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【創作】筒井康隆「妖精」 中西智佐乃「橘の家」

新潮 2025年3月号

(毎月7日発行)

1,200円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2025/02/07

発売日 2025/02/07
JANコード 4910049010358
定価 1,200円(税込)

【創作】
妖精筒井康隆
映画スタジオに妖精がやってきた。魔術的リアリズムが冴えわたる、新掌篇シリーズ開幕!

橘の家(250枚)/中西智佐乃
転落する幼女を受け止めた木は大昔からそこにあった――。橘の木の言い伝えに揺れる家族と、受胎を願う女の腹に「小さきもの」を感じる手。子孫繁栄を祈る人間の業を見つめた挑戦作。

中之島15の場所での物語岡田利規
この文章を読んでいるあなたの前に、大阪の景色が演劇的に立ち上がる。想像の旅への誘い。

夜とかかと古川真人
島の外で待ち受けるはハイヒールを履いた姉。奔放な足取りで社会に踏み出した娘たちの友情譚。
【手記】
映画『どうすればよかったか?』その後藤野知明
公開を見届けて父は亡くなった。注目のドキュメンタリー監督が明かす、偽らざる心のうち。
【対談】
能とヒップホップの交差点ジャンクションいとうせいこう×ライムスター宇多丸
能の現代語訳で掴んだ掛詞かけことばの妙味。日本語の豊かな可能性を拓く2MCの即興セッション!

いま「この星」のどこかで――『この星のソウル』をめぐって黒川 創×藤原辰史
歴史を単線リニアではなく円環構造として捉えるには。小説という、時空を超えた地図製作の試み。

終わらない学び――アメリカの民主主義と「第三の道」鈴木 健×森田真生
見捨てられた田舎がトランプを選んだ。宇沢弘文の思想の先にある「なめらかな社会」の形。
【リレーコラム 街の気分と思考】
◆ウンディーネは旅に/石沢麻依
◆輪切りの根無し、名無しのスモモ/ハラサオリ
【新潮】
◆記者さん/qp
◆小説はフィクションです/佐藤友哉
◆幸せだったみたい/無傷
【書評委員による 私の書棚の現在地】
◆柳 広司『パンとペンの事件簿』、クレア・キーガン『ほんのささやかなこと』(鴻巣友季子 訳)/市川沙央
◆三浦耕吉郎『自然死(老衰)でくということ――グループホーム「わたしの家」で父を看取る』/古川真人
【本】
◆田中慎弥『死神』/佐藤厚志
◆本谷有希子『セルフィの死』/ひらりさ
【連載コラム】
料理の人類学のかたわらで(第8回)/藤田 周
ニュートラル、洪水としての卵豆腐
見えない音、聴こえない絵(第234回・完)/大竹伸朗
網膜と具象
【連載評論】
みやびとまねび――日本クラシック音楽史(第3回)/片山杜秀
独りの椅子――石垣りんのために(第11回)/梯 久美子
小林秀雄(第114回)/大澤信亮
【連載小説】
Ifの総て(第9回)/島田雅彦
(第10回)/宮本 輝
荒れ野にて(第83回)/重松 清
第57回新潮新人賞 応募規定
執筆者紹介

この号の誌面

編集長から

中西智佐乃「橘の家」
藤野知明「映画『どうすればよかったか?』その後」

◎中西智佐乃「橘の家」。関西地方に暮らす守口家の娘・めぐは生後まもなく二階のベランダから転落するも、庭に聳える橘の木の枝に引っ掛かり、九死に一生を得た。が、このとき負った頬のかすり傷が彼女の運命を決める。妙齢の女性のお腹に触れ、子どもの存在を感じ取ると、傷が疼くのだ。恵実の受胎告知が噂を呼び、いつしか妊娠を求める女性たちが通い、商売として利用する者も現れた。そして、他の生き方を知らぬまま中年を迎えた恵実自身も次第に子を欲するようになる――子孫繁栄を切に願う人々の滑稽で残酷な姿。女性ばかりに不妊の原因が求められた時代の不条理。デビューから五年、人間の業を見つめてきた作家は、これまでになく太い幹の物語を書き上げた◎統合失調症の姉を中心とする家族のドキュメンタリー「どうすればよかったか?」が注目を集める藤野知明監督に、後日談を寄せてもらった。映画の公開を見届けて亡くなった父。後悔だけではない複雑な陰影が監督の言葉に宿る。

編集長・杉山達哉

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞

新潮

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