新潮新書

世界にも稀な教育、文化、そして人生案内

幼稚園から小学校、さらには中学・高校へ──春は卒業と進学の季節です。私立校に進む子もいれば、とくに意識せず公立校へと進む子もたくさんいますが、公立小学校に比べて試験のある私立のほうが、やはり平均的な学業レベルは高いはずです。ただ、集団の中の様々な他者との関わりかたや適度な自意識を育てるという面では、学業成績だけでは測りがたいのが児童教育の難しいところでもあるようです。
3月新刊『それでも息子を日本の小学校に通わせたい』(山崎エマ・著)では、日本、イギリス、アメリカで教育を受けたドキュメンタリー映画監督が、それぞれの国における教育の考え方やスタイルについて、自身の体験から考察します。日本の公立小学校や甲子園の強豪校など「日本らしさ」をテーマに作品を撮り続け、2025年米アカデミー賞・短編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた著者ならではの観察眼で、いじめ問題や画一性ばかりが注目されがちな日本の小学校教育の本当の力を浮き彫りにしていきます。
日本の文化的伝統と世界にも稀なその特徴を、文字と建築という意外な側面から教えてくれるのが、『漢字文化圏の興亡─中国の限界、日本の前途─』(若山滋・著)です。建築家として欧米や中国、アジア諸国の文化を分析してきた著者が、自らの経験をもとに、古代から現代までの東西文明の変遷と、日本人が長年それらとどう向き合ってきたかをひもときます。世界秩序が揺らぐこの時代に、日本人が未来をどう生き抜き、世界に貢献していくべきかを考える異色の文明論。随所に芸術的なセンスが感じられるのは、おばであり書家の篠田桃紅、母の従兄弟で映画監督の篠田正浩との縁ゆえかもしれません。
混迷の時代を国としてどう生きていくのかは重大事ですが、やっぱり一人一人にとって切実なのは、日々の暮らしの中で次々とわき起こる悩みの数々。人間関係、恋愛、仕事、学業など、老若男女のこころの声に本気のことばで答えた一冊が『人生不案内』(いしいしんじ・著)です。知人をして「(他の人生相談とは)ぜんっぜん、ちがう!」と言わしめるほど真摯な回答に、こころがふっと軽くなったり、ちょっと世界がちがって見えたり。読売新聞の名物欄「人生案内」4年間の回答集は小説家らしく、やさしく、深く、独創的です。
3月新刊『それでも息子を日本の小学校に通わせたい』(山崎エマ・著)では、日本、イギリス、アメリカで教育を受けたドキュメンタリー映画監督が、それぞれの国における教育の考え方やスタイルについて、自身の体験から考察します。日本の公立小学校や甲子園の強豪校など「日本らしさ」をテーマに作品を撮り続け、2025年米アカデミー賞・短編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた著者ならではの観察眼で、いじめ問題や画一性ばかりが注目されがちな日本の小学校教育の本当の力を浮き彫りにしていきます。
日本の文化的伝統と世界にも稀なその特徴を、文字と建築という意外な側面から教えてくれるのが、『漢字文化圏の興亡─中国の限界、日本の前途─』(若山滋・著)です。建築家として欧米や中国、アジア諸国の文化を分析してきた著者が、自らの経験をもとに、古代から現代までの東西文明の変遷と、日本人が長年それらとどう向き合ってきたかをひもときます。世界秩序が揺らぐこの時代に、日本人が未来をどう生き抜き、世界に貢献していくべきかを考える異色の文明論。随所に芸術的なセンスが感じられるのは、おばであり書家の篠田桃紅、母の従兄弟で映画監督の篠田正浩との縁ゆえかもしれません。
混迷の時代を国としてどう生きていくのかは重大事ですが、やっぱり一人一人にとって切実なのは、日々の暮らしの中で次々とわき起こる悩みの数々。人間関係、恋愛、仕事、学業など、老若男女のこころの声に本気のことばで答えた一冊が『人生不案内』(いしいしんじ・著)です。知人をして「(他の人生相談とは)ぜんっぜん、ちがう!」と言わしめるほど真摯な回答に、こころがふっと軽くなったり、ちょっと世界がちがって見えたり。読売新聞の名物欄「人生案内」4年間の回答集は小説家らしく、やさしく、深く、独創的です。
2026/03
































