2022年、最も売れたミステリー小説『#真相をお話しします』(結城真一郎・著)が、ついに文庫化です。単行本発売直後から全国書店で次々にベストセラー1位を獲得、完売店続出、海外翻訳が決定、数々の著名人から熱いコメントが届くなど、話題沸騰! 「今までに読んだことのない新感覚」、「ページを読む手が止まらない」、「予想のはるか上を行く結末!」など口コミが寄せられ「2023年本屋大賞」にノミネート。コミカライズも大好評。50万人がダマされた令和"最強"のミステリーが文庫で読めるようになりました。文庫のオビにはもう一つ重大発表が掲載されています。ぜひ、書店店頭でお確かめください。
「ゆーちゅーばー」になることを夢見る島育ちの仲良し小学生四人組が辿る末路とは......(「#拡散希望」)。マッチングアプリでパパ活。リモート飲み会と三角関係。中学受験と家庭教師。精子提供と殺人鬼。日常に潜む「何かがおかしい」。その違和感にあなたは気づくことができるのか!? 新時代のミステリの旗手による、どんでん返しの5連撃。日本推理作家協会賞受賞作を含む、傑作短編集を、ぜひお楽しみください。
カフカは『変身』や『城』、『流刑地にて』などの短編や長編以外にも、ノートや日記に短く未完成な小説なかけらである"断片"を多く遺しました。その断片は多くの人の心を掴み、「断片こそカフカ!」という評価もあるほど。未完成な言葉の中にある絶望的な感情や、ネガティブな嘆きは、誰よりも繊細で人間らしく生きたカフカにしか表現できないものだと感じます。編訳は頭木弘樹さん。一からカフカの原稿を見直し、130の断片をセレクト、そして全文新たに翻訳してくださいました。今年はカフカの没後100年。この機会に是非カフカの言葉に出会ってみてはいかがでしょうか。
最後に本文より一点、担当編集の心に残った断片を紹介させてください。
〔うまくいかないこと〕
うまくいかないことは、うまくいかないままにしておかなくては。
さもないと、もっとうまくいかなくなる。
(会話メモ)
女性研修医だけが気づいた真の病名。異なるタイプの引きこもり患者を救うひと癖ある精神科医。無差別殺人の犯人の命を救うため外科医コンビが行った緊急手術。「神の眼」を持つ医師が友の脳腫瘍のために握る電気メス。伊豆地域が誇る医療チームが奔走する深夜の出産。
彼らは治療方針を立てる。決断する。オペを行う。
私たちの命を守るために――。
9名の医師作家が自らの知識と経験をもとに臨場感あふれる筆致で描く、医療エンターテインメント小説集が刊行されました。
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以下に、収録作品をご紹介します。
「研修医ヒナノの洞察」午鳥志季――「先生の診断、本当に合っているのかな?」 パワハラにもめげない女性研修医を主人公にした医学ミステリです。
「魚類譚」朝比奈 秋――学長から外科医がひそかに依頼されたこととは......。最注目の純文学作家が、秘密の手術=医学界の闇を描きます。
「パイナップルがある光景」春日武彦――タイプの異なるふたりの引きこもり患者を、変わり者の精神科医はどう救ったのか。精神科の奥深さがここに。
「救いたくない命」中山祐次郎――最強の外科医コンビ再び。人気作『俺たちは神じゃない』の続編登場です。今度のミッションは無差別殺人犯の救命!?
「春に綻ぶ」佐竹アキノリ――コロナ禍下で医療従事者として日々を過ごす若き研修医のかかえる悩みとは。等身大の医師たちを活写する瑞々しい短編です。
「闇の論文」久坂部 羊――若手研究者の論文はなぜ認められなかったのか。医学界のタブーを奥底から抉る、まさに著者の真骨頂たる短編です。
「言葉が消えるまえに」遠野九重――「神の眼」を持つ脳外科医の前に現れたのはかつての友だった。脳外科を深く描いた短編です。
「空中テント」南 杏子――元教師、尊敬していた父が認知症に......。患者に寄り添ってきた著者が介護問題に揺れる家族を浮き彫りにします。
「峠を越えてきた命」藤ノ木 優――伊豆半島の命の砦を少人数で支えてきた医療チームがギリギリの状況の分娩に挑みます。命の原点――出産を描きます。
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本書に登場する医師たちは、あなたに生きることの意味を語りかけます。
最前線の医療ターテインメントをぜひ体感してください。
Wikipedia3大文学とは、読み始めると思わず引き込まれてしまう秀逸なWikipedia記事のことで、八甲田雪中行軍遭難事件(明治35年に起きた世界最大規模の山岳遭難事件)、三毛別羆事件(大正4年に発生した日本史上最悪の熊害事件)、そして地方病(日本住血吸虫症)が知られています。
「地方病(日本住血吸虫症)」記事の主要参考文献とされ、その内容に大きな影響を与えたのがノンフィクション『死の貝』です。しかし絶版により長らく入手困難で、古本市場では1万円以上の高値がつき、復刊を求める声も数多く上がっていました。そしてこのたび、新章や写真などを増補し、『死の貝―日本住血吸虫症との闘い―』として新たに発刊されました。
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日本各地には、古来より腹が妊婦のように膨らみ、やがて動けなくなって死に至る「謎の病」が存在していました。原因もわからなければ治療法もない......その地に嫁ぐときは、「棺桶を背負っていけ」と言われるほどでした。
明治時代以降、この病に立ち向かうため医師や住民ら多くの人たちが奮闘し、原因が未知の寄生虫であることが判明します。そして、じつに100年以上にわたり、撲滅へ向けた取り組みが続けられていったのです。
本書は謎の病との闘いを追った圧巻のノンフィクションで、さながら「プロジェクトX」のような内容。文庫化にあたって、大阪大学名誉教授で生命科学者の仲野徹氏からは「日本住血吸虫の発見と撲滅は、間違いなく近代国家としての日本が取り組み、大成功を収めた誇るべき業績のひとつである。ひとりでも多くの人に、この本を読んで感動を共にしてもらいたい」という推薦コメントも届きました。
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本書は発売直後から大きな注目を集め、発売即重版、わずか2週間で3刷となりました。読売新聞(5月7日夕刊)をはじめ各種メディアでも取り上げられており、まさに話題の一冊となっています。
ちなみに、冒頭で紹介したWikipedia3大文学の残り二つは「八甲田雪中行軍遭難事件」「三毛別羆事件」ですが、じつはこれらの記事の参考にされたり、深いかかわりがあるのが新潮文庫の『八甲田山死の彷徨』(新田次郎)、『羆嵐』(吉村昭)です。今回新刊として発売された『死の貝―日本住血吸虫症との闘い―』はもちろん、こちらの二冊もぜひ合わせてお読みください。いずれの作品からも、自然の驚異や人間のはかなさ、それでも立ち向かっていこうとする人間の強さを感じることができるはずです。
2024年6月3日に没後100年を迎えるフランツ・カフカ。新潮社はカフカがまだほとんど知られていない1953年から1959年にかけて『カフカ全集』(全6巻)を刊行。そしてカフカの知名度が挙がった1980年から1981年に1度目の全集には収録されていなかった手紙などを新たに加え、『決定版カフカ全集』(全12巻)を刊行しました。
本作はその『決定版カフカ全集』より短編を15編厳選。編者は『絶望名人カフカの人生論』や『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』など、数多くのカフカに関する作品を編訳している頭木弘樹さん。『決定版カフカ全集』を各巻100回以上読んでいる頭木さんが、カフカの自己評価や読者の評価を鑑み、「これだけは読んでおきたいカフカ!」といえる、カフカの王道作品をセレクトしています。
結婚式を巡って父親との対峙を描く「判決」、特殊な拷問器具に固執する士官の告白「流刑地にて」、檻の中での断食を見世物にする男の生涯を追う「断食芸人」など、誰も真似することのできないカフカだけの世界を体感する作品になっています。
5月29日にはカフカがノートやメモに遺した、短く未完成な小説のかけらを集めた『カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―』を刊行いたします。カフカを読んだことがない方も、『変身』のみ読んだことのある方も、かつて愛読されていた方も、この機会に再びカフカに出会ってみてはいかがでしょうか。