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住野作品の魅力がギュッと詰まった小説


 累計300万部を突破し、実写映画、アニメ映画も大きな人気を博した『君の膵臓をたべたい』。原作の帯に「読後、きっとこのタイトルに涙する」とある通り、ラストで号泣してしまった人も多いかと思います(私もその一人です。もう何度読んだかわからないのに、先日あった映画の再放送でもまた涙、涙......)。
 著者の住野よるさんは、若い世代の繊細で切実な心の揺れ動きを見事に小説に写し取り、さらにはエンタテインメント作品には必須の「仕掛け」を自在に操る手腕の持ち主。
 4作目となる『か「」く「」し「」ご「」と「』でも、この「痛いほどわかる」心理描写と、驚きに満ちた仕掛けという住野作品の「二大魅力」(!?)を、存分に堪能できます。
 主役は、ちょっとだけ特別な力を持った、高校の5人のクラスメイト。
 いつも「自分なんて......」と地味な自分に引け目を感じている、京くん。文化祭でヒーロー役を務める、明るく元気な女の子、ミッキー。パッパラパーで予測不能、ふざけているようで実は本気? なパラ。体育会系で明るい王子様キャラでクラスみんなの人気者、ヅカ。内気で控えめ、ある日突然不登校になってしまったエル。
 それぞれの秘密が、すれ違ったり、響き合ったり......。とにかくもう、この5人が愛おしくてたまらない! 青春時代はとうに過ぎた編集者も、心をぎゅっと掴まれました。爽やかで、眩しくて、そしてなんだか、5人に元気と勇気をもらえる。
 単行本発売時には品切れ書店が続出、一時は印刷所も(嬉しい?)悲鳴を上げたほどの超人気作が、満を持して文庫になりました。ぜひこの機会にご堪能ください。
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2020年11月15日   今月の1冊
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