【R-18文学賞大特集】
第18回女による女のためのR-18文学賞決定発表
小説新潮 2019年5月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2019/04/22 |
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JANコード | 4910047010596 |
定価 | 特別定価1,069円(税込) |
【R-18文学賞大特集】
○第18回女による女のためのR-18文学賞受賞作発表・受賞の言葉
――応募総数832作! 熱い議論の末に選ばれた才能を見よ
○選評 辻村深月/三浦しをん/友近
○受賞作
◆大賞 月吹友香/赤い星々は沈まない
――年をとっても女は女。性欲を隠さない老女を前にミサは
◆読者賞 小沼朗葉/おまじない
――お昼休み、同僚から漏れる謎の音がどうしても気になって
◆友近賞 千加野あい/今はまだ言えない
――風俗嬢の母に育てられた僕。その胸中はやっぱり複雑で
○歴代受賞作家競作
◆清水裕貴(第17回大賞)/最後の肖像
――学生の時付き合った彼女。その姿を僕は思い出せない
◆白尾 悠(第16回大賞・読者賞)/春歩く、夜歩く
――どうしても会いたかった。その訳は言えないけれど
◆町田そのこ(第15回大賞)/ばばあのマーチ
――恋人と親友に裏切られた香子の耳に響いてきたのは
◆小林早代子(第14回読者賞)/あわよくば一生最強
――花乃子の失恋を機に女四人で暮らす話が持ち上がり
◆森 美樹(第12回読者賞)/わがままな皮膚
――心身共に干上がっている私の命綱は、彼の手だけで
◆田中兆子(第10回大賞)/小さな穴だらけの島
――その穴を通るのは風だけ。でも本来の用途は別に
【二大新連載】
〈小説〉
◆織守きょうや/朝焼けにファンファーレ
――弁護士の花は現れた修習生を見て、目を丸くするが……
〈エッセイ〉
◆坪内祐三/玉電松原物語
――自らを育んだ街の記憶を、体験を通して鮮やかに甦らせる
【シリーズ「まなつ」最新作】
◆重松 清/十一番目の色
――カムリくん一家に招かれ、街一番のタワマンを訪れた修平
【傑作読み切り短編】
◆畠中 恵/くりかえし しゃばけ シリーズ最終話
――於りんに降りかかった災難。桜と神様に関係あるようで
◆暖 あやこ/勾玉を捜せ
――三種の神器の一つが盗まれた! 緊急捜査チームが招集され
【連載第二回】
◆宮城谷昌光/公孫龍
――
◆梶 よう子/東都の藍
――仕事のない広重に、版元は容赦なく嫌味を浴びせ
【グラビア】
◆日本ファンタジーノベル大賞2018贈呈式
【バラエティコラム】
〈いつか住みたい街〉今和泉隆行
〈わたしの愛用品〉宮川サトシ
〈マイルーティーン〉やきそばかおる
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈SF・ファンタジー〉石井千湖
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【連載エッセイ・マンガ・インタビュー】
◆阿刀田高/谷崎潤一郎を知っていますか
◆岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
◆川上和人/オニソロジスト嘘つかない
◆酒井順子/処女の道程
◆佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆椎名 誠/漂流者は何を食べたか
◆中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
◆中野 翠/コラムニストになりたかった
◆平松洋子/プロレスは何を食べる
◆道草晴子/下北日記
【好評連載小説】
◆赤川次郎/いもうと
◆安部龍太郎/迷宮の月
◆彩瀬まる/サーカスの日
◆江上 剛/特命金融捜査官 清算
◆奥泉 光/死神の棋譜
◆熊谷達也/我は景祐 最終回
◆黒川博行/熔果
◆今野 敏/清明 隠蔽捜査8
◆貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
◆藤野恵美/サバイバーズ・ギルト 最終回
◆宮部みゆき/Ghost Story
◆薬丸 岳/刑事弁護人
◆山本文緒/自転しながら公転する 最終回
第三十二回「山本周五郎賞」候補作発表
「日本ファンタジーノベル大賞2019」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき
この号の誌面
編集長から
記憶の中から甦る 昭和の世田谷
文芸、近現代史から相撲まで、守備範囲の広い評論家の坪内祐三氏が、かねてから温めていたテーマが、幼少期から昭和の終わりまでを過ごした東京・世田谷の街だ。本号から始まる連載は、題して「玉電松原物語」。とはいえ小説ではなく、チンチン電車(玉電=現在の東急世田谷線)の駅から広がる在りし日の街を、記憶の中から甦らせようという試みだ。高級住宅地として知られる世田谷が、当時はどんな土地だったのかが、坪内少年の活躍とともに鮮明に浮かび上がる。それはまた大岡昇平の『幼年』『少年』のごとく、街によって語られる自叙伝でもある。
そして五月号恒例の「R-18文学賞大特集」。18回を迎えた今年も、大賞の月吹友香氏「赤い星々は沈まない」を始め、個性豊かな3作品が世に送られる。過去の受賞作家6氏による短編競作と併せて、このユニークな文学賞の精華を確認されたい。
期待の俊英・織守きょうや氏の連載小説「朝焼けにファンファーレ」も今月からスタート。
小説新潮編集長 江木裕計
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。