上田岳弘「異郷の友人」(240枚)
新潮 2015年12月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2015/11/07 |
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JANコード | 4910049011256 |
定価 | 特別定価998円(税込) |
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社会の断片と物語の呪文/星野智幸×岸 政彦
第三回・黒のヒロイン、聖愚者メラニー・ウィルクスの闇(二)
第三十六回・越境カナダ
第一三五回・星港版(シンガポール・エディション)
・雑誌のなかの太宰治/井原あや
・天才の頭のなか――作曲家ミシェル・ルグラン自伝を監修して/濱田高志
・アジア発のサステイナブルな芸術基準を作る/岩城京子
・小川洋子『琥珀のまたたき』/江南亜美子
・日和聡子『校舎の静脈』/田中和生
・佐伯一麦『空にみずうみ』/富岡幸一郎
・高村 薫『空海』/福嶋亮大
編集長から
上田岳弘の神聖なる喜劇
◎上田岳弘はどこへ、どこまで行くのだろう? 一昨年のデビュー作「太陽」(新潮新人賞)では、いかがわしいサービスがおこなわれる東京の安ホテルで始まった物語が、最後には太陽系全体の終焉にまで至り、読者の度肝を抜いた。以来、この作家は猥雑であり切実でもある人間劇と終末論的未来劇の両極をダイナミックに往還しながら、着実に進化を続けた。そして、つい数ヶ月前の三島由紀夫賞受賞(「私の恋人」)にも歩みを止めることなく、早くも最新作品「異郷の友人」を発表する◎もし「私は神だ」という者がいたら、それは本当の神か、狂人か、もしかしたら神ネタで人気を博したお笑いコンビだろう。そう、「異郷の友人」は、いわば崇高/狂気/世俗/に住まう三つの神の次元を自在に移動しながら、物語を神聖なる喜劇として加速させる。日本人が「神」を(その不在を)痛感せずにはいられなかったあの日に向けて……◎それにしても、上田岳弘はどこへ、どこまで、行くのだろう?
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。