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没後30年、有吉佐和子ブーム再び



1984年8月30日、53歳の若さで急逝した有吉佐和子作品が文庫で続々と復刊されています。

 旺盛な好奇心で、初期には歴史や古典芸能に取材した作品を発表。後期には社会矛盾を告発する数々のベストセラーを書いた有吉佐和子さん。

 高齢化社会に警鐘を鳴らした『恍惚の人』、食の安全について先駆的に問い掛けた『複合汚染』、代表作とされる紀州を舞台にした女の三代記『紀ノ川』、120万部のベストセラー『華岡青洲の妻』をはじめ、新潮文庫ではこれまで累計1000万部を超える有吉作品を刊行し続けてきました。

 没後30年を機に『悪女について』の新装版を刊行(8月末発売)するほか、『鬼怒川』(8月末発売)『私は忘れない』(9月末発売)『助左衛門四代記』(10月末発売)の3作品を復刊いたします。

 是非この機会にお手に取ってください。





悪女について
有吉佐和子

《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。

ISBN:978-4-10-113219-8 発売日:1983/03/29

書評 テレビ化

935円(定価) 購入



鬼怒川
有吉佐和子

鬼怒川のほとりにある絹の里・結城。貧農の娘チヨは、紬織りの腕を見込まれて、16歳で日露戦争生き残りの勇士のもとに嫁いだ。気のいい婚家の人々の中で、彼女は幸せになれるかに思われた。しかし、夫も、太平洋戦争から復員した息子も、そして孫までも“黄金埋蔵伝説”にとり憑かれ、悲惨な運命を辿る……。戦争の傷跡を背負いながら精一杯たくましく生きたひとりの女の生涯を描く。

ISBN:978-4-10-113215-0 発売日:1980/05/25


781円(定価) 購入



私は忘れない
有吉佐和子

日本のめざましい経済成長の陰に、電信電話もなく台風の被害も報道されない僻地。海の荒れる時は定期便の船さえ近づけない閉ざされた南の離島、黒島。スターの座を夢みながらチャンスを逃した門万里子は単身黒島へ旅立ち、自然との闘いの中でたくましく運命を切り開く人々の純朴な姿に心を打たれる――。明るい筆致で、厳しい日常生活の中に人間らしさの恢復を試みた問題作。

ISBN:978-4-10-113205-1 発売日:1969/11/18


649円(定価)



助左衛門四代記
有吉佐和子

巡礼の呪いなのか、代々の長男を不慮の事故で失いながらも、なお営々とその家名を守り、隆盛を極める紀州木ノ本の旧家垣内家。封建の世から近代に至る250年にわたる家系をたどり、代々の当主の個性と、その蔭で“家のしがらみ”となって生きぬく女たちとを、六代目にあたる垣内二郎の手記の形で描く。名作『紀ノ川』をさらに一歩進めた、雄大で風格のある歴史小説である。

ISBN:978-4-10-113203-7 発売日:1965/09/06


737円(定価)




主な代表作

恍惚の人
有吉佐和子

老いて永生きすることは幸福か? 日本の老人福祉政策はこれでよいのか? 誰もが迎える〈老い〉を直視し、様々な問題を投げかける。

ISBN:978-4-10-113218-1 発売日:1982/05/27

文学賞 テレビ化

935円(定価) 購入




複合汚染
有吉佐和子

工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか? 小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!

ISBN:978-4-10-113212-9 発売日:1979/05/29


990円(定価) 購入




紀ノ川
有吉佐和子

小さな川の流れを呑みこんでしだいに大きくなっていく紀ノ川のように、男のいのちを吸収しながらたくましく生きる女たち。――家霊的で絶対の存在である祖母・花。男のような侠気があり、独立自尊の気持の強い母・文緒。そして、大学を卒業して出版社に就職した戦後世代の娘・華子。紀州和歌山の素封家を舞台に、明治・大正・昭和三代の女たちの系譜をたどった年代記的長編。

ISBN:978-4-10-113201-3 発売日:1964/07/02


737円(定価) 購入




華岡青洲の妻
有吉佐和子

世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。

ISBN:978-4-10-113206-8 発売日:1970/02/03

文学賞 舞台化

572円(定価) 購入




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2014年08月20日   文庫セレクト
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