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「私はいずれ、夫に殺されるかもしれない」


 2020年、日本推理作家協会賞短編部門を受賞した『夫の骨』は、亡くなった夫の遺品をめぐる、背筋がぞくりとする、ミステリです(『夫の骨』祥伝社文庫収録)。著者の矢樹純さんは、2002年、「ビッグコミックスピリッツ増刊号」で漫画原作者として文筆活動に入りました。2012年、「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で、小説家としてデビュー。現在、最も注目される作家のひとりです。優れた心理小説でありながら、思いもしなかった最終目的地に読者を連れてゆく短編が、大きな支持を得ています。
 再注目の契機となった『夫の骨』に続き、このたび新潮文庫から最新ミステリ集『妻は忘れない』を刊行します。義父の弔問にふいに訪れた、夫の前妻。親しくはなかったはずなのに、急速に距離を詰めてくる、ママ友。姉妹の間にいつしか生じていた、亀裂。刊行前に読んでくださった書店員さんたちからは、「怖くて、ひたすら心拍数が上がり続けた」「中毒性がある」「ラストまで一気読みした」「見事などんでん返し」という評価を頂きました。どこにでもある平凡な町。そこに暮らす、ごく普通の人びと。彼らの永遠に続くように感じられた日常が、ある日、見たことのない色に塗り替えられる――。読み終えたとき、あなたはきっと矢樹作品の虜になっていることでしょう。

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2020年11月15日   今月の1冊
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