【特集】キャバレー王は戦後最高のコレクター
「福富太郎」伝説
芸術新潮 2021年5月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2021/04/24 |
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JANコード | 4910033050513 |
定価 | 1,500円(税込) |
【1】「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」展のチケット 【2】「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」展のチケット 【3】「頴川コレクション 梅舒適コレクション 受贈記念展」のチケット
【特集】キャバレー王は戦後最高のコレクター
「福富太郎」伝説
福富太郎コレクション10選
妖しくも哀しい日本画篇
多士済々の洋画篇
選+解説 山下裕二
PART1
キャバレー太郎一代記
PART2
見た、買った、調べた!
福富流コレクター道
文 前橋重二
PART3
ハリウッドへようこそ!
写真+談 都築響一
PART4
自分史としての戦争画
文 丹尾安典
- PART5
ブラウン管の人気者 - テレビ出演と夜遊びのやさしい先輩
談 海老名香葉子 - 大喜利アシスタントからハリウッドの“顧問”に!?
談 月の家圓鏡
- 福富太郎 賛江
- 1 憧れの人との二度の出逢い
談 成山明光 - 2 暁斎が結ぶ、同い年の縁
談 河鍋楠美 - 3 週刊誌記者が見た「キャバレー太郎」の時代
文 福島清茂
秘蔵資料を発掘!
ハリウッドを盛り上げた印刷物コレクション
再録エッセイ
気分は大倉喜八郎
文 福富太郎
展覧会案内
◆ Art News exhibition ◆
- 女性も異邦人もウェルカム!
三田平凡寺と我楽他宗の素晴らしき仲間たち
文 安藤礼二 -
吾輩ハ三田平凡寺ノ孫デモアル
漫画 夏目房之介
風景版画から挿絵まで、コレクション一挙公開
蒐めて見えた「川瀬巴水」
石本 正
舞妓と裸婦のあいだ
とまらない目と手
中園孔二が遺したもの
◆ Review ◆
「電線絵画展 小林清親から山口晃まで」
「鋳物・モダン 花を彩る銅のうつわ」展
大西茅布「第24回 岡本太郎現代芸術賞展」より
伊藤安鐘
◆ Global News ◆
- Wolfsburg「すべての口に ピーテル・ブリューゲルからシンディ・シャーマンまで」展
- New York「悲嘆と不満:アメリカ美術と喪の時代」展
- Rueil-Malmaison「エルネスト・ピニョン=エルネスト」展
- London「バッグス:なかおもて」展
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
国宝クラス仏をさがせ!〈5〉
法隆寺 如意輪観音菩薩坐像
Goods & Shop
時と光の美術館〈49〉
ヴァン クリーフ&アーペル
◇ 連載 ◇
海外アートStudy最前線〈65〉
文 前橋重二
国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈5〉
選・解説 瀨谷貴之
図書館を建てる、図書館で暮らす〈12〉最終回
〈森の図書館〉で暮らす
文 橋本麻里 山本貴光
イヴ・マチューかく語りき
エコール・ド・パリの誕生を見つめた
「ラパン・アジル物語」〈3〉
ポーロからイヴへ託されて
文 さかもと未明
定形外郵便〈82〉
文 堀江敏幸
あの人と食器棚〈16〉
伊藤まさこ
デザイナー カナヤミユキ
千住博の往復書簡〈34〉
宛先 森田恭通様
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈78〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈11〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
西中千人×山田雅美
作品に日本人の感性を封じこめて
連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈42〉
清凉寺《釈迦如来立像》
ART CAFÉ
Gallery's Plaza
最新号PICK UP
「福富太郎」とは、なんともラッキー&リッチな名前だが、じつは本名ではない。 昭和33年(1958)までは「近衛千代麿」。この仰々しい名前も本名ではなく、昭和26年(1951)、19歳でキャバレーの支配人に抜擢されたとき、自ら出世魚のごとく改名したもの(本名は本誌でお確かめください)。
そんな自己プロデュースと商才にたけた人だったが、唯一の趣味の美術品蒐集だけは、他人にどう見えるかではなく、自分が心底ほしいものを探し求めた。 キーワードは「女性」と「戦争」。水と油のようなこの二つが、奇跡的にとけあっているのが福富太郎コレクションなのである。
今回の特集では、えりすぐりの傑作絵画はもちろん、福富流出世のノウハウ、キャバレー「ハリウッド」の在りし日の輝き、身の上相談の回答者や大喜利の司会者としてテレビで人気を博した勇姿なども紹介。
こんな人は二度と出ない――特集担当者として、それが掛け値なしの実感です。
この号の誌面
編集長から
キャバレー王で蒐集家 福富太郎の審美眼
敗戦後の東京で、喫茶店のボーイを振り出しにキャバレー王まで上りつめた福富太郎(1931〜2018)。唯一の道楽は絵画蒐集で、そのコレクションをまとめて紹介する初の展覧会が開催されている。福富は、世間の評判や美術史における価値に左右されることなく、自分の目を頼りに好きな絵を求め続けた。そのなかには、河鍋暁斎や渡辺省亭、小村雪岱、川村清雄など、購入時は忘れ去られた存在だったものの、近年になって再評価が進んだ作家たちの作品も多い。戦後は色眼鏡で見られた戦争画も熱心に蒐集したのは、自分の歴史の中からこの戦争を除いて考えられないから、だった。買い集めるだけでなく、作品や作家について文献を調べつくす研究熱心な面があり、暁斎に関しては『猩々狂斎伝』を出版。福富は、美術史を書き換える力をもった蒐集家だったのだ。今月号では、独自の審美眼と先見性を備えた稀代のコレクターを、その激動の生涯とともにお伝えしよう。
芸術新潮編集長 吉田晃子
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