新潮新書

自らを知るということ

人生のピークは何歳か、個人差もあれば様々な要因のめぐり合わせもありますが、わが身を振り返るなら40歳過ぎぐらい?、というのがざっくりした印象です。勤め人なら社会に出て約20年で定年までほぼ同じぐらい、気力・体力的にも無理が効く、いわばマラソンの「折り返し」にあたります。そういえば以前、著名な生物学者から、40歳過ぎぐらいがヒトという生物本来の寿命で、その先は恵まれた生存環境や医療技術の進歩のおかげだと聞いたことがありました。
11月新刊『43歳頂点論』(角幡唯介・著)では、厳しく苛酷な自然と向き合う極地探検家が、実体験をもとに人生のピークはどこにあるのかを探究します。植村直己、星野道夫、長谷川恒男ら名だたる冒険家たちはなぜ同じ43歳で命を落としたのか、そこには何らかの理由があるのではないか──20代の頃、「体力の衰えは経験でカバーできる」と話す先達を「心中ひそかにバカにしていた」という著者ですが、50代を目前にした今は「その言葉は衰退の言い訳ではなく真理」だと断言できるといいます。気力・体力・経験の最適解を問う、圧倒的な人間論です。
友人同士や家族間、職場のコミュニケーションもテキスト中心になり、めっきり雑談が減った現代社会ですが、「私の話なんて......」「いつも聞き役」という人が増えています。『あなたはなぜ雑談が苦手なのか』(桜林直子・著)は、ジェーン・スーさんとのポッドキャスト「となりの雑談」で有料の雑談サービスを提供する、いわば「雑談のプロ」による雑談入門。3000回以上のセッションを通じて得た、よい雑談の条件やその効能についてオリジナルな概念を駆使して伝えます。自分をよりよく知るためのヒントが満載です。
『知性の復権─「真の保守」を問う─』(先崎彰容・著)は、ロングセラーの前著(『国家の尊厳』)に続いて令和日本の行方を考えます。トランプ2.0を機に大きく変わりつつある世界秩序、グローバル主義から保護主義へ、協調から対立へ、自国のアイデンティティ再構築を目指す大国の動きはロシアや中国も同様です。戦後80年、政治家も政党もこぞって「保守」を掲げますが、社会の閉塞感はより強まっています。世界と日本は今どこにいるのか、混迷と不確実性の時代をこの国はどう乗り越えるのか、歴史と思想史から探究します。
11月新刊『43歳頂点論』(角幡唯介・著)では、厳しく苛酷な自然と向き合う極地探検家が、実体験をもとに人生のピークはどこにあるのかを探究します。植村直己、星野道夫、長谷川恒男ら名だたる冒険家たちはなぜ同じ43歳で命を落としたのか、そこには何らかの理由があるのではないか──20代の頃、「体力の衰えは経験でカバーできる」と話す先達を「心中ひそかにバカにしていた」という著者ですが、50代を目前にした今は「その言葉は衰退の言い訳ではなく真理」だと断言できるといいます。気力・体力・経験の最適解を問う、圧倒的な人間論です。
友人同士や家族間、職場のコミュニケーションもテキスト中心になり、めっきり雑談が減った現代社会ですが、「私の話なんて......」「いつも聞き役」という人が増えています。『あなたはなぜ雑談が苦手なのか』(桜林直子・著)は、ジェーン・スーさんとのポッドキャスト「となりの雑談」で有料の雑談サービスを提供する、いわば「雑談のプロ」による雑談入門。3000回以上のセッションを通じて得た、よい雑談の条件やその効能についてオリジナルな概念を駆使して伝えます。自分をよりよく知るためのヒントが満載です。
『知性の復権─「真の保守」を問う─』(先崎彰容・著)は、ロングセラーの前著(『国家の尊厳』)に続いて令和日本の行方を考えます。トランプ2.0を機に大きく変わりつつある世界秩序、グローバル主義から保護主義へ、協調から対立へ、自国のアイデンティティ再構築を目指す大国の動きはロシアや中国も同様です。戦後80年、政治家も政党もこぞって「保守」を掲げますが、社会の閉塞感はより強まっています。世界と日本は今どこにいるのか、混迷と不確実性の時代をこの国はどう乗り越えるのか、歴史と思想史から探究します。
2025/11































