四方田犬彦「鳥を放つ」[420枚一挙掲載]
木村友祐「生きものとして狂うこと――震災後七年の個人的な報告」
新潮 2018年8月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2018/07/06 |
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JANコード | 4910049010884 |
定価 | 特別定価998円(税込) |
◆鳥を放つ[四二〇枚]/四方田犬彦
セクトが人違いした男はぼくの分身なのか。世界の消滅を語った女はぼくの残像なのか。東京、パリ、アフリカ。数十年の流謫の果てに、青年は解き放たれるのか。著者初小説!
◆蟹行/玄 月
同じ町に暮らす縁。年利十五パーセントの金の縁。大阪の路上でせめぎあう男たち女たち。
◆ヒロヒト[第三回]/高橋源一郎
――ニッポンの原爆(2)
■■ 連載小説 ■■
◆格闘(連載最終回)/高樹のぶ子
◆ビッグ・スヌーズ(七)/矢作俊彦
◆荒れ野にて(三十八)/重松 清
■■ 新潮 ■■
◆羽目を外してプルースト/阿久津 隆
◆「あわいの詩学」を身体化する、岡田利規の映像演劇/岩城京子
◆ワイルド、三島、ジョニー・ウィアー/鈴木ふさ子
◆兄貴の胸を借りた対決/堀本裕樹
◆想像をデザインする/三浦哲哉
◆僕たちがラグビー部員だったころ/水原 涼
◆第51回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】●大澤信亮 ●川上未映子 ●鴻巣友季子 ●田中慎弥 ●中村文則
〈第六回 河合隼雄物語賞・学芸賞発表〉
【物語賞授賞作】光の犬/松家仁之
【学芸賞授賞作】ケルト 再生の思想――ハロウィンからの生命循環/鶴岡真弓
【選評】後藤正治(物語賞)/中沢新一(学芸賞)
◆生きものとして狂うこと/木村友祐
――震災後七年の個人的な報告
突き刺さったまま抜けない声に、応えるのが文学ではないか? 渾身の6・21パリ講演録。
◆街は生きている/磯部 涼
――アフター『ルポ 川崎』
◆二つの彗星――父・寺尾次郎の死に寄せて/寺尾紗穂
◆「たいせつになったなりゆき」について/堀江敏幸
――朝吹真理子『TIMELESS』を読む
◆川に隔てられてきた奇跡の友/いしいしんじ
――国分拓『ノモレ』を読む
◆これは小説ではない(四)/佐々木 敦
◆心象のレンブラント光線/今福龍太
―― 新しい宮沢賢治(6)
◆小林秀雄[第五十七回]/大澤信亮
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第六十五回・島に暮らす
◆見えない音、聴こえない絵(一六五)/大竹伸朗
■■ 本 ■■
◆坂口恭平『家の中で迷子』/藤井 光
◆島田雅彦『絶望キャラメル』/江南亜美子
◆村田喜代子『火環 八幡炎炎記 完結編』/富岡幸一郎
この号の誌面
立ち読み
編集長から
四方田犬彦、初の小説
「鳥を放つ」
◎新しい小説家が登場した。四方田犬彦。ジャンル横断的に百数十冊もの著作を持つ四方田氏が、初めて小説「鳥を放つ」(四二〇枚一挙掲載)を発表したのだ。かつて自伝的な青春記「ハイスクール1968」や恩師との出会いと壮絶な別れを描いた「先生とわたし」を著した四方田氏だが、なぜ本作で初めて〈小説〉という表現形式を選んだのか? ◎主人公の瀬能明生は現実の四方田氏と同じ一九七二年に東京の名門大学に入学。キャンパスで極左の活動家と人違いされ、理不尽な集団暴行に遭うところから物語は始まる。舞台は明生の学生時代(七〇年代東京)から、現代思想誌の編集者時代(八〇年代東京、パリ)、そして放浪時代(九〇~二〇〇一年、アフリカ)へと大きな軌跡を描く。この数十年間に彼は何を体験し、何を失い、何から解き放たれたのか。つまり瀬能明生というひとりの人物はいかに生きたのか――それを一挙に描くためには、フィクションの
新潮編集長 矢野 優
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。