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【特集 うつくしいひと】
井上荒野/朝倉かすみ/一木けい/泉ゆたか/奥田亜希子/東山彰良/都築響一

小説新潮 2021年3月号

(毎月22日発売)

1,000円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/02/22

発売日 2021/02/22
JANコード 4910047010312
定価 1,000円(税込)
■目次
【特集 うつくしいひと】
目に見えるもの、見えないもの。
あなたの大切な何かを持つ人が、ここに確かにいます

井上荒野/今まで着たことがないコート、あるいは羊
――店先でパパが突然倒れた。呆然とする私の前に現れたのは

朝倉かすみ/オンテンバール
――子供のままでいたいのに、気づけばわたしは「女の子」で

一木けい/境界
――バカンスで海外を訪れた栞は船上でひとりの女性と出会い

◆泉ゆたか/岸和田でヨガ
――東京から岸和田への移住。言葉も文化も変わってしまって

奥田亜希子/プリザーブド
――実らないまま散った、上司への恋。私に言葉をかけるのは

東山彰良/遡上
――はぐれ者のヤッス。成長しても彼は驚くほど変わらなくて

【特別エッセイ】
都築響一/アイドルとヲタの国――うつくしさとかなしみと
――今年一月刊行の写真集『IDOL STYLE』。アイドルとヲタが育む彼らだけの「地下の世界」とは?

【アンケート】
◆本好きが選ぶ「うつくしいひと」と出会う物語
――小説の中で今も心に残るあのひとは? 読書のプロに訊いてみました
【傑作読切】
芦沢 央/恩返し
――タイトル戦の対局前検分、駒師にとってはそこが勝負の場だ
【祝刊行】
公孫龍』の魅力
◆書評 岡本隆司(東洋史・近代アジア史)/「ほんもの」を描く「物語」

◆これまでのあらすじ
【グラビア】
第七回新潮ミステリー大賞贈呈式
【ノンフィクション新連載】
◆宮下洋一/デス・ペナルティー 生と死のあいだで
――刑罰の中でも最も重い「死刑」。その在り様を、各国の現場取材を通して見つめなおす。ノンフィクション界気鋭の書き手が本誌初登場!
【好評シリーズ】
乃南アサ/家裁調査官・庵原かのん 第五話 パパスの祈り
――道交法違反で捕まった外国籍の少年。日本生れの彼の心には

畠中 恵/ひめわこ
――未だ子供姿の一太郎。妖たちと両国の芝居小屋に出かけると

◆しゃばけごはん(作:畠中 恵 料理:川津幸子)
【バラエティコラム】
〈もういちど会いたい〉浜島直子
〈わたしの東京〉カツセマサヒコ
〈うれしい買い物〉印度カリー子
【連載エッセイ・マンガ・ノンフィクション】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
高橋秀実/おやじはニーチェ
筒井ともみ/もういちど、あなたと食べたい 最終回
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
矢部太郎/ぼくのお父さん
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈SF・ファンタジー〉北村浩子
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
江國香織/ひとりでカラカサさしてゆく
恩田 陸/追憶の五重奏
木内 昇/雪草紙 雲の脚
窪 美澄/夏日狂想
今野 敏/探花 隠蔽捜査9
桜木紫乃/緋の河 第二部
千早 茜/しろがねの葉
原田ひ香/財布は踊る
宮城谷昌光/公孫龍
宮部みゆき/Ghost Story
山本一力/ひむろ飛脚
第八回「新潮ミステリー大賞」募集要項
「日本ファンタジーノベル大賞2021」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき

この号の誌面

編集長から

「うつくしいひと」が織りなす人生の奇跡

「家や、星や、砂漠を美しくしているものは、目には見えない」とは『星の王子さま』のあまりにも有名な台詞です。人もきっとそうなのだろうなと、マスクに覆われた誰かの顔を眺めては思います。もしも見た目が九割ならば、あとの一割は一体何なのだろう? その疑問から、今号の特集ははじまりました。「あなたの思う「うつくしいひと」を書いてください」との依頼に応えてくださった作家は六名。幼馴染、異郷での出会い、かつての同志、そして初恋の人――見た目とは関係なく表出する人間の豊かさに触れると、星の王子さまの言葉通り、人を美しくするのはその人との関係性なのかと思い至ります。いっぽう井上荒野さんの描く、某韓国不時着ドラマから抜け出した見目麗しい男の姿に「やはり見た目も大事……」と心は揺れるのでした。地下アイドルとファンの確かな絆を写し出す都築響一さんのエッセイ、各界の読書家による「うつくしいひと」ブックガイドも必読です。

小説新潮編集長 西麻沙子

次号予告

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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