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十周年だよ、若だんな! 累計500万部突破目前! 大人気「しゃばけ」シリーズ第十弾。

  • 舞台化ミュージカルしゃばけ(2017年1月公演)

やなりいなり

畠中恵/著

1,512円(税込)

本の仕様

発売日:2011/07/29

読み仮名 ヤナリイナリ
雑誌から生まれた本 小説新潮から生まれた本
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 255ページ
ISBN 978-4-10-450714-6
C-CODE 0093
ジャンル 歴史・時代小説
定価 1,512円

いつも妖たちで騒がしい長崎屋が、空前絶後の大賑わい! 鳴家よりも遥かに小さなお客に、禍をもたらす恐ろしい神様たち、お喋り極まりない御仁や、触るととんでもないことになってしまう子どもなど、「しゃばけ」史上最高の千客万来! さらに、全話に「レシピ」も付いてます。今年も夏は「しゃばけ」の季節!

著者プロフィール

畠中恵 ハタケナカ・メグミ

高知県生れ、名古屋育ち。名古屋造形芸術短期大学卒。漫画家アシスタント、書店員を経て漫画家デビュー。その後、都筑道夫の小説講座に通って作家を目指し、『しゃばけ』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。また2016(平成28)年、「しゃばけ」シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞する。他に「まんまこと」シリーズ、「若様組」シリーズ、『つくもがみ貸します』『アコギなのかリッパなのか』『ちょちょら』『けさくしゃ』『うずら大名』『まことの華姫』などの作品がある。また、エッセイ集に『つくも神さん、お茶ください』がある。

しゃばけ倶楽部~バーチャル長崎屋~ (外部リンク)

目次

こいしくて
やなりいなり
からかみなり
長崎屋のたまご
あましょう

インタビュー/対談/エッセイ

波 2011年8月号より 畠中 恵「しゃばけ」シリーズ第10弾『やなりいなり』刊行記念対談 悩んでいるのは、自分だけじゃない

恩田陸畠中恵

小説の先生/「ファンタジーノベル大賞」らしい小説
こんな小説、書いてみたい/小説を、書き出す前に/小説を書く筋肉

小説の先生

畠中 今日はお会いできて、うれしいです。
恩田 こちらこそ、ありがとうございます。栄吉さんの菓子作りの腕が上がることを祈って、老舗の和菓子屋で豆大福を買ってきましたので、どうぞ。ところで、栄吉さんは、上手にお菓子を作れるようになるんでしょうか?
畠中 餡子は永遠に鬼門かもしれませんので、それ以外のお菓子なら、いつかは(笑)。
恩田 餡子を使わない、何か画期的な和菓子を生みだすしかないですね。
畠中 栄吉さんの名付け親は、都筑(道夫)先生なんです。最初は違う名前を付けていて、先生に読んでいただいたら「小さな店の跡取りで、そんな大きな名前は変だ」といわれまして。「だったら、先生、付けてください!」とお願いしました。いま思えば、図々しい生徒です。
恩田 都筑先生の小説教室に、八年くらい通われていたんですよね。いきなりクライマックスの場面から入るとか、技巧的に凝ってるなぁ、これは「都筑教室」のテクニックかしら、と勝手に思ってました。日本FN(ファンタジーノベル)大賞に応募された『しゃばけ』は「時代物」でしたけど、もし「現代物」のミステリーでデビューしていたら、その後に書かれる小説はどんなジャンルのものになっていたと思いますか? 『ねこのばば』や『ぬしさまへ』は、結構本格ミステリーテイストが強いですよね。もしかしたら、そちらの方がメインになっていらっしゃったかも、とふと思ったんです。
畠中 先生のところではミステリーが主ではありましたけど、いろんなジャンルの小説を書いていて、ちょっとでも褒めてもらえたら、どこかの新人賞に応募しようと思っていたんです。でも、なかなか褒めてくださらなくて(笑)。初めて書いた「時代物」が『しゃばけ』でした。師匠の都筑先生が、ミステリー、時代小説、SFと、ジャンルにこだわらず書かれていたので、もし現代を舞台にしたミステリーでデビューしていても、いつかはきっと時代小説を書いていた気がします。

「ファンタジーノベル大賞」らしい小説

恩田 デビューされた頃は、マンガはまだ描かれていたんですか?
畠中 少しだけ、描いていました。小説の方が忙しくなってきて、いつの間にか、なんとなく描かなくなったんです。『六番目の小夜子』でデビューされたとき、お仕事は?
恩田 六年間、サラリーマンと兼業していました。担当編集者に「デビューしても会社は辞めないでください」と言われたので(笑)。会社を辞めてからは、プロだったら量をこなさないといけないというのが念頭にあって、仕事を全部受けたんですけど、忙しすぎて大変なことになりました(笑)。
畠中 この賞だったら、『しゃばけ』のように妖も出てくる時代小説を受け入れてくれるのではないかと思って送ったんですけど、恩田さんはどうしてFN大賞に応募されたんですか?
恩田 当時の選考委員、荒俣宏さん、安野光雅さん、井上ひさしさん、高橋源一郎さん、矢川澄子さん、全員を尊敬していたんです。そんな賞は他にありませんでした。もうひとつは、第一回の受賞作、酒見賢一さんの『後宮小説』の強烈なインパクト。それで、初めて小説を書きあげたときに、ここだ!と応募したんです。「しゃばけ」シリーズもそうですが、この賞をきっかけにデビューされた方の書かれるものは、ジャンル的には全然バラバラなのに、やはりFN大賞出身の小説だなあと感じることが多いから不思議です。
畠中 私もそう思います。いろんなジャンルで活躍されている方がたくさんいらっしゃいますが、どの方からもなんとなく「FN大賞らしさ」を感じるんです。
恩田 面白い賞ですよね。

こんな小説、書いてみたい

畠中 時代小説を書いてみようと思うことはないですか?
恩田 私には、誰も勧めない(笑)。自分でも、時代小説を書けるとはどうしても思えないんです。でも、最近先輩のミステリー作家が皆さん時代小説にシフトしてらしてて。なぜかときいたら、やっぱり書いてみたくなるんだそうです。山田正紀先生が、時代ものをやりたいのではなく「山田風太郎」をやりたいんだよ、とおっしゃったこともあって。なるほど、その感覚だったら、私にもあるかもしれないと思ったことはあります。舞台が現代なのか時代物の範疇に入る頃なのかはまだ分かりませんが、いつか「心中物」を書くのが夢なんです。あとは、大河物といえばいいのでしょうか、ある一族の何百年にも亘る物語、というのはやってみたいですね。年表とか家系図も作って。
畠中 年表や家系図、私も大好きです。ゼロから世界を構築する壮大なファンタジーを、いつかはやってみたいです。食べ物や衣装のイラストも自分で描いて。時間さえ作ることができれば、趣味として書いてネットで発表する。そんなことができたら楽しいだろうなと思います。
恩田 もし本当に実現したら、新潮社が放っておかないと思いますけど(笑)。

小説を、書き出す前に

畠中 お会いできると決まったときに、ぜひお伺いしたいなと思うことがありまして。恩田さんの小説はずっと好きで読み続けているんですけど、一番すごいなと感じているのが、風呂敷の広げ方なんです。
恩田 それを言われると、痛い(笑)。ほとんど反射で広げてまして、連載しているときなんか「そろそろ畳まないと、間に合わないんじゃないですか?」と言われることもあるので。
畠中 そうなんですか? 信じられないです。今日、風呂敷の広げ方の秘密、みたいなものを伝授されて、これから小説を書くのが楽になるかもしれないと、うっすら期待していました(笑)。
恩田 畠中さんは、「しゃばけ」シリーズを毎年出されているでしょう。年によって、一冊にまとめるときの構成というか、全体像を決めているんですか?
畠中 前作(『ゆんでめて』)、前々作(『ころころろ』)のときは、連作長編のスタイルで、一冊を通してひとつの大きな物語にしようと思っていました。今作の『やなりいなり』は、全話にレシピをつけるということだけ最初に決め、それ以外に縛りを設けていなかったんです。これまでもそうでしたが、それでも不思議とつながりが出てくるんです。今回は、若だんなのところに外からお客さんがやってくるお話が多くなりました。
恩田 過去最高の数の新しい登場人物が出てきていますよね。作者としては、どのキャラクターにも思い入れがあって、みんなかわいいとは思いますが、一番お好きなのは、誰なんですか?
畠中 想像をはるかに超えて動きだしちゃったのは、鳴家と屏風のぞきです。いつの間にか、存在感が増してきて、いうことを聞かなくなりました。
恩田 私は、貧乏神の金次さんが、結構好きです。
畠中 金次さんは、唯一モデルがいるキャラクターなんです。杉浦日向子先生の「お江戸でござる」をテレビで観ていたときに、笹野高史さんが貧乏神役をやられていました。そのとき、これだ!と思いまして。最近、新しいキャラクターがたくさん出てきているので、次は、新人さんを出さないと決めて書いてみようかなと、少しだけ思っています。毎回、切り口だったり、題材だったり、自分なりの新しいチャレンジをしたいんです。
恩田 私は、全体の構成を考えてから連載を始めるタイプではないんです。前はまとめる時に直そうと突っ走って書いたんですけど、後から直すのは難しいというのが経験上身にしみたので、最近は書くのにすごく時間がかかるようになってしまって。ただ、読み終わったときに「すごく嫌な気分になる話を書こう」とか、「すがすがしい気持ちになるものを書こう」など、読後感をどういうものにするかを目標として、書き始めることが多いですね。ところで、『ころころろ』で若だんなの目が見えなくなってしまうのは、『ガラスの仮面』は関係ないですか? これは、姫川亜弓かしら、と思って。「はるがいくよ」は『ジェニーの肖像』へのオマージュでは?
畠中 ある作品を意識して、小説を書くということはないんです。唯一、いつかトリビュート的なものをやりたいと思っているのが、師匠の「なめくじ長屋」なんです。でも、無理だ、できない!と二の足を踏んでいます。
恩田 ぜひ、書いてください!

小説を書く筋肉

畠中 最初の担当者だった方に、「しばらく小説を書き続ければ、書く筋肉がつきますよ」と言われて、「そうなのか」とそのときは思ったのですが、いまだについていない(笑)。いつつくんだろうと、ずっと待っています。
恩田 私も、デビュー直後にいっぱい仕事を受けたのは、量を書けば小説を書くのが楽になるんじゃないかと思ったからなんです。だけど、書けば書くほど苦しくなってきている。どうやって書けばいいんだろうと悩んでばかりです。前に書けたから、次も書けるとは限らないとも思ったり。でも、そうやって悩まなくなってしまったら、小説家として終わりなんだろうなあと、最近は思うようになってきました。周りを見ると、みなさん簡単に書いているように見えるんですよね。でも、きっと誰もが悩みながら書いているはずなんです。
畠中 悩んでいるのは、自分だけじゃないんですね。ちょっと安心しました(笑)。

(おんだ・りく 作家)
(はたけなか・めぐみ 作家)

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