院の悲喜が生々しく語られます。
一方、この人たちは「日常」をどう過ごしたのでしょう。「こんな時代の読書日記」は作家や美術家、音楽家に落語家といった六人が、本と共にある日々を綴るエッセイ。淡竹を買う、ワクチンを打つ、寄席に出る……飾らない暮らしの記録です。
東京のお盆から京都の送り火までの一か月。この季節は目に見えないものの気配が普段より濃くなる気がします。今号の特集は怪談。憎しみ、畏れ、怒り――感情がゆれ動くとき、異界への扉が開く。私たちの「日常」にも、起こりうる物語です。
小説新潮編集長 西麻沙子
次号予告
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。