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ギンイロノウタ(210枚)/村田沙耶香

新潮 2008年7月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/06/07

発売日 2008/06/07
JANコード 4910049010785
定価 特別定価996円(税込)

◆ギンイロノウタ(210枚)/村田沙耶香
少女は“化け物”を心に隠し、彷徨い続けた。家庭と教室の間に広がる、希望のない荒野に、極限の生の歌を奏でる入魂の長篇作品。

◆指の上の深海[川端康成文学賞受賞第一作]/稲葉真弓

◆須磨/日和聡子

◆初恋/海猫沢めろん

◆電気の友/村田喜代子

■第21回三島由紀夫賞発表
【受賞作】切れた鎖(冒頭掲載)/田中慎弥
【選評】辻原 登/川上弘美/町田 康/小川洋子/平野啓一郎

【記念エッセイ】悪魔たちの哄笑/田中慎弥
【記念インタビュー】読書録

■連載小説
・神器―浪漫的な航海の記録―[完結篇130枚]/奥泉 光
・ばかもの(七)/絲山秋子
・幸福の森(七)/加賀乙彦
・カデナ(十四)/池澤夏樹
・太陽を曳く馬(二十一)/高村 薫

◆第41回《新潮新人賞》応募規定

■対話 〈悪〉なき時代の虚構/桐野夏生+福田和也

■鼎談 折口信夫と越境する伝統/渡邊守章+松浦寿輝+浅田 彰

■遠い地点からの――小説をめぐって(三十八)[連載第三期完結]/保坂和志

■生き延びるためのアメリカ文学(五)/都甲幸治
 モテない理由――エイドリアン・トミネ『欠点』(Shortcomings)

■四方田犬彦の月に吠える(七)[文化月評]/四方田犬彦

■連続するコラム(19) チベットにおける「日常生活の宗教」/山城むつみ

■見えない音、聴こえない絵(53)/大竹伸朗

■連載評論
・高畠素之の亡霊(七)/佐藤 優
・現(うつつ)な像(七)/杉本博司
・明治の表象空間(二十六)/松浦寿輝

■新潮
・平成二十年の蟹工船/久間十義
・美女と詐欺師/沼野恭子
・スロー・ウイルス1984/福岡伸一
・真夜中の夢/島尾伸三
・三島由紀夫若き日の恋/小島千加子

■本
・レドモンド・オハンロン『コンゴ・ジャーニー』/磯崎憲一郎
・池内 紀『出ふるさと記』/川本三郎
・東 浩紀+桜坂 洋『キャラクターズ』/椹木野衣
・川上弘美『風花』/蜂飼 耳
・山崎ナオコーラ『論理と感性は相反しない』/福永 信

編集長から

村田沙耶香「ギンイロノウタ」
◎中沢新一氏の『古代から来た未来人 折口信夫』(ちくまプリマー新書)は、折口思想の核心を「現代の高度なメディア・テクノロジーの時代でこそ、はじめて現実性をおびる思想」として大胆に抽出した新著だ。氏の思考の開放性は、「芸能者は死者たちの息吹に直に触れている。それと同時に、芸能者は若々しく荒々しいみなぎりあふれるばかりの生命力にも素手で触れている」という一節を、小説家の定義に読み換えることも許してくれると思う◎村田沙耶香氏の「ギンイロノウタ」(二一〇枚)で、自らを“化け物”と認識する少女は、家庭と教室の間に広がる救いのない世界を彷徨いながら、殺人衝動にとり憑かれる。彼女を突き動かしているのは、人格障害やトラウマなのか。そのとき、右の中沢氏の一節の「芸能者」を本作の少女に置き換えてみたい誘惑にかられる◎第21回三島賞が田中慎弥氏の『切れた鎖』に決定。受賞者インタビュー他を掲載する。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞