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ファントム、クォンタム――序章(小説)/東 浩紀

新潮 2008年5月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/04/07

発売日 2008/04/07
JANコード 4910049010587
定価 特別定価996円(税込)

◆ファントム、クォンタム(序章)/東 浩紀
2035年から届いた一通の電子メールが全ての始まりだった。ディストピアとしての超高度情報社会を予見する21世紀のガリバー旅行記。

◆鏡の国のデューク・エリントン楽団(110枚)/大谷能生
ジャズの聖人エリントンと仲間たちの演奏旅行は時空を超え、不思議の国アメリカを横断する。

◆小林秀雄先生来る(戯曲)/原田宗典
文学の神様さおらほの町さ来るだ!! だが津軽の港町にやってきた「先生」はどこか妙で……。

・物語の完結/山崎ナオコーラ

・青い森、黒い森/村田喜代子

■連載小説
・ばかもの(五)/絲山秋子
・幸福の森(五)/加賀乙彦
・カデナ(十二)/池澤夏樹
・太陽を曳く馬(十九)/高村 薫
・神器―浪漫的な航海の記録―(二十九)/奥泉 光

■新潮
・三部作と三特集――近況という名の爆裂するファイル/笙野頼子
・マリエンバートに囚われて/諏訪哲史
・儚いもの/落石五百

◆第41回《新潮新人賞》応募規定

■反復する小説――『ダンシング・ヴァニティ』再考/筒井康隆

■「冒険」について――ペドロ・コスタ試論/蓮實重彦

■わが戦前―平成年間の感情、思想、文芸― 第十八回/福田和也

■のしかかるような空を見る。すべては垂直に落ちて来る。
 ――小説をめぐって(三十七)/保坂和志

■世の見方の始まり(二) 稲垣足穂・ヒコーキ/池内 紀

■生き延びるためのアメリカ文学(三)/都甲幸治
 熱帯の魅惑――デニス・ジョンソン『煙の樹』(Tree of Smoke)

■四方田犬彦の月に吠える(五)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(51) 斑模様の遠近法/大竹伸朗

■連載評論
・高畠素之の亡霊(五)/佐藤 優
・いはねばこそあれ――男色の景色(五)/丹尾安典
・現(うつつ)な像(五)/杉本博司
・マキノ雅弘(八)/山根貞男
・明治の表象空間(二十四)/松浦寿輝

■本
・黒川 創『かもめの日』/荒川洋治
・E・ビラ=マタス『バートルビーと仲間たち』/大和田俊之
・中原昌也『ニートピア2010』/鹿島田真希
・アラスター・グレイ『哀れなるものたち』/小山太一
・川上未映子『乳と卵』/斎藤 環
・円城 塔『オブ・ザ・ベースボール』/佐々木 敦
・津村記久子『カソウスキの行方』/田中弥生

編集長から

西暦二〇三五年のガリバー旅行記
◎昨年、初の小説「キャラクターズ」(桜坂洋氏との合作)で大反響を呼んだ批評家、東浩紀氏による長篇小説「ファントム、クォンタム」の序章を掲載する。東氏のデビュー作はソルジェニーツィン「収容所群島」論だった。共産主義国家というディストピアに収容された生を、ソ連崩壊の二年後に論じた東氏は、15年後の今、高度情報化社会というディストピアと対峙した◎現代日本に暮らす主人公が、並行世界での二〇三五年に送信されたeメールを受信した時、21世紀のガリバー旅行記というべき奇妙な物語は始まる。問われているのは、今、劇的に変貌しつつあるIT時代の国家=政治であり、そこに収容された私達の生だ◎他にもユニークな二作を紹介。音楽家、大谷能生氏のジャズ小説「鏡の国のデューク・エリントン楽団」(110枚)。小林秀雄が青森県の港町でおこなった講演会の奇想天外な顛末を描く原田宗典氏の戯曲「小林秀雄先生来る」。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞