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『何者』&『何様』累計100万部突破!


 朝井リョウさんの直木賞受賞作『何者』は、2016年に映画化もされ、大きな注目を集めました。就職活動を目前に控えた拓人は、ルームメイトの光太郎や、偶然にも同じアパートに住んでいた理香と隆良、そして留学帰りの瑞月と、就活対策のため頻繁に集まるようになります。最初は共同戦線だったはずの5人ですが、SNSや選考で交わす言葉の奥の本音や自意識が、彼らの関係性を次第に変えてゆきます。ラスト30頁は衝撃の連続! まだお読みでない方はぜひご一読下さい。

 そして、『何者』の登場人物たちの知られざる過去や未来を描く6編を収めた『何様』が、このたび新潮文庫より発売されました。
 
 光太郎の初恋の相手は? 理香と隆良が知り合ったきっかけとは。社会人になったサワ先輩。烏丸ギンジのその後。瑞月の父親に起こったある出来事とは――。

 そして表題作の「何様」にネット通販の会社の面接を受けた男子学生の入社後の姿が描かれます。『何者』では選考される側だった克弘は人事部に配属され、選考する側の立場に。

 他人を選考するなんて、何様のつもりなんだろう。

 どうしてもその思いが拭えない克弘は、戸惑いながら、葛藤しながら、仕事を進めていきます。そしてもう一つ、克弘には自分に問い続けていることがあり......。

 年齢も立場も、「大人」と呼ばれるような存在に近づいていくのに、自覚や態度が追いつかないジレンマや焦りが丁寧に細やかに描かれています。「大人」に反発する人に、「大人」になれないと感じている人に、そして「大人」である自分を受け入れた人に、ぜひとも読んでいただきたい作品です。

 文庫化にあたって、オードリーの若林正恭さんに解説をお寄せいただきました。「中年」になった自分を受けとめる覚悟に胸打たれる、素晴らしい解説です。

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2019年07月17日   今月の1冊
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