【創作】平野啓一郎「決定的瞬間 The Decisive Moment」
堀江敏幸「春眠」
新潮 2026年5月号
(毎月7日発行)
| 発売日 | 2026/04/07 |
|---|---|
| JANコード | 4912049010567 |
| 定価 | 1,200円(税込) |
【創作】
◆決定的瞬間 The Decisive Moment(130枚)/平野啓一郎
知ってしまったら、もう元には戻れない。写真家・賢木稔の回顧展を準備中のキュレーターが発見した遺品は、すべてを壊しかねないものだった。芸術と倫理の危うい関係を多焦点で捉えてみせる、時代を射抜く衝撃作!
◆春眠/堀江敏幸
春眠暁を覚えず、処処啼鳥を聞く──寝坊すると、父はそう繰り返していた。ガリ版刷りとコーヒーの苦い記憶。
◆いまさら/古川真人
定例だった旧友三人での宴席。養母田の不参加を知らせる柿本からの電話は、やがて彼らの邂逅地点へと遡る。
◆A Day in the Life/松浦寿輝
何の変哲もない、平凡な一日一日こそいちばん大事。ところできみは、一九七八年の八月二十日に何をしてた?
【掌篇】
◆越前屋/筒井康隆
【連作】
◆良心的兵役拒否 [5]誰が殺したクックロビン/市川沙央
死んだ妹は〈忍び難きを忍ぶ御国の娘たち〉の平和テロ行動に関わっていた。アケルくんは火葬場で立ち尽くす。
◆あなたたちはわたしたちを夢みる 11/川上弘美
小屋の中で生まれたあたしは、十五歳で歌い手となり、夜伽の相手からトトを譲り受けた。快楽にも似た痛み。
【対談】
◆愚かな“人でなし”として祈る──『朝鮮漂流』と『叫び』をめぐって/町田 康×畠山丑雄
小説家は無責任でいい。移動できないことを知り、飢餓感を覚えると、想像力が走り出す。来い来い来い来い!
◆日本文学ブームの渦中に身を筐置いて/村田沙耶香×ポリー・バートン
「居場所欲」から身を守る。『コンビニ人間』作者と柚木麻子著『BUTTER』訳者が交わす、冷徹な現状認識。
◆私とは一個の他者である──トランプ時代のクィア・セオリー/浅田 彰×千葉雅也
現代人はもう第二次性微に耐えられなくなっている──思想史を踏まえて探究する、「性」というミステリー。
【批評】
◆異性愛の孤独──松浦理英子『今度は異性愛』論/鈴木涼美
【連載対談】
◆教室で読む文学(第3回)村上春樹「鏡」/池澤夏樹×田口耕平
【連載コラム】
◆うたと夢の出会う場所(第3回)ひかりかがやく孔雀の島で(上)/大森静佳
◆光源の旅(第4回)チベット・チョモランマ/石川直樹
【リレーコラム 街の気分と思考】
◆右足を骨折した話/中西智佐乃
◆“ありそうな”/永山祐子
【新潮】
◆東京都練馬区深夜1時の布団から/岩崎友明
◆文学を語るユーチューバーを語る/木石 岳
◆再会のための制作 別れのための創作/駒田隼也
◆「もう一回話して」/田中みゆき
【書評委員による 私の書棚の現在地】
◆更地 郊『粉瘤息子都落ち択』/小川 哲
◆津村記久子『ふつうの人が小説家として生活していくには』/八木詠美
【本】
◆豊永浩平『はくしむるち』/いとうせいこう
◆乗松亨平『ロシア宇宙主義全史──神化思想からトランスヒューマニズム・人新世へ』/上田岳弘
◆ポール・オースター『バウムガートナー』(柴田元幸 訳)/高城晶平
◆椹木野衣『末世の芸術──来たるべき無人類のために』/高山羽根子
◆池澤夏樹『遙かな都』/山崎佳代子
【連載小説】
◆痴れ者(第5回)/上田岳弘
◆マキノ(第5回)/高村 薫
◆その後の桜(第6回)/村田喜代子
◆山吹散るか ほろほろと(第10回)/辻原 登
◆マイネームイズフューチャー(第12回)/千葉雅也
【連載評論】
◆雅とまねび──日本クラシック音楽史(第16回・完)/片山杜秀
◆独りの椅子──石垣りんのために(第21回)/梯 久美子
◆小林秀雄(第127回)/大澤信亮
第59回新潮新人賞 応募規定
執筆者紹介
この号の誌面
編集長から
平野啓一郎「決定的瞬間 The Decisive Moment」
村田沙耶香×ポリー・バートン
「日本文学ブームの渦中に身を置いて」
◎新型コロナで命を落としたという写真家・賢木稔。平野啓一郎「決定的瞬間」は、賢木の回顧展を準備するキュレーターの水巻香澄が主亡きアトリエで全裸の少年が収められた写真を発見した、その瞬間を起点とする。撮影中のカメラの裏ブタを開けるとフィルムすべてが台無しとなるように、児童ポルノは持ち主の社会的イメージを不可逆に変えてしまう。展覧会中止は免れないとして、学生時代からこの写真家の研究に心血を注いできた水巻のキャリアまで失われるのか? 作品と作家は別だという建前は? 著作権継承者に「知られない権利」は存在するか? 複数の文献のコラージュにより、既にそこにはいないはずの写真家像が立ち上がる。表現と倫理をめぐり現在進行形で起きている問題を多焦点で捉えた、凄まじく鋭利な小説だ◎英語圏を賑わす、日本文学ブーム。その立役者たる『コンビニ人間』の村田沙耶香氏と柚木麻子著『BUTTER』訳者のポリー・バートン氏が、冷徹な現状認識を交わした。
編集長・杉山達哉
バックナンバー
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新潮とは?

文学の最前線はここにある!
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■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。














































