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楽観的な方のケース(小説)・フリータイム(戯曲)/岡田利規

新潮 2008年6月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/05/07

発売日 2008/05/07
JANコード 4910049010686
定価 特別定価996円(税込)

◆楽観的な方のケース(小説)
◆フリータイム(戯曲)/岡田利規
大江健三郎賞受賞第一作となる最新小説。欧州数都市で上演が予定される最新戯曲。現代における「自由の根拠」を独創的に追求する気鋭作家の世界。

◆生垣の女たち/古井由吉

◆受胎告知/中上 紀

◆ネバーランド(9)/藤野千夜

■第34回〈第二期第九回〉川端康成文学賞発表
・海松(ミル)/稲葉真弓
・蛹/田中慎弥

【選評】秋山 駿/井上ひさし/津島佑子/村田喜代子

■連載小説
・ばかもの(六)/絲山秋子
・幸福の森(六)/加賀乙彦
・カデナ(十三)/池澤夏樹
・太陽を曳く馬(二十)/高村 薫
・神器―浪漫的な航海の記録―(三十)/奥泉 光

■新潮
・ヒストリーというミステリー/河合祥一郎
・断絶と慰霊/柴崎友香
・「油断している人間」になる方法/松井 周

◆第41回《新潮新人賞》応募規定

◆第21回三島由紀夫賞候補作品発表

【新連載】くわしく教えてクラシック/中原昌也
 第一回 21世紀のクラシック音楽体験とは?/ゲスト 浅田 彰

■追悼 小川国夫
・生への深い怖れ/秋山 駿
・その最期の日々を想う/長谷川郁夫

■追悼 石井桃子
・硬い殻の中の、朱い実/尾崎真理子

■あるポルノグラファーの死――ロブ=グリエへの遅れてきた追悼/浅田 彰

■サハリンへ――宮澤賢治の足跡を追いながら/天沢退二郎

【大型企画】日本小説技術史 第二回(110枚)/渡部直己

■わが戦前―平成年間の感情、思想、文芸― 第十九回/福田和也

■関係の化学としての文学(十五)/斎藤 環

■生き延びるためのアメリカ文学(四)/都甲幸治
 オタクの見たカリブ海――ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』

■四方田犬彦の月に吠える(六)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(52) 30万の円と縁/大竹伸朗

■連載評論
・マキノ雅弘(完)/山根貞男
・いはねばこそあれ――男色の景色(完)/丹尾安典
・高畠素之の亡霊(六)/佐藤 優
・現(うつつ)な像(六)/杉本博司
・明治の表象空間(二十五)/松浦寿輝

■本
・ヨシップ・ノヴァコヴィッチ『四月馬鹿』/小山太一
・斎藤 環『アーティストは境界線上で踊る』/椹木野衣
・加賀乙彦『雲の都―第三部 城砦』/高井有一
・前田 塁『小説の設計図』/丹生谷貴志
・長野まゆみ『カルトローレ』/野谷文昭
・古井由吉『ロベルト・ムージル』/福永 信

編集長から

岡田利規の「緊張」
◎先日、第二回大江健三郎賞が劇作家・岡田利規氏の初小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(小社刊)に与えられた。岡田氏が小説をわずか二篇しか書いていないことを思うと、大抜擢というべきだろう。岸田國士戯曲賞作品「三月の5日間」を同題の中篇として書くことで小説デビューを果たした岡田氏は、一見、ジャンルの壁を軽やかに行き来するかのようだ。だが、二つの「三月の5日間」を読んで分かるのは、岡田氏が小説と演劇を分かつ壁に緊張し、両者の自由と不自由に極めて自覚的だということだ。この異才の「上等のインテリジェンス」(大江氏選評)を改めて紹介すべく、小説「楽観的な方のケース」と戯曲「フリータイム」を同時掲載する◎短篇を対象とする川端康成文学賞が稲葉真弓氏と田中慎弥氏に決定。選者の小川国夫氏が最終選考会の直前に逝去された。盟友、秋山駿氏と長谷川郁夫氏による追悼文を掲載する。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞