第58回 新潮新人賞発表
花江科斗「光の棄却」
【創作】畠山丑雄「デッド・レター」
新潮 2026年11月号
(毎月7日発行)
| 発売日 | 2026/10/07 |
|---|---|
| JANコード | 4912049011168 |
| 定価 | 1,200円(税込) |
◆第58回 新潮新人賞発表
【受賞作】光の棄却(180枚)/花江科斗
かつて中絶を経験し、今後も子どもを生むつもりのない私は、弁護士として働きつつ社会貢献活動を続けている。だがある日、依頼主の被疑者の名を見て、蓋をしていた記憶が溢れ出す──圧倒的熱量で綴られたデビュー作!
◆[受賞者インタビュー]「反出生主義」と向き合って
【選評】上田岳弘/金原ひとみ/九段理江/柴崎友香/滝口悠生
【創作】
◆デッド・レター(200枚)/畠山丑雄
二度も続けて納税通知書を誤送付してしまった、公務員の小野木。そのミスの隠蔽工作のために向かった先で彼が出会ったのは、藤原鎌足が閉じ込めたはずの死字だった。封印されていた歴史を掘り起こす、芥川賞受賞第一作。
【連作】
◆良心的兵役拒否 [7]覚醒/市川沙央
【対談】
◆隠世から現世を眺めること──『木蓮記』をめぐって/奥泉 光×滝口悠生
題材と方法の結びつき。死者と生者が交わる経験。「あはれ」の感覚の向こうに、小説家の秘密が浮かび上がる。
第34回 萩原朔太郎賞発表
【受賞作】文鳥/井坂洋子
【選評】杉本真維子/日和聡子/松浦寿輝/三浦雅士/和合亮一
【対談】
◆書斎、散歩、朔太郎/川上弘美×松浦寿輝
文学における怖さと寂しさ。詩、短歌、俳句と小説を行き来しながら、作品の形に実作者の側から光を当てる。
第25回 小林秀雄賞発表
【受賞作】生類の思想──体液をめぐって/藤原辰史
【選評】伊藤亜紗/片山杜秀/國分功一郎/酒井順子/森田真生
【連載評論】
◆未来の身体(第3回)生まれる 1/伊藤亜紗
【対談】
◆語られなかった史実を物語る──『わたしの知らない子どもたち』をめぐって/西川美和×梯 久美子
戦争を経験していない世代なりに戦争を語り継ぐ。非当事者として一歩引き、初めて描けるようになったもの。
◆[随筆]『わたしの知らない子どもたち』音楽制作ノート/原 摩利彦
【論考】
◆不穏さはどこからくるのか──ミシェル・フーコー『監獄の誕生』新訳刊行に寄せて/重田園江
【連載対談】
◆教室で読む文学(第9回)太宰 治「待つ」/池澤夏樹×田口耕平
【リレーコラム 街の気分と思考】
◆小さな丸いもの/小川洋子
◆人の家の土を掘る/細井美裕
【新潮】
◆ネバー・エンディング・エコーチェンバー/橘 上
◆もっといいやつないか/松田いりの
◆乾かない/根本宗子
【書評委員による 私の書棚の現在地】
◆長瀬 海『僕と「先生」』/小川 哲
◆難波優輝『存在のさみしさについて──気分はどのように世界をつくるのか』/八木詠美
【本】
◆小砂川チト『ゾンビ回収婦』/雨宮庸介
◆堀江敏幸『ロベール・クートラスをめぐる断章群』/石沢麻依
◆J・D・サリンジャー『サリンジャー初期短篤全集』(柴田元幸 訳)/豊崎由美
◆鈴木涼美『悪い血』/中村佑子
◆磯野真穂『社会が壊れるその前に──メアリ・ダグラスの人類学』/鷲田清一
【追悼 倉本 聰】
◆先生のこと/山下澄人
【連載コラム】
◆うたと夢の出会う場所(第9回)/大森静佳
◆光源の旅(第9回)/石川直樹
【連載小説】
◆幻の熱帯雨林(第4回)/多和田葉子
◆その後の桜(第9回)/村田喜代子
◆痴れ者(第11回)/上田岳弘
【連載評論】
◆独りの椅子──石垣りんのために(第26回)/梯 久美子
◆小林秀雄(第133回)/大澤信亮
第59回新潮新人賞 応募規定
執筆者紹介
この号の誌面
立ち読み
編集長から
第58回新潮新人賞受賞作
花江科斗「光の棄却」
対談 西川美和×梯 久美子
◎史上最多の応募作から、花江科斗「光の棄却」が新潮新人賞に選ばれた。弁護士として働きつつ社会貢献活動に携わる主人公。彼女は自らが経済的に恵まれた家庭に生まれ育ったことに後ろめたさを感じ、配偶者との間に子どもを持つなら特別養子縁組だと決め込んでもいる。選考会では、自己陶酔的で空回りしているかに見える語り手の自意識の解釈で評価が分かれたが、「上から目線の罪悪感と閉塞感を描ききった新味」(九段理江氏)、「書かざるを得なかったという気迫を作品から感じ、それを信じた」(上田岳弘氏)という意見が賛同を集め授賞に。反出生主義と正面から向き合った本作が、熟議の末、こうして世に出ることを喜びたい◎話題作『わたしの知らない子どもたち』をめぐる西川美和監督と梯久美子氏の対談では、戦争経験者の取材や資料調査を経てなお残る歴史の盲点を監督が映画化した覚悟が語られた。強度を持った虚構によって現実世界を上書きする──そこにこそアートの真価が宿る。
編集長・杉山達哉
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。













































