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【特集】アンパンマンと絵と歌と
大人のためのやなせたかし入門

芸術新潮 2025年5月号

(毎月25日発売)

1,500円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2025/04/24

発売日 2025/04/24
JANコード 4910033050551
定価 1,500円(税込)
●目 次

【特集】アンパンマンと絵と歌と
大人のためのやなせたかし入門

グラフ
あなたの知らないアンパンマン

再録
アンパンマン誕生秘話
文 やなせたかし

これだけは押さえておきたいアンパンマンの主要キャラ

ESSAY 1
勇気の花から生まれた少女
――『アンパンマン』はなぜ幼子の心をつかむのか
文 岡和田 晃

略年譜
人生なんて夢だけど やなせたかしの94年

マンガでたどるロング・ワインディング・ロード
作 伊野孝行

  • やなせたかしを知るための8つのキーワード
    解説 梯 久美子
  • 1 漫画的精神
  • 2 哀しき自画像
  • 3 天才たちとの出会い
  • 4 だれでも詩人
  • 5 家族という原風景
  • 6 容赦ない絵本
  • 7 つながるいのち アンパンマン
  • 8 抒情の旗をまもる――「詩とメルヘン」責任編集30年
  • COLUMN 1 やなせメルヘン『十二の真珠』を読む
  • COLUMN 2 「詩とメルヘン」ってどんな雑誌?

ESSAY 2
やなせたかしと反逆のリリシズム
文 中村圭子

南 伸坊×伊野孝行「いい絵だな」対談⚫︎やなせたかし篇
偉大なる「無意識過剰」と「尊敬力」

もっと知りたい人のために――
やなせたかし関連の新刊本、展覧会、ミュージアム案内


◆ 第2特集 ◆

〈対談〉諏訪 敦×川瀬佑介
バロックから近代へ
スペイン絵画どこから見るか?

◆ Art News exhibition ◆

LGBTQIA+アートの先駆者
リー・バウリー参上!!

よみがえる酒呑童子絵巻

◆ Review ◆

  • 仲村浩一「第28回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展より
  • 森田浩彰
  • 「エド・イン・ブラック 黒からみる江戸絵画」
  • 出光真子「フェミニズムと映像表現」より

◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

Goods & Shop

時と光の美術館〈97〉
ハンガリーの聖冠

とんぼの手帖〈17〉
二転三転のカラヴァッジョ

◇ 連載 ◇

定形外郵便〈130〉
文 堀江敏幸

三浦 篤×森村泰昌
キテレツ絵画の逆襲〈9〉
前衛絵画の行方
ゲスト:弘中智子

千住 博の
知となり肉となり〈22〉
目標との向き合い方

山下裕二の
新・今月の隠し球〈39〉
寺本 愛(上)

福井江太郎の
駝鳥がゆく!!〈26〉
福井昭雄さん

◇ PICK UP ◇

  • movie 佐々木敦
  • book 諏訪 敦
  • recommend 編集部のおすすめ!
  • ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈58〉
    小田原のどか
  • exhibition 全国展覧会情報

ART CAFÉ
GALLERY'S PLAZA

次号予告

▼芸術新潮特別企画

春のアート・スポット
第4回「絵と言葉のチカラ展」/鳥取県立美術館/大阪市博物館機構「大阪の宝」/笠間日動美術館

連載 美に魅せられて/
 アジア文化芸術協会〈66〉
 東大寺二月堂《光背》

日本近代洋画のミカタ〈9〉
シュルレアリスムの洗礼

最新号PICK UP

「いい人」であること

詩とメルヘン

 個人的な話で恐縮ですが、昔、友人が雑誌「詩とメルヘン」の熱心な投稿者でした。彼女は珍しいくらいピュアな心の持ち主で、気になる言葉を見つけては口の中で唱えて楽しむような、ちょっと浮世離れしたところがあり、ふわふわとした空気をまといながらも鋭敏で繊細な感性を身中にそっと秘めた人でもありました。詩を書いていることを恥ずかしそうに打ち明けてくれた彼女が、編集長であるやなせたかしに心酔していることは言葉の端々からうかがえました。

「詩とメルヘン」はやなせが1973年に創刊し、2003年の終刊まで責任編集を務めた詩と絵の投稿雑誌です。読者から広く投稿を募り、やなせが選んだ詩を、プロアマの区別なくイラストレーションとともに掲載していました。時期としては「アンパンマン」とほぼ重なるのですが、一方で、やなせが全身全霊を傾けてこの雑誌の編集にあたっていたことはあまり知られていないかもしれません。

 やなせ本人はかつて、この「詩とメルヘン」と「手のひらを太陽に」、「やさしいライオン」、「アンパンマンシリーズ」の4つを自身の仕事の支柱だと述べており、本特集でもこれらを中心にやなせの多彩な仕事を紹介しています。「手のひらを太陽に」の背景に死を思うほどの苦悩があったこと、「アンパンマン」というキャラクターに作者の人生が深く結びついていること、「メルヘン体質」であったこと等々、今回はじめて知ったことは多くありますが、個人的に「あっ」と思ったのが、「詩とメルヘン」に掲載する詩の選考方針でした。それはずばり、「いい人であるかどうか」。選考基準としてふんわりしすぎているし、直接会うわけでもないのにそんなことがわかるのかと思う人もいるでしょう。かくいう編集子も最初は懐疑的でした。しかし、「詩とメルヘン」のバックナンバーの中に、先の友人の名前を何度も見つけ、年に1度選ばれる「詩とメルヘン」特別賞の受賞者として誌面のなかで微笑む懐かしい姿を見たとき、その疑いは消え去りました。

「天才であるより、いい人であるほうがずっといい」というのは、本特集でメイン解説を務めてくれた梯久美子氏が、やなせの言葉の中でもっとも好きな言葉だということです。梯氏もかつて「詩とメルヘン」の投稿者で、詩が掲載されたことがありました。「いい人」によるやさしい言葉に満ちた世界を、やなせたかしは守りたかった。それは他者を打ちのめしたり、町を破壊したりしないアンパンマンの世界と地続きのように思われるのですが、いかがでしょうか。

この号の誌面

編集長から

朝ドラのモデルはこの人
特集「大人のためのやなせたかし入門」

「アンパンマン」がアニメ化され、ブレイクしたのは1988年のことだが、編集子自身はそれ以前すでに絵本のアンパンマンに親しんでいた。子育て中にもさまざまな形で手に取ったし、知ってるつもりでした、アンパンマンのこと。しかし、それは勘違いだったらしい。作者やなせたかしの人生を背景に置いて向き合うと、自分の顔を食べさせ飢えた人を救うという主人公の異様さとそれが持つ意味を改めて考えざるをえないし、無限のキャラクター造形力(アンパンマン・シリーズのキャラ数はなんと2000超)も驚きだ。案内役は、「詩とメルヘン」の新人編集者としてやなせ編集長の薫陶を受けた梯久美子さん。破格のヒーローを生んだ破格の表現者の実像に迫る特集です。
 第2特集では、画家・諏訪敦が、国立西洋美術館で開催中の「西洋絵画、どこから見るか?」展を訪ね、特にスペイン絵画に絞って担当学芸員と対話。マニアックでシャープで展示が見たくてたまらなくなる、そんな感じ。

芸術新潮編集長 高山れおな

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