明けましておめでとうございます。今年はいつもの人混みの「初詣」や、「箱根駅伝」を眺めながら皆で囲む「重箱おせち」といった「日本の伝統」のお正月の過ごし方が恋しくなることもあったのではないでしょうか。......でも、ちょっと待ってください。それって本当に昔からある伝統でしょうか? 一見それらしい「古来から連綿と続く」「昔からのしきたり」「和の心」には、じつはごく最近つくられた新しい伝統も多いのです。「土下座」が謝罪のポーズになったのも、「喪服」が黒になったのも、「白菜」が食卓に並ぶようになったのも、じつはそんなに昔のことではなかったりするのです。古式ゆかしい伝統感抜群の京野菜「万願寺とうがらし」も、じつは「カリフォルニア・ワンダー」から生み出された新野菜だったってご存じでしたか? 知れば知るほど面白い、誰かに話したくなる「伝統」の「?」や「!」を楽しむ本です。毎日1項目ずつ読むような「トイレ読書」にもオススメの1冊です。
新春4日にNHKニュースウォッチ9で放送された塩野七生さんのインタビューをご覧になった方も多いと思いますが、2年ぶりとなる書き下ろし新作を刊行いたしました。
インタビューでも触れられていましたが、検疫を意味する英語「quarantine」はヴェネツィア方言のイタリア語が語源です。ジブラルタル海峡を抜けて現在のオランダまで、そしてボスポラス海峡を抜けて黒海まで交易先を求めて旅したヴェネツィア人ですが、検疫、防疫は死活問題であった彼らの生き方に、現在のコロナ禍を生きる私たちが学ぶところは多いかもしれません。
オスマン帝国や神聖ローマ帝国、スペイン王国、フランス王国といった巨大な領土をもつ列強に囲まれながら、小さな小さな島国ながらも独特の存在感を誇ったその姿も、われわれ日本人が自らを重ね合わせたくなるところがあります。
塩野七生さんがふたたびルネサンス期のヴェネツィアを描いた意味はそこにあるのかもしれません。本作は「歴史小説」という形をとっていますが、塩野さんのすべての作品と同じく、何百年も昔のことを描きつつ、現代を生きる日本人への提言となっている作品です。ぜひお手に取っていただきたいと思います。
『小説 イタリア・ルネサンス』には、すべての巻に絢爛豪華なルネサンス世界を体現するカラー口絵を収録。文庫版とは思えない美しい造本も話題になっています。口絵を動画に収めましたので、以下からご覧ください。
[→動画を視聴する]
本の総合情報サイト「BookBang」には刊行記念インタビューが掲載されています。あわせてお楽しみください。
[→インタビューを見る(1)]
[→インタビューを見る(2)]
[→インタビューを見る(3)]
ブームはやがて終わる。だが、人生は続く。一発屋芸人自ら、12組の一発屋に取材し書き上げた、彼らのその後の人生とは――。
ギター侍、エロ詩吟、ハードゲイ......空前のブームを巻き起こし、テレビから姿を消した彼らの人生はしかし、その後も続いています。本作は自身も一発屋芸人と呼ばれた著者の山田ルイ53世が、レイザーラモンHG、コウメ太夫、テツandトモ、ジョイマン、ムーディ勝山、天津・木村、波田陽区、ハローケイスケ、とにかく明るい安村、キンタロー。、など12組の芸人に追跡取材。今回の文庫化にあたり、新たに「ワイルドだろぉ~?」のスギちゃんの章が加わりました。
長年コンビを組んでも芽が出ず、事務所を解雇されてしまった経験もあるスギちゃんの下積み期間はなんと18年! ピン芸人として再スタートし、袖なしGジャンと短パンデニムで「だぜぇ」「だろぉ」という芸風を編み出すまでのエピソードは驚きの連続です。そして今、ブーム終了後のスギちゃんを裏で操る人物とは?
不器用ながら一歩ずつ前に進む芸人たちそれぞれの今に迫り、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞 作品賞」を受賞した、感涙ノンフィクションです。
文庫の解説はミュージシャンの尾崎世界観が担当。面識のないお二人だそうですが、尾崎さんが実は、山田ルイ53世さんの言葉に救われてきたという意外な過去を赤裸々に執筆。併せてご注目ください。
病弱な若だんなが、仲間の妖たちとともに、お江戸に起こる難事件・珍事件を解決! ドラマ化、舞台化もされてきた、累計890万部突破の畠中恵氏の大人気「しゃばけ」シリーズは、2021年で20年を迎えます。
新刊『むすびつき』の発売とともに、20周年を記念したフェアを全国書店でスタートします。オビには国民的人気を誇るのんさんのコメントをいただきました!
「妖たちが可愛くて癒される。無性に、私も仲間に入れて欲しいなあと思いました」
――女優・のんさん
さらに、しゃばけフェアの作品を購入の読者の方全員に、声優・斉藤壮馬さんによる、畠中恵さんの特別書き下ろし作品「長崎屋あれこれ」の朗読音声が聴けるQRコードをプレゼントします!
『むすびつき』は、輪廻を巡るお話。若だんなはいったい、誰の生まれ変わりなのか......妖たちが推理をはじめます。妖と人との心の絆を描く5編です。
しゃばけシリーズの作品は、疲れた心を和ませ、じんわり温めてくれます。なかなか気軽にでかけられないこの年末年始のおともにもピッタリです!
[→特設ページはこちら]
2020年、日本推理作家協会賞短編部門を受賞した『夫の骨』は、亡くなった夫の遺品をめぐる、背筋がぞくりとする、ミステリです(『夫の骨』祥伝社文庫収録)。著者の矢樹純さんは、2002年、「ビッグコミックスピリッツ増刊号」で漫画原作者として文筆活動に入りました。2012年、「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で、小説家としてデビュー。現在、最も注目される作家のひとりです。優れた心理小説でありながら、思いもしなかった最終目的地に読者を連れてゆく短編が、大きな支持を得ています。
再注目の契機となった『夫の骨』に続き、このたび新潮文庫から最新ミステリ集『妻は忘れない』を刊行します。義父の弔問にふいに訪れた、夫の前妻。親しくはなかったはずなのに、急速に距離を詰めてくる、ママ友。姉妹の間にいつしか生じていた、亀裂。刊行前に読んでくださった書店員さんたちからは、「怖くて、ひたすら心拍数が上がり続けた」「中毒性がある」「ラストまで一気読みした」「見事などんでん返し」という評価を頂きました。どこにでもある平凡な町。そこに暮らす、ごく普通の人びと。彼らの永遠に続くように感じられた日常が、ある日、見たことのない色に塗り替えられる――。読み終えたとき、あなたはきっと矢樹作品の虜になっていることでしょう。