ホーム > 新潮文庫 > 新潮文庫メール アーカイブス > 佐藤多佳子さんの、山本周五郎賞受賞作『明るい夜に出かけて』が 文庫に。朝井リョウさんも大絶賛!
新潮文庫メールマガジン アーカイブス
佐藤多佳子さんの、山本周五郎賞受賞作『明るい夜に出かけて』が 文庫に。朝井リョウさんも大絶賛!


 主人公の富山とみやまは、彼女との間に起きた問題からトラブルに巻き込まれた。そのため、大学を休学し、実家を離れ、期間限定の自立を始める。接触恐怖症という、他人にはなかなか理解されない体質を抱え葛藤するも、相変わらず人間関係は苦手なまま。深夜ラジオを心の拠り所とし、「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」に投稿を続けるハガキ職人でもある。しかし、コンビニでバイトをするうち、チャラい見掛けによらずバイトリーダーとして仕事をこなす鹿ざわや、同じラジオ番組のヘビーリスナーらしい女子高生の佐古田さこだと親しくなり、世界が鮮やかな色を取り戻していく。

 SNSやネットの中では繋がっていても、現実の距離のとり方が難しいと感じる人は多い。佐藤さんの作品には、どこか不器用な一面を持つ登場人物が描かれることが多い。そして、最後のページを読み終えたとき、その背中をそっと後押ししてくれる温かさが、そこにはある。『明るい夜に出かけて』は、『しゃべれども しゃべれども』『黄色い目の魚』『サマータイム』『一瞬の風になれ』などの代表作に続く、青春小説の傑作です!

 また、「波」5月号にて、上橋菜穂子さんとの「作家生活三十周年記念対談 『原点』そして『これから』」が掲載されています。デビュー作『サマータイム』が生まれたエピソードなど、物語に籠めた思いを語っていただきました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年05月15日   今月の1冊
  •    
  •