野田秀樹+コリン・ティーバン 「THE BEE」(戯曲)
新潮 2007年7月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2007/06/07 |
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JANコード | 4910049010778 |
定価 | 特別定価996円(税込) |
捕らえても殺しても飛んでくる。
イギリス初演で絶賛された力作戯曲の
作者自身による日本語版。
臈(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ/大江健三郎
第二章 芝居興行で御霊を鎮める
四国の森に回帰する怨霊。横たわる美少女の死体。
小説家の記憶が呼び起こしたものは……。
/ブリース・D'J・パンケーク
/柴田元幸訳・解説
四人/芥川多加志(龍之介次男)
【受賞作】1000の小説とバックベアード(冒頭掲載)/佐藤友哉
【選評】筒井康隆/宮本 輝/高樹のぶ子/福田和也/島田雅彦
【記念対談】文学への責務が残る/高橋源一郎+佐藤友哉
・老いてこその花――『秘花』をめぐって/瀬戸内寂聴+島田雅彦
・『日本語は天才である』――あとがきのあとがき/柳瀬尚紀
・マクのこと/しまおまほ
・漂流する自己――マイクロポップの自由/松井みどり
・池澤夏樹『きみのためのバラ』/朝倉祐弥
・長野まゆみ『となりの姉妹』/石田 千
・辻 仁成『ピアニシモ・ピアニシモ』/鈴村和成
・河野多惠子『臍の緒は妙薬』/田中和生
・吉田修一『悪人』/町田 康
・蓮實重彦『「赤」の誘惑』/吉田喜重
・明治の表象空間(十六)/松浦寿輝
・〈記憶〉の中の源氏物語(三十五)/三田村雅子
・カデナ(三)/池澤夏樹
・決壊(九)/平野啓一郎
・太陽を曳く馬(十)/高村 薫
・神器―浪漫的な航海の記録―(十九)/奥泉 光
・城砦(二十四)/加賀乙彦
編集長から
第20回三島由紀夫賞が佐藤友哉氏『1000の小説とバックベアード』に決定した。選評に加え、受賞者による記念原稿、高橋源一郎氏との対談を掲載する◎ 『1000の小説』の印象的な結末部――奇想天外な冒険の果てに、主人公は、過去に無数の書き手が書き残した無数の「文字の大群」に包囲される。文学史から過酷に排除され、「地表に出る機会を失った蝉の幼虫のように、孤独と闇の中で生きつづける」しかない魂を若い小説家は見事に幻視した◎歴史の「孤独と闇の中」に埋もれた幻の才能が復活した。短篇「四人」。六十数年前、世界に一冊しかない手書きの同人誌に発表され、数年後、22歳の筆者はビルマで戦死した。その名は芥川多加志。父の名を芥川龍之介という◎大江健三郎氏の『臈(らふ)たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ』(第二回)の圧倒的な疾走に、また、野田秀樹氏の戯曲『THE BEE』(C・ティーバンとの合作)にも御注目を。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。