「ネタバレ厳禁」
煽り文言でよく使われる言葉ですが、本作『世界でいちばん透きとおった物語』でもオビに大きくこの文言を記載しています。それは、緻密に練られた本作最大の「仕掛け」を最大限に楽しんでいただきたいからです。
急死したミステリ作家である実父への複雑な感情や、女性編集者に対するほのかな恋心など、主人公燈真が様々な想いを抱えながら『世界でいちばん透きとおった物語』というタイトルの遺稿を探す、心に染みる穏やかなミステリです。
発売前にプルーフを読んでいただいた書店員様や、既に作品を読んでいただいた方々を中心に、早くもSNSなどで話題沸騰。小説紹介クリエイターのけんご氏からも絶賛いただいています。
「ネタバレ厳禁」の期待を裏切らない、今まで経験したことがないような読書体験になること間違いなしの本作をぜひお楽しみください。
※本作は電子での販売はなく、紙の本のみの販売となりますのでご注意ください。
坂本龍一さんが57歳までの音楽家人生のすべてを語った『音楽は自由にする』の文庫版を刊行しました。編集がすべて終わり、印刷に着手しようかというところで、坂本さんは旅立ってしまいました。
本書の編集担当者は文庫版の準備を始めますというご報告をする際に、はじめてお目にかかることができました。別れ際に「それじゃ、よろしくね」とかけて下さった声の響きがいつまでも耳に残っています。気のおけない仕事仲間に挨拶するようなトーンで、世界的な音楽家を目の前にした緊張がほぐれました。
本書の装幀には楽譜と「音楽は自由にする」を意味するドイツ語がレイアウトされていますが、いずれも坂本さんの自筆によるものです。坂本さんの数多ある作品のひとつに相応しいデザインになっていると思います。
刷り上がった文庫版を坂本さんにお届けすることは叶いませんでしたが、坂本さんの愛した「Ars longa, vita brevis」(芸術は長く、人生は短し)という言葉の通り、開けばいつでも著者の考えに触れることのできる本もまた、長く残るものです。ぜひ手にとっていただければと思います。
57歳からご逝去の直前までが明かされた、本書の続編にあたる『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』は6月21日に刊行されます。あわせてご注目ください。
新潮文庫では、2014年に「新潮ことばの扉」というシリーズを立ち上げ、『新潮ことばの扉 教科書で出会った名詩一〇〇』を第一作目として刊行しました。その後も、『新潮ことばの扉 教科書で出会った名句・名歌三〇〇』『新潮ことばの扉 教科書で出会った古文・漢文一〇〇』と続き、今回シリーズ最終巻となる『新潮ことばの扉 教科書で出会った名作小説一〇〇』が完成しました。
「こころ」「山月記」「走れメロス」「ごんぎつね」など、1950年代から2010年代までの小学校・中学校・高校の国語教科書に収録された作品のなかから100作を選び、冒頭の400字ほどを掲載しています。書き出しを読むだけでも作品の手ざわりや教室で読んだときの気持ちが思った以上に蘇ってくるのが不思議です。学生の頃に触れた物語はそれだけ心の奥深くに根付いているのだと感じます。
また、早稲田大学教育学部教授・近代日本文学の研究者である石原千秋氏が全作について「読みのポイント」を執筆。作品のテーマや背景、時代の移り変わりによる読まれ方の変化などについて解説していただきました。「波」4月号では元国語教師の岡崎武志氏が「これが読解を手助けするとともに、現代に生きる作品として読み直しを図っている点が素晴らしい」と絶賛なさっています。
かつて学生だった方はもちろん、小中学生の朝の読書や、感想文の本選びにも最適な一冊。今こそ読んでおきたい教養と感動の100作にぜひ出会ってください。
ひとつのことに集中できなくて勉強がはかどらない。
SNSの友だちの動向が気になって仕方がない。
趣味や遊び、やりたいことがたくさんあるのに、いつも時間が足りない。
夜中までスマホを見てしまい、日中眠くてたまらない。
あなたのお子さんにも、あてはまることはありませんか?
累計99万部突破の『スマホ脳』の著者であるスウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセン氏が、スマホの使いかたに悩むティーンエージャーのために、かしこいスマホとの付き合い方を伝授したのが、本書『脱スマホ脳かんたんマニュアル』です。
そもそも人間の脳はスマホ向きにできていない「サバンナ脳」なのである、とハンセン氏は説きます。
集中力が続かずすぐ別なことに気を取られてしまうのは、脳には、異変があるといち早くそちらに注意がいく、という習性があるから。これは原始時代、獣や敵から命を守るためには不可欠なものでした。
SNSに夢中になってしまうのは、仲間と群れたり噂話をしたりするのが好きな脳の仕組みから。誰かと集団で暮らし、新たな情報を察知しなければ身が危険にさらされた太古の時代に役立った特性でした。
つまり人間がスマホに囚われてしまうのは、当たり前のこと。だからこそ、人間の脳の仕組みを知って、スマホの誘惑に負けずに付き合う方法を、本書は教えています。
・勉強中はスマホを隣の部屋に置くと効率がアップする
・睡眠が記憶を定着させる
・SNSを使いすぎると幸福度が下がる
・フェイクニュースや陰謀論に翻弄されないために
などなど、知っておきたい情報が満載です。
タラジロウさんによるユーモラスなイラストもかわいい。保護者とお子さんとでともに読みたい、スマホを持つなら必読の一冊です。
『名探偵のいけにえ』で「2023本格ミステリ・ベスト10」ぶっちぎりの第1位を獲得し、いまミステリ界で最注目の著者、白井智之さんによる姉妹編『名探偵のはらわた』がついに文庫化されました。
ちなみに『~いけにえ』も『~はらわた』も"姉妹編"あるいは「名探偵」シリーズと銘打っていますが、それぞれ独立した長編ミステリですので、どちらからお読みいただいてもお楽しみいただけます。
綾辻行人氏に「鬼畜系特殊設定パズラー」の称号を与えられた著者・白井智之さんですが、「名探偵」シリーズでは、いわゆる"エロ・グロ"な要素は非常に控えめで読みやすいです。その分、二度読み必至の鮮やかな伏線回収や、緻密なロジックによる美しい多重解決といった、本格ミステリの神髄ともいうべき魅力がたっぷりと味わえるシリーズとなっております。
ミステリ好きなら必読です。読んだら感想を言い合いたくなること必至。文庫化を機に、ぜひクセになる魅力の白井智之さんのミステリの世界をお楽しみください。