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今月の編集長便り 毎月10日のメルマガで配信さている「編集長から」を「今月の編集長便り」として再録しました。こんなことを考えながら日々仕事しています。

会社も業界も「見える化」

 GWが明けて仕事再開、また会議や商談の日々がはじまって――というかたも多いと思いますが、一週間程度といえブランクがあると話がかみ合わないことは珍しくありません。そんなとき、曖昧な印象や記憶よりも頼りになるのは、やはり整理された記録であり、何より相手との共通認識でしょう。
「それ、言った?」「何の話、してた?」。進まない、決まらない会議や商談はどこの会社にもありがちとはいえ、ビジネスも出世も人間関係と腹芸の時代から、正確でスピーディーな意思決定が求められる時代になりました。『とにかく可視化―仕事と会社を変えるノウハウ―』(菊池明光・著)は、リクルートでトップ営業マンになった後、独立して約100社を担当してきたコンサルタントが教える超実践的な組織強化マニュアル。時間を浪費する毎日を一変させる仕事術です。
『知っている人は得をしている 宝石の価値』(諏訪恭一・著)は、斯界のレジェンドが、日本人が知らない宝石の資産価値から、楽しみ方や買い求め方、業界を取り巻くウソやタブーまで、豊富な知識と自身の経験をまじえて惜しげなく披露します。かつて奮発して買った給料3ヶ月分の結婚指輪も今ではタンスの肥やし、という人も、これから買う必要がある人も、株や土地以外の有望資産を探している人にも役に立つ宝石知識の宝庫です。
『メディアはなぜ左傾化するのか―産経記者受難記―』(三枝玄太郎・著)は、ときに「右翼記者」と陰口を叩かれながらも、現場を這いずり回り続けた元産経新聞の名物記者による奮戦ドキュメント。大手メディアがしばしば好む左翼的な「反権力」スタンス、でも一皮むけばどうしようもない出世欲と見栄の張り合い、思考停止がもたらす左傾化にすぎなかった――珍しいくらいの熱量で綴られた、あまりにリアルで赤裸々な新聞業界のウラ側です。
2024/05