新潮新書

今月の編集長便り 毎月10日のメルマガで配信さている「編集長から」を「今月の編集長便り」として再録しました。こんなことを考えながら日々仕事しています。

2026年の幕開け

 2026年が始まりました。もっとも、カレンダーは例年のように一新されても、年来の課題や問題が一掃されるわけではありません。たとえば昨年、台湾有事に関する高市首相の国会答弁を機に冷え込んだ日中関係も、元通りに復するまでには年単位で考えなければならないだろうと多くの識者が指摘しています。
 そんななか、ぜひ手に取っていただきたいのが『中国共産党が語れない日中近現代史』(兼原信克・著、垂秀夫・著)。国家安全保障局次長として安倍政権の官邸外交を支えたキーマン・兼原氏と、駐中国日本国特命全権大使として中国への厳しい姿勢で知られた垂氏。ともに対中外交を牽引してきた二人が、アヘン戦争の時代から習近平独裁の現在まで、日中の不可分な関係性をめぐって徹底的に話し合います。辛亥革命がそうであるように、近代中国の歴史は日本の影響を抜きには語れませんが、共産党が支配する中国では文化大革命や天安門事件など、中華人民共和国の歴史を画す大事件はほとんど漂白されてしまっています。プロの実務家ならではの幅広い知見には、ジャーナリズムとは次元の違う説得力があります。
 内憂外患とはいいますが、混とんとする世界情勢はもちろんのこと、内政についても課題は山積する一方です。『政府破綻』(一般財団法人ネクストジャパン・イニシアティブ・著)では、船橋洋一氏がプログラム・デイレクターとなり、2050年をイメージして、よりよい日本をつくるための施策を考えます。昨年アメリカのDOGE(政府効率化省)が話題になりましたが、少子高齢化や社会保障費の増大で、何も手を打たなければ日本政府はいずれ破綻状態に追い込まれます。それを避けるために何ができるか
──DXによる政府効率化とスリム化、国家ファンドの活用による国富の増大、経済安保の確保と防衛体制の整備、官僚機構の人事見直しなど、様々なプランを各分野の専門家が大胆に提言します。
 年々老いてゆくのは国ばかりではありません。何よりもわが身が気になるのは人の常でもありますが、『死ぬまで元気―88の読むサプリ―』(和田秀樹・著)では、30年以上、老年医学の現場に携わる傍ら、『80歳の壁』など多くのベストセラーで知られる著者が、俗にいう"ピンピンコロリ"に向けて何ができるかを考えます。血圧やコレステロール、血糖値などなど健診のたびに指摘される数値にどう向き合うか、我慢と節制こそが免疫力を高めるのか、検査と投薬でどれほど健康寿命が延びるのか、老いを受けいれながら楽しく長生きする道は......変わり続ける医学常識をひもときながら、新たな考え方を提案します。
 新たな年もまた、新潮新書をどうぞよろしくお願いいたします。
2026/01