【ミステリ特集 真実はその手の中に】
長江俊和/まさきとしか/結城真一郎/京橋史織/荻堂 顕/松嶋智左/今野 敏
小説新潮 2022年2月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2022/01/21 |
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JANコード | 4910047010220 |
定価 | 1,000円(税込) |
【ミステリ特集 真実はその手の中に】
◆長江俊和/撮影現場
――世界的映画監督の作品に出演が決まった和人を襲うのは
◆まさきとしか/聖地の女
――殺されたアイドルのネタが欲しい。呪いなんて怖くない
◆結城真一郎/三角奸計
――青春を共にした仲間との楽しいリモート飲み会が一変し
◆京橋史織/カーテンの向こう側
――コロナ禍の病院。隣のベッドからは聞き覚えのある声が
◆荻堂 顕/ヘイトレッド・シェイプド・シー
――かつての級友に呼び出され、遠いハワイの地でわたしは
◆松嶋智左/署長官舎 前編
――休日の呼び出しを恨みつつ、庶務係の巡査長が向かう先は
◆今野 敏/非違 隠蔽捜査外伝
――足繋く顔を出す管理官。署の「問題児」を見咎められて
〈実録エッセイ〉
◆小川 哲/SF作家vs.マーダーミステリー
――プレイヤーが殺人事件の登場人物に扮して犯人を暴く新感覚体験型エンタメに挑む!
【新発見戯曲、一挙掲載】
◆遠藤周作/戯曲 わたしが・棄てた・女
――読み継がれ、映像化もされた長編は遠藤文学を貫くテーマを押し出し、作者自身の手で戯曲に仕立てられた
〈解説〉
◆加藤宗哉/戯曲版『わたしが・棄てた・女』の価値 より鮮やかに届く“平凡―聖化”のテーマ
【特選読み切り】
◆井上荒野/亡き人が注文したテント、あるいは羊
――突然夫が死んだ。それでも、私はこの長野の家で一人で暮らしていく、と決めたが――
◆清水裕貴/ゴーストの配達物
――バーを営む店長の下に届いた、殺人事件の報。常連客の一人がなにやら知っているようで
【連載第二回】
◆桐野夏生/ダークネス
――「あんたは自立しなさい」母親のミオはいつも正しい
◆寺地はるな/雲に届く
――莉子にとって野暮ったい印象しかない朱音は夫と別居中で
【大好評! しゃばけシリーズ】
◆畠中 恵/こいごころ
――若だんなの夢の内に難問を抱えた二匹の妖狐が現れて――
【バラエティコラム】
〈わたしの東京〉五十嵐律人
〈もういちど会いたい〉玄理
〈そのとき(わたしの)歴史が動いた〉岸本 誠(都市ボーイズ)
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆阿刀田高/ちょうど時間となりました―あるユニークな作家の回想―
◆いしいひさいち/剽窃新潮
◆加納愛子/行儀は悪いが天気は良い
◆佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆スズキナオ/家族が一番わからない
◆田中卓志/ちょっと不運なほうが生活は楽しい
◆友近/友近道中
◆中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
◆益田ミリ/ツユクサナツコの一生
◆群ようこ/四十年、こんな感じで書いてます
◆山本さほ/てつおとよしえ
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
【好評連載小説】
◆乾 緑郎/おどろかし 戯場國の怪人
◆篠田節子/ドゥルガーの島
◆馳 星周/眠らぬ王 極夜・第二部
◆原田マハ/晴れの日の木馬たち
◆宮城谷昌光/公孫龍
◆山本一力/ひむろ飛脚
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈医療・介護〉杉江松恋
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
「日本ファンタジーノベル大賞2023」募集要項
第九回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告
この号の誌面
編集長から
遠藤周作の新発見戯曲『わたしが・棄てた・女』
その物語に初めて出会ったのは二十年ほど前、渋谷の今はない本屋さんの店頭でした。いかにも昭和の本ですという顔の文庫がワゴンに山と積まれ、熱のこもったPOPが添えられていました。一九六三年に書かれた『わたしが・棄てた・女』。昨年、長崎の遠藤周作文学館で未発表原稿が三作発見され、うち一作がこの作品の戯曲でした。加藤宗哉さんの解説によると一九七九年ごろの作ではとのこと。原稿用紙の裏に小さな文字でびっしり書かれた原稿には小説にはなかった時間の流れがあり、テーマがより純化した形で結晶していました。作家の中で作品が熟成していくさまが手に取るように伝わってきます。
真冬のミステリ特集では、うってかわってもぎたて新鮮な短編を七編ご用意しました。さらに、自らが推理小説の登場人物となって真相を探るテーブルゲーム「マーダーミステリー」に小川哲さんが挑戦。作家は果たして真犯人を見つけることができるのでしょうか……?
小説新潮編集長 西麻沙子
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バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。