新潮文庫メールマガジン アーカイブス
文庫セレクト



 漠然とした不安、仕事や人間関係のストレス、自分に自信が持てない、など現代人は悩みが尽きない。
 今回は、ハードな毎日の中で頑張っている人、これから頑張ろうとしている人、またはもう諦めそうになっている人に読んでほしい本をピックアップしました。
 生きにくさを感じている社会人の悩みを取り去ってくれる処方箋となり、これから新生活を送る社会人や新学期を迎える学生にとっては、挫けずに頑張れる“予防法”を学べるはずです。

 例えば、植木理恵さんの『シロクマのことだけは考えるな!』には、失恋した、仕事で失敗したなど、どうしようもなく落ち込む時は、“気分を盛り下げよう”“負け犬は負け犬と過ごすのがいい”と答えています。
「なぜ傷口に塩を塗るようなことを言うんだ!」と腹を立てられる方もいらっしゃるでしょうが、実はとことん落ち込むことが心理学的知見から考えられた“ハッピーへの近道”なんだとか……その理由を知りたい方は本書を手に取ってみてください。もちろん、シロクマのことを考えてはいけない理由もわかりますよ。


脳はなにかと言い訳する

「脳」は幸せの鍵を握っている! 恋愛、仕事、アルコールetc.「脳」のしくみを知れば知るほど毎日がきっと楽しくなる!

ピアニストやスポーツ選手は、優れた遺伝子を持っているだけでは「一流」にはなれない。目標を達成するためには、脳に「やる気」を起こさせるのが鍵。また、脳には過去の決断に対して、後悔しないよう正当化する機能がある。仕事や恋愛など、身近な場面でも活かされるこの能力こそが人を幸せにするのだ。知るほどに魅力に溢れている脳を、「海馬」の研究者が説く、脳科学最前線。

●池谷裕二『脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?―

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なぜこんなに生きにくいのか

生き延びるためにいまこそ、仏教。禅僧が教える究極の処生術。

人として存在するかぎり、苦しみはけっしてなくなることはない。ならば、この生きがたい人生をいかに生きるか、それが人間のテーマではないだろうか。宗教はなんらかの真理を体得するものでなく、少しでも上手に生き抜くための「テクニック」。自らの生きがたさから仏門に入った禅僧が提案する、究極の処生術とは。困難なときこそ、具体的な思考で乗り切るための“私流”仏教のススメ。

●南直哉『なぜこんなに生きにくいのか

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2013年01月21日   文庫セレクト



 あと少しでお正月ですね。この時期になると一年があっという間に過ぎてしまったな、と思います。毎年のことながら、この一年のことや自分自身のことを考えるのが習慣となっています。
 いや、個人的な習慣というより、一年の節目というのは、どんな一年を送っても自分自身を見つめ直す人類共通の一コマではないでしょうか。そして、目標や希望を抱いて新たな年を過ごしていく岐路でもあります。
 そう、「一年の計は元旦にあり」との諺(ことわざ)があるように、私たちにとってとても大事な時期なのです!

 今回は、そんな重要な時期にふさわしい、心を整えてくれる時代小説をピックアップしました。
 登場人物の胸に秘めた想いや人生模様を鮮やかに描いた珠玉の作品を手に取ってみてください。心がスッキリすると同時に、思いもよらない視界の広がりを感じるはずです。


山本周五郎『赤ひげ診療譚』

幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。

●山本周五郎『赤ひげ診療譚


藤沢周平『橋ものがたり』

幼な馴染のお蝶が、仕事場に幸助を訪ねてきた。奉公に出るからもう会えないと、別れを告げるために。「五年経ったら、二人でまた会おう」年季の明けた今、幸助は萬年橋の袂でお蝶を待つが……。(「約束」)様々な人間が日毎行き交う江戸の橋を舞台に演じられる、出会いと別れ。市井の男女の喜怒哀楽の表情を瑞々しい筆致に描いて、絶賛を浴びた傑作時代小説。

●藤沢周平『橋ものがたり

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2012年12月20日   文庫セレクト



 角田美代子容疑者とその関係者が、25年以上にわたって、数世帯の家族を長期間監禁、虐待し、数名を虐殺したとされる「尼崎連続変死事件」が今、世間を震撼させている。
 ネット上では、「サザエさん一家」になぞらえた不謹慎な相関図が作られるほど、登場人物が多く、加害者と被害者の関係性があまりにも複雑でわかりにくく、この事件の有り様は、2002年3月に発覚した「北九州監禁殺人事件」に酷似している、と指摘する声が多い。

 一方で、2012年11月6日には「逗子ストーカー殺人事件」が起こり、事件前に脅迫容疑で容疑者を逮捕した県警が、女性の個人情報を知らせてしまうという不手際が報道された。

 これらの事件は、いかにして起こったのか? そして、なぜ未然に防ぐことができなかったのか?

 今回の文庫セレクトでは、尼崎と北九州の事件が共通していることやストーカー殺人の報道を受け、犯罪撲滅や防犯対策の教訓として読まれることを期待して、過去に発覚した犯罪史上稀に見る凶悪犯罪や警察の問題点と劇的な事件の真相を追った本を取り上げました。


「尼崎連続変死事件」に酷似した戦慄の事件!

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件―
豊田正義

まさに鬼畜の所業! 監禁虐待による恐怖支配で、家族同士に殺し合いをさせた殺人鬼。

七人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、その事件は闇の中に沈んでいた──。明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待によって奴隷同然にし、さらには恐怖感から家族同士を殺し合わせる。まさに鬼畜の所業を為した天才殺人鬼・松永太。人を喰らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行の全貌を徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。

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2012年11月20日   文庫セレクト



 幅広いジャンルの中から濡れ場のある小説をピックアップしました。
 官能小説以外に、恋愛小説や時代小説、ミステリ、純文学などからも、濡れ場を描いた作品を選びましたが、ストーリーそのものは心揺り動かされる“深く底の見えない”テーマを持っています。

 例えば、2012年11月17日に映画が公開される窪美澄さんの『ふがいない僕は空を見た』は、生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取り、読者の圧倒的な支持を得て本屋大賞第2位に、さらには山本周五郎賞を受賞した作品です。また、絲山秋子さんの『ばかもの』は生きること、愛することの、激しい痛みを描いた恋愛長篇であり、唯川恵さんの『とける、とろける』は底知れない性愛の深みに堕ちていく女たちを艶やかに描いた恋愛小説です。

 思わずクリックされた方も、セクシャルなシーンを忌避する方も、機会があればご一読ください。きっとどこかしらが熱くなることは間違いないと思います。



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2012年10月22日   文庫セレクト



 男性にとっては気になる女性の本音。
 女性にとっては気づいてほしいと思っている本音。
 知るのは怖いけど、知っておくと為になる、男のためのちょっと複雑で愛おしい女性の本音がわかる本、6冊をご紹介します。


男脳と女脳の違いを知れば、恋の達人になれる!


恋愛脳―男心と女心は、なぜこうもすれ違うのか―
黒川伊保子

男女の脳は仕組みが違う。だからものの感じ方も見方も違う。男が愛してると言えば、必ず君のもとに戻るという意味。でも女には、これからずっと最優先で君のことを考えると聞える。だから黙って夕食をすっぽかした夫に妻はひどく傷つき、ちゃんと帰ったのに非難された夫は戸惑う。最先端の脳科学とAI(人工知能)の知識を駆使して男女の機微を探るユニークな書。『LOVE BRAIN』改題。

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男女の思考・行動の違いを、ユーモラスにわかりやすく解説!


この人と結婚していいの?
石井希尚

男はウルトラマン、女はシンデレラ──結婚カウンセラーとして数多くのカップルの問題を解決してきた著者が、男女の思考・行動の違いを、ユーモラスにわかりやすく解説!「結婚したら夫が急に無口に……」「突然怒ったり泣いたりする彼女が理解できない」「性生活が不一致で……」など、心当たりはありませんか? 結婚前は勿論、倦怠期、破局寸前の夫婦にも効き目抜群の“愛の処方箋”。

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2012年09月20日   文庫セレクト