安部公房生誕100年! 文庫最新刊第3弾! 多様な表現を通して浮上する世界的作家、思考の淵源。
本作は、復刊が待ち望まれていた1991年発売の安部公房の評論・エッセイ集『死に急ぐ鯨たち』(新潮文庫)に、『安部公房全集 28 1984.11-1989.12』(新潮社)に収録されている「もぐら日記」「もぐら日記II」「もぐら日記III」を新たに追加した作品です。
想像不足からくる楽観主義へ警鐘を鳴らす「死に急ぐ鯨たち」、自身の創作を振り返るインタビュー「錨なき方舟の時代」、今話題の『百年の孤独』とガルシア・マルケスを語った談話「地球儀に住むガルシア・マルケス」、貴重な日常を綴る「もぐら日記」など......。多様な表現で国家、言語、儀式、芸術、科学を縦横に論じてゆく中で、1980年代に語られた言葉の数々が、今なお社会の本質を射抜いていることに驚かされます。文学の最先端を走り続けた作家が明かした思索の数々をご堪能ください。
今年、新潮文庫編集部は『飛ぶ男』、『(霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集―』『死に急ぐ鯨たち・もぐら日記』の3点を刊行。更に世界初公開を含む待望の本格的写真集『安部公房写真集―PHOTOWORKS BY KOBO ABE―』(撮影/安部公房 編・デザイン/近藤一弥)を刊行いたしました。代表作の1つ『箱男』の映画も全国公開中。10月より神奈川近代文学館では、特別展「安部公房展――21世紀文学の基軸」(10月12日~12月8日)の開催が決定しました。生誕100年を迎えたこの機会に、是非安部公房を。
2024年09月15日 今月の1冊