【特集】雪待ち月の時代小説
永井紗耶子/蝉谷めぐ実/藤原緋沙子/花房観音/千葉ともこ/梶よう子
小説新潮 2023年11月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2023/10/20 |
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JANコード | 4910047011135 |
定価 | 1,000円(税込) |
【特集】雪待ち月の時代小説
◆永井紗耶子/長崎こんぷら万華鏡
――母の死の真相を知るため、今日まで光太が足を運ぶのは
◆蝉谷めぐ実/女房役者の板
――死んだ名役者の下手人探し。お栄はある人に声をかける
◆藤原緋沙子/味噌田楽 へんろ宿
――佐和とおとらが客のお峰と味噌田楽を作っていると……
◆花房観音/朧の清水
――一族を喪い、隠遁する平徳子。その姿はまるで人形のように見えたが
◆千葉ともこ/酒泉の花奴なり 飲中八仙歌
――汝陽王の車夫に連れられ、杜甫が忍び込んだのは――
◆梶よう子/生き仏 みとや・お瑛仕入帖
――お瑛が舟で運んでほしいと頼まれたのは野菜が入った籠で
【二大新連載】
◆佐々木譲/遥かな夏
――あなたは、わたしの祖父ですか? 幻の映画とある女の出自をめぐるヒューマンミステリ
◆角幡唯介/地図なき山―日高山脈48日漂泊行―
――地図を持たずに日高山脈へ――。風景と自己が一体となったとき、著者の目に映るのは
【『君が手にするはずだった黄金について』刊行記念対談】
◆カズレーザー×小川 哲/働きたくない僕らのサバイバル人生論
――消去法で芸人・作家になった!? 二人だからこそ共感できる究極の生き残り戦略とは
【『彼女たち』刊行記念インタビュー】
◆桜木紫乃/「わかっているよ」と、言ってほしくて
――写真と小説のコラボレーション! 初めての「フォトストーリーブック」に込めた思い
【バラエティコラム】
〈わたしの東京〉久保勇貴
〈あのとき聴いた音楽〉深沢 仁
〈わたしの相棒〉相川英輔
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
◆岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
◆川上和人/鳥類学者の半分は、鳥類学ではできてない
◆くどうれいん/くどうのいどう
◆こいしゆうか/くらべて、けみして 校閲部の九重さん
◆酒井順子/松本清張の女たち
◆友近/友近道中
◆堀元 見/読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
◆伊吹有喜/灯りの島
◆恩田 陸/追憶の五重奏
◆川越宗一/満腔の熱血
◆桐野夏生/ダークネス
◆澤田瞳子/のち更に咲く 最終回
◆月村了衛/虚の伽藍
◆宮城谷昌光/公孫龍
◆諸田玲子/岩に牡丹
◆吉川トリコ/裸足でかけてくおかしな妻さん
「日本ファンタジーノベル大賞2024」最終候補作発表
第十一回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告
この号の誌面
編集長から
秋に読みたい時代小説特集
新連載を二作ご紹介します。まずは本誌一〇年ぶり(!)の小説連載、佐々木譲さんの「遥かな夏」。未公開に終わった幻の映画と、ある家族の記憶を追う情感あふれるミステリです。静かに暮らしていたはずの七〇代男性主人公が、どのように謎に巻き込まれていくのか、目が離せません。そして角幡唯介さんの「地図なき山」は、著者の体験を克明に記録したノンフィクション。地図を持たない登山は漂流に似ている――そんなことを考えてしまいます。
小川哲さんの新刊刊行を記念して、カラーページにカズレーザーさんが初登場。一六頁掲載記事の前半戦とも言うべき内容で、二人の意外な共通点(でも聞くとなんだか納得できる)が次々と白日の下に! 「働きたくない」と公言する彼らがいかに仕事をこなしているのか……同じお気持ちの方、必読です。
特集は秋の時代小説。永井紗耶子さんの新作が開幕、蝉谷めぐ実さんのシリーズは堂々、大団円を迎えます。
小説新潮編集長 西麻沙子
次号予告
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。