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特集:「情報戦」を読む

小説新潮 2010年3月号

(毎月22日発売)

特別定価901円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/02/22

発売日 2010/02/22
JANコード 4910047010305
定価 特別定価901円(税込)

【二大新連載開始】

◆大沢在昌/冬芽の人
──入社四年、営業二課。彼女の過去を誰も知らない。容疑者から彼女を庇った同僚が死に、刑事を辞めた過去

◆あさのあつこ/たまゆら
──人の世が尽き、山が始まる臨界線の上に暮らす老夫婦。山の円環に呑まれたか、稀に帰らぬ人がいる……

【特集:最新短編6(シックス)センス】

◆森見登美彦/グッド・バイ
──俺は京都を去る。阿呆神に抗う厳しい修業に耐えた日々の成果や如何に。サヨナラ巡礼へ、いざ行かん!

◆唯野未歩子/愛こそすべて
──やりたい。けど俺は衝動を封じ彼女を尊重する。これこそ愛

◆仁木英之/第狸奴の殖 僕僕先生
──発情期を迎え狙われた第狸奴。王弁は大事な仲間を守れるのか?

◆吉野万理子/大凶の猫
──瞳が引いたおみくじは、大凶。晴れ舞台を前に不吉な予感が…

◆小島達矢/来訪者
──空き巣に入った家に転がる死体に戦き、逃走を試みたその時

◆平 安寿子/コーヒー、もう一杯
──32歳で恋に仕事に大失敗。未来は地獄or天国? 鍵はカフェ!

【読切連載第二弾】
◆畠中 恵/こいやこい しゃばけ
──若だんながプロポーズされたってぇ!? つ、遂に嫁取りか!

【傑作読切】
◆井上荒野/ふざけた女
──艶がもうすぐ死ぬ。奔走する松生をよそに艶は最後まで…
◆北原亞以子/春の雪 慶次郎縁側日記
──暗い家にひとり帰る侘しい男。お梶はそんな男を見逃さない

【集中連載】
◆福田和代/タワーリング
──SITでさえ、最上階へ突入不可能!? 船津が閃いた奇策は
◆宮木あや子/ガラシャ
──秀治へのかなわぬ恋。玉子はすがる思いで異国の神に祈った

【連載第二回】
◆白川 道/神様が降りてくる
──封印した服役の過去。女の口にした名前がそれをこじ開ける

【ノンフィクションノベル・集中連載】
◆平山 讓/サッカーボールの音が聞こえる
──ドーハの悲劇を観た若者の目は、その視力を失いつつあった

第十三回「伊豆文学賞」発表
【選評】三木 卓/村松友視/嵐山光三郎/太田治子
【最優秀賞】「海煙」土橋章宏

【特集:「情報戦」を読む】

〈スペシャル対談〉
◆手嶋龍一×真山 仁/小説世界のインテリジェンス
──情報を制する者が世界を制す。二人の作家が語り合う、取材術、人脈、読書の蓄積

〈実践的スパイ入門〉
◆佐藤 優/あなたがスパイになるために
──祖国と冒険を愛する人こそ優秀なスパイになれる…わけじゃない。まずはこの適性検査を受けましょう

〈史料が語る日本の情報戦〉
◆白石仁章(外務省外交史料館課長補佐)/インテリジェンス・オフィサーの無念
──日本のシンドラー・杉原千畝。情報戦士としての素顔を発掘!

〈ブックガイド〉
◆西上心太/百年の最強スパイを探せ!―東西スパイ小説10選
──大戦、東西冷戦――現代史の陰にスパイあり。必読の名作ガイド

【好評連載小説】
赤川次郎/子子家庭の下宿人 前編
飯嶋和一/星夜航行
石田衣良/明日のマーチ
楡 周平/虚空の冠
貫井徳郎/灰色の虹
宮部みゆき/ソロモンの偽証

櫻井よしこ/母と過ごす至福の日々

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
柴門ふみ/恋のタネ
酒井順子/徒然草REMIX
佐藤 優/落日の帝国 私のイギリス物語
山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南 最終回
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負

第二十二回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
第六回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

インテリジェンスを読む
 インフォメーションとインテリジェンスの違いは何か。佐藤優氏によれば、インフォメーションは情報素材、インテリジェンスはそれを精査し評価したもの。新聞記事は素材に過ぎないが、そこから背後の動きを見出せばインテリジェンスである。さらに、非合法なインテリジェンス活動をスパイ活動と呼ぶ。
 今月の特集は、インテリジェンスを変換し、「『情報戦』を読む」とした。新著『スギハラ・ダラー』で未知の杉原千畝像を提示した手嶋龍一氏と、近刊『プライド』が控える真山仁氏の対談は、ともにジャーナリスト出身らしい気骨と取材・人脈作りの秘術満載。佐藤優氏は実践的スパイ入門を説き、外交資料館館員の白石仁章氏は発掘資料から歴史に光を当てる。西上心太氏のブックガイド付き。
 小説特集は「最新短編シックスセンス」。森見登美彦氏、平安寿子氏を始め、六編の新鮮な「感覚」が並ぶ。待望の大沢在昌氏とあさのあつこ氏の連載も堂々開幕。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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