【真夏の怪談特集 怖い話】芦沢 央/宇月原晴明/小林泰三/小松エメル/澤村伊智/花房観音
小説新潮 2017年8月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2017/07/22 |
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JANコード | 4910047010879 |
定価 | 947円(税込) |
[暑さを吹っ飛ばす一冊は……コレダ。]
■目次
【真夏の怪談特集 怖い話】
――古来語り継がれる「怪談」も、時代に連れて進化します。趣向を凝らした最前線の怪異譚6編と、「恐怖の現場」に身を置く方々の肉声を集めました。酷暑を凌ぐ一助となればお慰み。
〈小説〉
◆芦沢 央/火のないところに煙は
――念願だった一軒家のマイホーム。お隣さんもいい人で……
◆宇月原晴明/百鬼園の玄関番
――次々と訪ねて来る怪しい客。追い返すのが役目だけれど
◆小林泰三/自分霊
――いわくありげな部屋を借りた私。それは、深夜に現れた
◆小松エメル/さちの足跡 銀座ともしび探偵社
――あれを捜すサチに町の人は無関心。声をかけてきたのは
◆澤村伊智/高速怪談
――相乗りで大阪へ向かう車中。会話は恐怖体験自慢となり
◆花房観音/女禁高野
――都会に疲れた女。一人旅の行き先に選んだ高野山の宿坊で
〈エッセイ&インタビュー〉
◆三上 延/恐怖のノスタルジー(エッセイ)
――幼いころテレビで見たホラー映画。それが原点だった
◆御茶漬海苔/恐怖は現実の中にある(インタビュー)
――少女ホラー漫画全盛期を生きた漫画家の、静かな熱狂
◆田中康弘/山は生よりも死をはらんでいる(インタビュー)
――白蛇、狐火、迷い道。山に生きる人が体感した「怪談」
【新連載小説】
◆野口 卓/大名絵師写楽
――かの東洲斎写楽の正体とは、そして何故謎のまま消え去ったのか。積年の論争に、遂に終止符が打たれる瞬間が!
【特選読み切り小説】
◆井上荒野/ペルー
――ルエカには逆らえない。有夢たちは、海を中傷するビラをまく
◆加藤 廣/秀頼九州落ち
――秀頼は死んでいなかった!? 絶体絶命の大坂城で語られたある秘策
◆木皿 泉/スペア (後編)
――突然始まった父との生活。そこにはもう一人の「自分」の痕跡が
◆野中 柊/スノーノイズ 猫をおくる
――菜々さんの骨はきれいだった。十八歳という高齢だったのだが
◆本城雅人/選抜の基準
――デスクはドラフト資料を前に悩んでいた。どちらを獲るべきか
【特別読物】
◆及川眠子/思い出を許すまで 『破婚』、その後
――18歳年下のトルコ人亭主と別れた人気作詞家は、それから何を考えたのか? 昨年の話題をさらった『破婚』の後日譚
【連載第二回】
◆石田衣良/清く貧しく美しく
――日菜子が欲しかった緑色のドレスは、家賃よりも高かった
【小説新潮作家名鑑】
◆澤村伊智
――妖怪漫画第一人者縁(ゆかり)の神社で、新鋭作家が与る御利益とは
【バラエティコラム】
〈もういちど会いたい〉 木村 聡
〈マイルーティーン〉 辻本 力
〈わたしの愛用品〉 矢澤澄道
【連載コラム】
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉 吉田大助 /〈医療・介護〉 東えりか/〈ホラー・ミステリ〉 村上貴史
【好評連載小説】
あさのあつこ/ハリネズミは月を見上げる
乾 緑郎/杉山検校
奥田英朗/霧の向こう
小島慶子/陽だまりの宴
今野 敏/棲月 隠蔽捜査7 最終回
西村京太郎/広島電鉄殺人事件
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
早見和真/ザ・ロイヤルファミリー
薬丸 岳/刑事弁護人
山本文緒/自転しながら公転する
【連載エッセイ】
阿刀田 高/漱石を知っていますか 最終回
Oka-Chang/へそのお
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
武田砂鉄/ポジティブ・ファシズム
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
西きょうじ/そもそも
群 ようこ/じじばばのるつぼ
第四回「新潮ミステリー大賞」候補作発表
第五回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき
この号の誌面
編集長から
「怖い話」は進化する
小学生の頃、怖がりのくせに図書館では「こわい」や「恐怖」などの言葉が題名に付いた本を借りまくっていました。そして中学に入ると、必然的に東京創元社の「怪奇小説傑作集」と出会い、以来「優れた小説は総て怪談である」を座右の銘に、読書を続けています。ちなみに座右の銘は自作ですが。
今月の怪談特集「怖い話」には、芦沢央、宇月原晴明、小林泰三、小松エメル、澤村伊智、花房観音の各氏による、進化を続ける怪談の最新形が六編。読者を恐怖に誘う技巧の数々をお楽しみ下さい。また、三上延氏のホラー映画礼賛エッセイ、ホラー漫画家・御茶漬海苔氏や山岳怪談の第一人者・田中康弘氏のインタビューも。酷暑を凌ぐ一助となれば幸いです。
そして野口卓氏の「大名絵師写楽」の連載も始まります。東洲斎写楽の正体については、これまで様々な説が唱えられ、数多くの小説が書かれてきましたが、本作は食傷気味の読者をも驚かす、野心的長編です。
小説新潮編集長 江木裕計
次号予告
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。