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今月の表紙の筆蹟は村上春樹さん。

波 2017年3月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/02/28

発売日 2017/02/28
JANコード 4910068230379
定価 102円(税込)


平岩弓枝/なつかしい面影 第6回

[特別書評 松浦寿輝『名誉と恍惚』]
筒井康隆/懐かしい蠱惑の長篇

古井由吉『ゆらぐ玉の緒』
町田 康/魂というもの

カルミネ・アバーテ、関口英子/訳『ふたつの海のあいだで』
ヤマザキマリ/イタリアの「真の姿」

ポール・オースター、柴田元幸/訳『冬の日誌』
小川洋子/肉体はすべてを記憶する

[相場英雄『不発弾』刊行記念インタビュー]
相場英雄/損失爆弾の連続着火が始まった

乾 くるみ『物件探偵』
村上貴史/不動産取引、それは善意と悪意のミステリ


[松本侑子『みすゞと雅輔』刊行記念特集]
松本侑子/大正デモクラシーに咲いた一輪の花、金子みすゞ

野上 暁/自死した童謡詩人と実弟の懊悩

岸 政彦『ビニール傘』
林 雄司/腹に響く没入装置

古川真人『縫わんばならん』
豊崎由美/人間が生きる意味

黒川 創『岩場の上から』
池澤夏樹/今から二十七年分の外挿

杉山隆男『兵士に聞け 最終章』
三島 正/変わりゆく自衛隊と変わらない自衛隊

奥野修司『魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く―』
橘 玲/死者と生者の間に生み出された物語

今野 勉『宮沢賢治の真実―修羅を生きた詩人―』
首藤淳哉/誰も見たことのない宮沢賢治を描く

押川 剛『子供の死を祈る親たち』(新潮文庫)
東 えりか/魂の叫びは届くのか

村上春樹『騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編―』、『騎士団長殺し―第2部遷ろうメタファー編―』
寺島哲也/謎の扉を開ける「カリントウ」

[「町田市民文学館ことばらんど」開館10周年記念 座談会〈後篇〉]
阿川佐和子×遠藤龍之介×斎藤由香×矢代朝子/文士の子ども被害者の会

[特別対談〈後篇〉]
宮崎 駿×養老孟司/合計154歳、ふたりがいま夢中なこと。

【コラム】
笠原英彦『皇室がなくなる日―「生前退位」が突きつける皇位継承の危機―』
園部逸夫/皇室制度、喫緊の課題を敢えて説く(新潮選書)

竹内 薫『文系のための理数センス養成講座』
竹内 薫/文系? 理系? それは幻想だ!(新潮新書)

とんぼの本編集室だより

宮崎香蓮/新潮文庫で歩く日本の町

【連載】
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第13回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第12回
津村記久子/やりなおし世界文学 第34回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第3回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第43回
木皿 泉/カゲロボ日記 第35回
野村 進/多幸感のくに 第4回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第84回
佐藤賢一/遺訓 第15回
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/最初の悪い男 最終回

編集室だより  新潮社の新刊案内  編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は村上春樹さん

◇今月の表紙は、二千枚の本格長篇小説『騎士団長殺し』を刊行したばかりの村上春樹さん。単行本のカバー装画にも使われた和剣と洋剣の絵はチカツタケオさん。剣はどんなふうに小説の中へ出てくるのか、誰かが刺されるのか、「騎士団長殺し」(とは何か?)との関係は――。私もこれから読みます。スタンプは中村健さん(帽子と鋏)と佐々木マキさん(羊男)の作。
◇羊男で思い出したのですが、『羊をめぐる冒険』の末尾で「僕」と「羊男」が演じる感動的な場面は、マルクス兄弟の「我輩はカモである」の有名な鏡のシーンがヒントになった、と村上さんがどこかで書いておられました。その場面のグラウチョ・マルクスたちの爆笑必至の動きはYouTubeで見ることが可能です(ウディ・アレンの「ハンナとその姉妹」では、人生の虚無に悩む男がこの狂騒的な映画を観て、吹っ切れます)。長年グラウチョを尊敬してきたのが筒井康隆さんで、最新作『モナドの領域』の「GOD」にはグラウチョの影響があるとのこと(先日、『モナドの領域』は毎日芸術賞を受賞しました)。
◇三月十日と十一日の夜十一時から飯田橋ギンレイホールでライムスター宇多丸さんがセレクトした筒井康隆原作映画のオールナイト上映が決定しました。作品は「ウィークエンド・シャッフル」「俗物図鑑」「ジャズ大名」「パプリカ」。十日は宇多丸さんのトーク・ショーあり。
◇この三月十日は夜七時から、神楽坂la kaguで書体設計士・鳥海修さん(Mac標準日本語フォント「ヒラギノ」の創始者)のトーク・イベント「書体で世界はがらりと変わる!」も開かれます。また十一日と十二日には神楽坂一帯で一箱古本市が開催され、さらに二十七日には紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで北村薫さんと柳家喬太郎師匠とで「漱石と落語の夕べ」も。これら全ては今春スタートする「神楽坂ブック倶楽部」のキックオフ・イベントです。同倶楽部の実体についてはまた次号でお知らせします。お楽しみに!
ミランダ・ジュライ岸本佐知子訳)『最初の悪い男』は今号で最終回。毎月、シェリルの人生を気にかけていた方も多かったと思います。このジュライ初の長篇小説、後半は訳し下ろしで小社より単行本化される予定。これまた、お楽しみに。

お知らせ

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。