新潮新書

居心地のいい世界はどこに

昨年と変わらず、国際ニュースを見るのもいささか気が重い日々が続きます。トランプしかり、習近平やプーチンなど世界のリーダーたちが剥き出しの自己主張を繰り返す昨今、国連の場においてもそれぞれが自国の利害を最優先し、合意の形成はいよいよ困難になっています。何年か前までは確かにあった、アメリカを中心とした世界秩序が大きく揺らぐなか、日本としても安閑としてはいられません。
2月新刊『武器としての日本語思考』(松元崇・著)は、高橋是清の研究家でもある元内閣府事務次官が、言語の面から考察した異色の日本論。とかく議論に向かないとか、マイナーすぎるとか言われる日本語ですが、「主語がない」「結論をすぐに出さない」「世間の空気を読む」といった特徴こそが、これからの国際社会に必要だといいます。
例えば、かつて米国が途中離脱したTPP交渉が、日本がまとめ役となって実現に至ったように、強烈な自己主張をせず、答えを急がないがゆえに、どの参加国にとっても心地よい折衝の場を提供することができるというのです。
デジタル疲労なのか寝酒が過ぎるのか、ベッドに入ってもどうも居心地がわるい、寝付けないという人は少なくありません。厚労省によると、一般成人の30~40%が何らかの不眠症状を有しているそうで、「どうすればよく眠れるか」は今や世界的ホットトピックです。
『熟睡力』(メライン・ファンデラール・著、國森由美子・訳)は、長年、オランダ睡眠医学センターで不眠症患者の治療にあたってきた著者が、自身の不眠症をきっかけに睡眠メカニズムを徹底的に探究。文明社会に追われ続ける現代人を「よりよい眠り」へと導きます。
明日の心配事や不安はつきないものですが、世界で活躍し続ける美術家は、90歳を迎える今、どう老いを受け入れているのでしょうか。『運命まかせ』(横尾忠則・著)にその心境が余すところなく描かれます。極度の難聴で負ったハンディキャップを「面白い!」と言い切り、難問にぶつかれば「しゃーない」とすぐに諦め、「何もしない」ことの効能を説いたと思えば、「人生百年時代」という世間の風潮には抵抗する。
人生は、なるようになる──衒いのない、その率直な言葉に触れるだけで心が楽になる、「受動的生き方」の美学です。
2月新刊『武器としての日本語思考』(松元崇・著)は、高橋是清の研究家でもある元内閣府事務次官が、言語の面から考察した異色の日本論。とかく議論に向かないとか、マイナーすぎるとか言われる日本語ですが、「主語がない」「結論をすぐに出さない」「世間の空気を読む」といった特徴こそが、これからの国際社会に必要だといいます。
例えば、かつて米国が途中離脱したTPP交渉が、日本がまとめ役となって実現に至ったように、強烈な自己主張をせず、答えを急がないがゆえに、どの参加国にとっても心地よい折衝の場を提供することができるというのです。
デジタル疲労なのか寝酒が過ぎるのか、ベッドに入ってもどうも居心地がわるい、寝付けないという人は少なくありません。厚労省によると、一般成人の30~40%が何らかの不眠症状を有しているそうで、「どうすればよく眠れるか」は今や世界的ホットトピックです。
『熟睡力』(メライン・ファンデラール・著、國森由美子・訳)は、長年、オランダ睡眠医学センターで不眠症患者の治療にあたってきた著者が、自身の不眠症をきっかけに睡眠メカニズムを徹底的に探究。文明社会に追われ続ける現代人を「よりよい眠り」へと導きます。
明日の心配事や不安はつきないものですが、世界で活躍し続ける美術家は、90歳を迎える今、どう老いを受け入れているのでしょうか。『運命まかせ』(横尾忠則・著)にその心境が余すところなく描かれます。極度の難聴で負ったハンディキャップを「面白い!」と言い切り、難問にぶつかれば「しゃーない」とすぐに諦め、「何もしない」ことの効能を説いたと思えば、「人生百年時代」という世間の風潮には抵抗する。
人生は、なるようになる──衒いのない、その率直な言葉に触れるだけで心が楽になる、「受動的生き方」の美学です。
2026/02































