◆カデナ(新連載長篇小説)/池澤夏樹
新潮 2007年5月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2007/04/07 |
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JANコード | 4910049010570 |
定価 | 943円(税込) |
嘉手納(沖縄)、ハノイ、東京の三都市で。
1968年に。著者初の文芸誌長篇連載。
『恋愛の解体と北区の滅亡』で文学シーンの
度肝を抜いた新鋭が描く現代の愛と大冒険。
なぜ男は何も告げず祖国に戻ったのか。
東京の今ここに広がるアジアの濃密な闇。
ネット時代の身体と言語を発明する超野心作、さらに大展開!
・決壊(七)/平野啓一郎
・太陽を曳く馬(八)/高村 薫
・神器―浪漫的な航海の記録―(十七)/奥泉 光
・城砦(二十二)/加賀乙彦
・風の声 竹の声 時の声/森内俊雄
・泥棒の力/田中慎弥
・中野幹隆の死―またはグーテンベルク銀河系の黄昏/小林龍生
・日和聡子『火の旅』/小池昌代
・青野 聰『海亀に乗った闘牛師』/小林紀晴
・D・ミッチェル『ナンバー9ドリーム』/小山太一
・岡田利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』/古谷利裕
・綿矢りさ『夢を与える』/豊崎由美
・明治の表象空間(十四)/松浦寿輝
・極薄の閾のうえを(十五)/磯崎 新
・〈記憶〉の中の源氏物語(三十三)/三田村雅子
【新選考委員】浅田 彰/桐野夏生/福田和也/町田 康/松浦理英子
編集長から
新しい物語が始まる。嘉手納(沖縄)、ハノイ、東京の三都市で同時に。1968年に。戦闘機の耳をつんざく離着陸音が、街頭をうねる騒乱の地響きが、複数の言語による企みを秘めた囁き声が聴こえてくる。太陽のせいだけではない、時代そのものが魘されたように放つ熱が伝わってくる。池澤夏樹氏の新連載小説「カデナ」のスタートだ。
現在はフランス在住の池澤氏だが、94年より10年間沖縄に暮らし、沖縄から世界を見続け、発言し続けた(参照http://www.impala.jp)。だが実は、そんな氏にとって、沖縄を作品の主要舞台として描くのは本連載が初のものとなる。しかも文芸誌に長篇小説を連載するのも初めてのこと。代表作『マシアス・ギリの失脚』で拓かれた池澤流マジック・リアリズムが、〈9・11以降〉の想像力により一段と深みを増し、小誌の毎月の誌面を発熱させるはずだ。ご期待いただきたい。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。