【 2007 文学の5つの出来事 】
新潮 2007年1月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2006/12/07 |
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JANコード | 4910049010174 |
定価 | 特別定価1,047円(税込) |
明治24年、大津の地方巡査はなぜロシア皇太子に凶刃を
振るったのか? 歴史を横断する文学の強靭な眼差し。
美しく汚れた女は彷徨する。嘘のないピュアな世界へ。
内臓が支配する欲動の世界へ。気鋭作家の新しい飛躍。
あの日、「自分の木」の下に来るのが遅れた老人は、
いまの私だ。少年に答える言葉は見つからぬまま……
目覚めよ、レスラーなら。君らが職業戦士であるならば。
「世界」とプロレスラーの最終決戦、リングはどこだ?
天才の、おそるべき輝き! 全集完結後の最新発見。
・詩を書く少年のアリバイ/田中美代子
・東文彦宛三島由紀夫書簡の謎/犬塚 潔
・決壊(三)/平野啓一郎
・太陽を曳く馬(四)/高村 薫
・神器―浪漫的な航海の記録―(十三)/奥泉 光
・花の回廊(十四)/宮本 輝
・城砦(十八)/加賀乙彦
・根岸/古井由吉
・小説と共時性/筒井康隆
・グーテンベルク聖書初版本閲覧記/島田雅彦
・「文学と女性」/「文学は女性」/水村美苗
・ついに掴みきれなかった人/大庭みな子
・小島さんの電話/山崎 勉
・忘れがたい言葉/保坂和志
米国最高の知性が秘かに遺した若き日の生活と思索の記録。
20世紀美術を廃墟に変えた画家をめぐる、長篇美術批評。
・川上弘美『真鶴』/池内 紀
・多和田葉子『アメリカ 非道の大陸』/大辻 都
・吉村昭『死顔』/川本三郎
・佐藤弘『オブラディ・オブラダ』/田中弥生
・G・ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』/豊崎由美
編集長から
◎本誌連載四年目となった随筆「見えない音、聴こえない絵」の筆者、大竹伸朗氏が東京都現代美術館で超大規模の回顧展「全景」を開催中だ(12月24日まで)。日本現代美術における21世紀最大の出来事と呼ぶべき2千点もの作品に圧倒された私を、同時に、深く勇気づけたのは〈創造し続ける〉ことの力だ。以前、真夜中の新宿の盛り場を歩く大竹氏が「今、すぐに絵を描きたい」と口にした瞬間を私は決して忘れない◎新年号では「文学の5つの出来事」と題して、富岡多惠子氏が大津事件に文学的想像力を飛翔させた「湖の南」(280枚)、金原ひとみ氏の小誌初創作「ハイドラ」(180枚)、大江健三郎氏初の詩作「詩集『形見の歌』より二篇」、野田秀樹氏の新作戯曲「ロープ」、新発掘「三島由紀夫十代書簡集」を掲載する。他にも椹木野衣氏入魂の大竹伸朗論など特別原稿が多数◎文芸誌が〈創造し続ける〉空間であることを読者とともに感じたい。
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。