新潮新書

2025年の締めくくり

お笑いの面白さを、他人に面白く伝える──これはなかなか難問です。日常の感覚のなかに不意に飛び込んでくる驚きや不条理、「もはや笑うしかない何か」とは、得てして言葉にならないからです。12月新刊『現代お笑い論』(立川志らく・著)は、「M-1グランプリ」決勝の審査を5年間務め、トム・ブラウンやランジャタイなど異才を次々に見出した著者ならではの考察。毒舌をまじえた縦横無尽の語り口、ツボを押さえた指摘の数々は、あたかも一席の落語を聞いたかような読後感が。さすがは"全身落語家"です。
『コメ関税ゼロで日本農業の夜は明ける』(野口憲一・著)は、レンコン農家にして民俗学者という異色の著者による日本農業への激辛提言。農家が身体化して持っている「知」を評価して農産物に適正な値段をつける、ピラミッド型の価格体系を導入して消費者・生産者の選択肢を増やす──こうした観点に立てばトランプ関税はまたとないチャンス、むしろ日本側から「コメ関税撤廃」を提案して日本農業の自立につなげるべきではないか、というのです。自由貿易論者が敵視する農協を、「農家のソフト」を継承するための社会的インフラとして再定義しているのもユニークな点です。
『日本漁業の不都合な真実』(佐野雅昭・著)では、農業だけでなく急速に進む漁業の衰退に警鐘を鳴らします。漁業者はこの20年で半減、漁獲量は40年で実に7割減、高級魚はもとより大衆魚も価格は急上昇、このままでは30年後は食卓から国産魚が消えるかもしれない──海水温の変動、中国との競争、エネルギーコスト上昇など漁業をとりまく環境は厳しさを増す一方で、世界に冠たる魚食文化はこの先どうなるのか、その危機的状況を徹底分析します。
『コメ関税ゼロで日本農業の夜は明ける』(野口憲一・著)は、レンコン農家にして民俗学者という異色の著者による日本農業への激辛提言。農家が身体化して持っている「知」を評価して農産物に適正な値段をつける、ピラミッド型の価格体系を導入して消費者・生産者の選択肢を増やす──こうした観点に立てばトランプ関税はまたとないチャンス、むしろ日本側から「コメ関税撤廃」を提案して日本農業の自立につなげるべきではないか、というのです。自由貿易論者が敵視する農協を、「農家のソフト」を継承するための社会的インフラとして再定義しているのもユニークな点です。
『日本漁業の不都合な真実』(佐野雅昭・著)では、農業だけでなく急速に進む漁業の衰退に警鐘を鳴らします。漁業者はこの20年で半減、漁獲量は40年で実に7割減、高級魚はもとより大衆魚も価格は急上昇、このままでは30年後は食卓から国産魚が消えるかもしれない──海水温の変動、中国との競争、エネルギーコスト上昇など漁業をとりまく環境は厳しさを増す一方で、世界に冠たる魚食文化はこの先どうなるのか、その危機的状況を徹底分析します。
2025/12































