◆ゴッドスター(240枚)/古川日出男
新潮 2007年4月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2007/03/07 |
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JANコード | 4910049010471 |
定価 | 特別定価996円(税込) |
無限に連鎖する推理の終結。そして……
・天使の父親/シャマン・ラポガン
・四時五分の天気図/高樹のぶ子
・生命の循環が見える=台湾SIA/高樹のぶ子
・決壊(六)/平野啓一郎
・太陽を曳く馬(七)/高村 薫
・神器―浪漫的な航海の記録―(十六)/奥泉 光
・城砦(二十一)/加賀乙彦
・極薄の閾のうえを(十四)/磯崎 新
・明治の表象空間(十三)/松浦寿輝
・〈記憶〉の中の源氏物語(三十二)/三田村雅子
・今、日本の小説が面白い/木村榮一
・菜の花忌に歴史を思う/小島 毅
・ジェイン・オースティンを読む女たち/山崎まどか
・キプリング『プークが丘の妖精パック』/小山太一
・安岡章太郎『カーライルの家』/佐川光晴
・山田詠美『無銭優雅』/中島京子
・田中慎弥『図書準備室』/中村文則
・平野啓一郎『あなたが、いなかった、あなた』/福永 信
・高橋源一郎『ニッポンの小説』/前田 塁
編集長から
◎あらゆる白紙よ待ってろよ、俺がいまから埋めるから――古川日出男氏が「LOVE」で昨年度の三島由紀夫賞を得た際の言葉である。実際、受賞前後より、東北全域を舞台にする長篇三作が集英社の三つの文芸雑誌で同時連載中だ。しかも、それらは巨大長篇の一部に過ぎないと言う。過剰だ。過大だ。だが量が問題なのではない。時に二百年前のエジプトを舞台に魅惑的な偽史を描き(「アラビアの夜の種族」)、時に軍用犬の血統から20世紀史を仮構する(「ベルカ、吠えないのか?」)。雑種だ。雑食だ。今回掲載の「ゴッドスター」(二四〇枚)では文学の雑種犬ともいうべき古川氏が本誌の上を大胆に疾走した◎舞城王太郎氏も疾走する雑種犬だ。ポーの「モルグ街の殺人」に起源を持つ推理小説は、〈近代文学の終り〉(柄谷行人)の後の極東の地でどこまで変容し交配したのか。長篇「ディスコ探偵水曜日」第三部完結篇(一八〇枚)を一挙掲載する。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。