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[北村 薫『太宰治の辞書』刊行記念特集]

波 2015年4月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/03/27

発売日 2015/03/27
JANコード 4910068230454
定価 102円(税込)


[北村 薫『太宰治の辞書』刊行記念特集]
北村 薫/《本》とともにある喜び

書店員さんからのメッセージ

ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ『ヴォルテール、ただいま参上!』(新潮クレスト・ブックス)
中島京子/こんなにおかしい人たちだとは!

森 美樹『主婦病』
三浦しをん/日常というきらめく星座

[白川道『神様が降りてくる』刊行記念対談]
三浦友和×白川 道/“作家”と“主人公”の距離

佐藤 優『プラハの憂鬱』
亀山郁夫/若き憂鬱人の献身

[長崎尚志『黄泉眠る森』刊行記念特集]
長崎尚志/ギリギリ愛せる(!?)名探偵

千街晶之/博覧強記の編集者と追う創作の深奥

佐伯泰英『光圀―古着屋総兵衛 初傳―』(新潮文庫)
重里徹也/大義とは何かを水戸黄門に学ぶ

加賀乙彦『永遠の都』〈全七冊セット〉
沼野充義/長い小説を読む大きな喜び

水越 武『真昼の星への旅』
梨木香歩/真昼の星々への旅

色川武大『友は野末に―九つの短篇―』
坪内祐三/色川武大の「晩年」に年が近づいて改めて読む色川武大

[中川李枝子『子どもはみんな問題児。』刊行記念対談]
谷原章介×中川李枝子/問題児、だからかわいい!

グレッグ・ペンブローク『うちの子が泣いてるワケ』
グレッグ・ペンブローク/泣きたいのはこっちだぜ!

長島千比呂『身体をゆるめて心をゼロに リセットするヨガ』
眞鍋かをり/身体と心はつながっている

[池田清彦『生物学の「ウソ」と「ホント」―最新生物学88の謎―』刊行記念インタビュー]
池田清彦/わからないことだらけの「生物のルール」

[吉川潮『芸人という生きもの』刊行記念対談]
柳亭市馬×吉川 潮/私版「なつかしい芸人たち」楽屋噺

宮崎正勝『「空間」から読み解く世界史―馬・航海・資本・電子―』(新潮選書)
山下範久/大人の学び直しに勧めたい骨太の世界史論

中森明夫『寂しさの力』(新潮新書)
中森明夫/運命の一冊

【コラム】
とんぼの本 編集室だより

考える人-海の向こうの数学

映画になった新潮文庫/原 幹恵

三橋曉の海外エンタ三つ巴

【連載】
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第1回(新連載)
A・A・ミルン作、阿川佐和子訳/ウィニー・ザ・プーと魔法の冒険(新連載)
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第20回
橘 玲/残酷すぎる真実 第2回
津村記久子/やりなおし世界文学 第11回
ドリアン助川/ニューヨーク・サン・ソウル 第5回
石原千秋/漱石と日本の近代 第22回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第61回
森 まゆみ/子規の音 第15回
末盛千枝子/父と母の娘 第13回
木皿 泉/カゲロボ日記 第12回
津村節子/時のなごり 第43回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

今月の表紙の筆蹟は中川李枝子さん。

◇今月の表紙の筆蹟は中川李枝子さんです。幼い頃、「なかがわりえこ」と「やまわきゆりこ」のコンビで描かれた絵本の世界に夢中になった方は少なくないでしょう。中でも代表作「ぐりとぐら」は、本文の対談で谷原章介さんも語っているように、物語に登場する巨大なカステラへの憧れとともに子供心に棲みつづける、まさに不朽の名作です。中川さんと妹の山脇百合子さんによって「おりょうりすることたべること」が好きな2匹の野ねずみが生み出されてから50年が経過し、シリーズの累計発行部数は実に2400万部を突破しました。昨年から50周年記念の展覧会も開かれており、4月には兵庫県の伊丹市立美術館で、その後福島でも開催が予定されています。
 新刊『子どもはみんな問題児。』は「子育てと仕事を両立させようと頑張るお母さんたちへのメッセージを」という編集者の要請に応えて語り下ろされた、初の子育て本です。「どの子もみんなすばらしい問題児」「子どもはお母さんの鏡です」「心を寄せあって楽しめるのは、幼児期まで」といった、17年間もの保母経験がある中川さんならではの実感のこもった言葉が満載で、悩めるお母さんの福音になること請け合いです。表紙の言葉は新刊の「はじめに」の一節を書いていただき、イラストはそのイメージにぴったりの絵本「そらいろのたね」の中からの一枚です。
◇「反知性主義」は、知性と権力の固定的な結びつきに対する反感である――アメリカで誕生し、昨今の日本の論壇でもキーワード化しつつある言葉を精緻に分析した森本あんり氏の『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―』(新潮選書)が発売直後から快調に版を重ねています。アメリカの大統領に目から鼻にぬけるような知的エリートがいないのはなぜなのか。そんな素朴な疑問にも明快に答えてくれる本書は、「反知性主義」の背景にあるキリスト教を基盤としたアメリカ人の心性を浮き彫りにしながら、誤用されやすいこの言葉が孕む可能性と危険性を説く好著です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。